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第1章 黄昏のパリは雪に沈む
────降りしきる雪の追憶
しおりを挟む「祐ちゃんどうしたの?何を泣いているの?もう真夜中なのに泣きながら外を眺めるなんて……外はただ真っ暗なだけだろう?」
「雪だよ……雪が降っているよ。
僕、雪を見ると何だかとっても悲しくなるんだ」
「そうか、祐ちゃんがここに来たのは雪の日だったね。寒い雪の日の夜、祐ちゃんはここの門の前で一人泣いていたんだ……」
「そうらしいけど、だけど僕は何にも憶えてない……」
「さぁ祐ちゃん、いつまで泣いていたって仕方がないよ?僕の布団に入りな?一緒に寝よ?」
「うん、そうだね、そうする。
ね、一緒に歌お?トンボのお唄」
「ああ、いいよ♪祐ちゃんの好きなトンボの唄だね?」
♪トンボのメガネは
ぴかぴかメガネ
お天道様を見てたらから
見てたから♪
「アキ兄ちゃん、僕、アキ兄ちゃんが大好きだよ?
僕ね、雪がとっても恐いんだ。
でもね、アキ兄ちゃんが一緒なら全然平気。僕、アキ兄ちゃんさえいれば安心さ」
「うん、絶対平気さ。俺はいつまでも祐ちゃんと一緒だから」
「アキ兄ちゃん……きっと、きっとだよ?」
──それは、幼き日の雪の追憶。
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