79 / 80
七粒目 野茨闇 ~『落花流水の情』の巻~
余話・八話目 皇后の侍女・涛超、思うところあって翠姫廟に一人詣でる
しおりを挟む
「涛超! 行ってらっちゃい!」
女官に抱かれた劉星皇子が、小さな手を振って涛超を見送った。
その横では、先日、皇后になったばかりの貞海が微笑んでいた。
毎月一回、涛超は、後宮内にある翠姫廟に一人で詣でることにしている。
ひと月の間にあった出来事を書いた帳面を持っていき、皇子の成長ぶりや皇帝の様子などを、女神像に逐一知らせている。
祈りの言葉と共に像の前で伝えるだけだが、なぜか女神にはすべて通じていて、年に一度、彼女が皇帝の生母・林佳として下天してくるたびに、大いに感謝された。
三年前、「秀女選抜」で選ばれた貞海とともに、涛超が後宮へ来てまもない頃、後宮は大変な災厄に見舞われた。
長い間使われずにいた白珠宮に、大きな雷が落ちて宮殿が燃え落ちてしまったのだ。
幸い犠牲者は出なかったが、白珠宮の建物だけでなく、中庭や前庭などに植わっていた木々も全て灰燼に帰してしまった。
それだけの火災でありながら、不思議なことに隣接する宮殿は延焼を免れた。
東の宮から、白珠宮だけが、きれいさっぱり消えてしまったのだ。
焼け残った門や塀も、今は壊されて更地になっている。
厄除けのため、天帝廟の道士が、土地を浄化する儀式を行ったことはあったが、今のところ新しい宮殿を建てる予定はないらしい。
涛超は、あの頃のことを、なぜかよく覚えていない。
ところどころぼんやりとして、はっきりしない部分があるのだ。
(貞海様が後宮に上がるとき、わたしのほかにもう一人、侍女がついてきていた気がするのだけど――)
女官たちに聞いても、貞海に聞いても、侍女は涛超一人だったと言われた。
多忙な日々が続いて、疲れが溜まっているのであろうと、貞海にねぎらわれた。
断片的に、様々な場面が心に浮かぶことがある。
饅頭を頬張る元気な娘。器の中を泳ぐ小さな青蛙。どんな病にも効くという不思議な薬水――。
しかし、それらはすぐにまた、記憶の深淵へと静かに沈んでいってしまう。
今はもう、無理に思い出そうとすることはやめた……。
翠姫廟に着いた涛超は、いつものように入り口で道士に挨拶をし、持ってきた萌葱色の蝋燭に火を点した。
そして、翠姫の像の横に設えられた燭台に蝋燭を供え、ゆっくりと像の前にひざまずいた。
白い石を彫って作られた翠姫の像の穏やかに微笑む顔を一度じっくり眺めてから、涛超は床に押しつけるように深く頭を垂れた。
◇ ◇ ◇
十年以上前のことだ――。
妓楼か茶館で働くつもりで、田舎から州城・廣武へ出てきた涛超は、初めて見る賑やかな町並みに目を丸くしていた。
そして、たまたま通りかかった天帝廟の前で、彼女に出会ってしまったのだった。
どこかの裕福な家の娘が、両親と一緒に廟に詣でに来ていた。
何を願ったのかを母親に問われた娘は、小さな胸を反らして堂々と言った。
「わたしは、『みんなが幸せになれますように!』とお願いしたの。わたしは、今とても幸せだから、みんなにもわたしと同じように幸せになって欲しいの。天帝様になら、きっとおできになると思うわ!」
その言葉を聞いた途端、遠い前世の記憶が涛超の頭に流れ込んできた。
運命を感じた涛超は、こっそり一家の後をつけ、杜家という大きな商家の者たちであることを確かめると、その足で口入れ屋に向かい、杜家での仕事がないか尋ねた。
ちょうど、奥向きの下回しを募っていたので、さっそく紹介してもらった。
下回しとして働くうちに、「自分の望むことをよく察して動いてくれる」と貞海に認められ、貞海付きの侍女に出世した。
貞海と共に別邸で暮らした日々は、今でも忘れられない想い出だ。
そして、二人一緒に後宮に上がり、貞海の願いだった皇帝との対面を果たした。
皇帝と貞海は、前世では、浩宇と永芳いう名の親子だった――。
小さな集落で、畑仕事や養蚕に励み、二人で仲良く暮らしていたらしい。
ある日、記憶をなくし林に倒れていた若い女を拾い、家に迎え入れたが、彼女が女神・翠姫であることがわかり、泣く泣く親子は彼女を手放すことになったそうだ。
その翠姫が、生まれ変わって皇帝となった浩宇のもとへやって来て、妻となり子までなした。
親子は今、前世で叶わなかった夢を叶え幸せの絶頂にある。
白珠宮の火災以降、翠姫は毎夏、天界から侍女と共に人間界に降りてくるようになった。
都城から少し離れた場所にある小さな離宮で、皇帝、貞海、そして皇子と、ひと月ほど一緒に過ごす。
四人の仲睦まじい姿を見て、涛超もまた幸福に身を震わせる。
なぜなら、涛超は――。
「涛超どの、いつも熱心でございますな。あなたのように敬虔な信徒を得て、翠姫様もさぞやお喜びでしょう」
「道士様、お褒めいただき嬉しゅうございます。しかし、わたくしなどの願いが、女神様に届くものでしょうか?」
「女神様は、慈悲深いお方です。熱心に祈れば、きっとお聞き届けくださいますよ」
突然道士が声を掛けてきたので、涛超は慌てたが、女神像に話した中身までは聞かれてはいないようだ。
涛超は、何も知らない道士を、少しだけ哀れに思った。
(道士様、修行を積んだあなたでも、生涯お目にかかれない尊いお方と、わたくしは毎年ひと月ほどの間、離宮で親しく過ごさせていただいているのですよ――。申し訳ありません)
貞海から預かってきた金子を布施として道士に渡し、丁寧にお辞儀をすると、涛超は翠姫廟をあとにした。
◇ ◇ ◇
涛超が天藍宮へ戻ると、皇子が、女官たちと中庭で追いかけっこをしていた。
皇子は、すぐに涛超の姿に気づいて、嬉しそうな顔で駆け寄ってきた。
「おかえりなちゃい、涛超! 今日は、何をお願いちてきたの?」
皇子のくるくるとよく動く大きな黒い瞳に、涛超は、懐かしい面影を見た気がした。
そして、思わず腕を伸ばすと皇子を抱き上げた。
「わたくしのお願いはいつも同じです。『みんなが幸せになれますように!』、それだけですよ。ずっとずっと昔から――」
ちょうど部屋から中庭に出てきた貞海が、はっとした顔で涛超の方を見た。
涛超の胸に、微かな希望が湧いてくる。
(貞海も、とうとう思い出してくれたのだろうか? ずっとずっと昔のことを――)
◇ ◇ ◇
彼が、永芳と初めて会ったのは、隣村に立つ市へ出かけたときだった。
二人とも、まだ十六だった――。
永芳は隣村の生まれで、祖父が作った櫛を小さな屋台で売っていた。
母への土産を買おうと屋台に立ち寄った彼から、永芳は母の顔立ちなどを聞き出し、一番似合いそうなものを選んでくれた。
にっこりしながら、少しだけまけてくれた。
翌月の市で、彼は、母が喜んでくれたことを伝えるために、再び永芳の屋台へ顔を出した。
そして、母が天蚕の糸で織った襟巻きを、この前の礼だと言って渡した。
それがきっかけで、二人は急速に親しくなった。
それから二年後、永芳は、彼の所へ嫁いできた。
彼の両親は、二人に様々な仕事を教えた後、相次いで流行病で亡くなった。
寂しさを感じていた二人の間に、浩宇が誕生した。
野良仕事の合間に、豊作を願って、三人で翠姫廟に詣でるようになった。
翠姫廟で願うことは、いつも同じ――。
―― わたしたちは、今とても幸せです。だからどうか、わたしたちのように、みんなが幸せになれますように!
だが、浩宇が三つになったとき、彼もまた流行病でこの世を去ることになった――。
◇ ◇ ◇
貞海は目を伏せ、「そんなはずはない」というように首を振っていた。
その様子を、涛超は、少しだけ寂しさを感じながら見つめていた。
そして、腕に抱えた皇子を貞海に渡すため、ゆっくりと彼女に近づいていった。
貞海と出会い、自分の前世に気づいたとき、涛超は自分の運命を呪った。
前世は男であったのに、今世は、なぜか女に生まれ変わってしまったのだ。
だが、今は、それで良かったと思っている。
女であったから、ずっと貞海のそばにいて、彼女を見守り続けることができた。
こうして、後宮にも侍女としてついて来ることができた。
そして、愛しい浩宇の成長した姿を間近で見ることができた。
二人と一緒に暮らした時間が、あまりにも短かったせいか、二人は涛超の前世にはいっこうに気づいてくれない。夫であり、父であったのに――。
こうして近くにいれば、いつか気づいてくれるのだろうか――。
だが、たとえ気づいてもらえなくても、涛超は、これからも二人の幸せのために、そして、孫である皇子の幸せのために、心をこめて仕えていくつもりだ。
それが、自分の運命なのだと思って――。
「貞海様、お抱きになってみてください! 劉星さまは、また重くなられましたよ!」
劉星を抱きかかえようと手を伸ばしてきた貞海の笑顔が、涛超の胸を温かく、そして少しだけ切なくさせた――。
女官に抱かれた劉星皇子が、小さな手を振って涛超を見送った。
その横では、先日、皇后になったばかりの貞海が微笑んでいた。
毎月一回、涛超は、後宮内にある翠姫廟に一人で詣でることにしている。
ひと月の間にあった出来事を書いた帳面を持っていき、皇子の成長ぶりや皇帝の様子などを、女神像に逐一知らせている。
祈りの言葉と共に像の前で伝えるだけだが、なぜか女神にはすべて通じていて、年に一度、彼女が皇帝の生母・林佳として下天してくるたびに、大いに感謝された。
三年前、「秀女選抜」で選ばれた貞海とともに、涛超が後宮へ来てまもない頃、後宮は大変な災厄に見舞われた。
長い間使われずにいた白珠宮に、大きな雷が落ちて宮殿が燃え落ちてしまったのだ。
幸い犠牲者は出なかったが、白珠宮の建物だけでなく、中庭や前庭などに植わっていた木々も全て灰燼に帰してしまった。
それだけの火災でありながら、不思議なことに隣接する宮殿は延焼を免れた。
東の宮から、白珠宮だけが、きれいさっぱり消えてしまったのだ。
焼け残った門や塀も、今は壊されて更地になっている。
厄除けのため、天帝廟の道士が、土地を浄化する儀式を行ったことはあったが、今のところ新しい宮殿を建てる予定はないらしい。
涛超は、あの頃のことを、なぜかよく覚えていない。
ところどころぼんやりとして、はっきりしない部分があるのだ。
(貞海様が後宮に上がるとき、わたしのほかにもう一人、侍女がついてきていた気がするのだけど――)
女官たちに聞いても、貞海に聞いても、侍女は涛超一人だったと言われた。
多忙な日々が続いて、疲れが溜まっているのであろうと、貞海にねぎらわれた。
断片的に、様々な場面が心に浮かぶことがある。
饅頭を頬張る元気な娘。器の中を泳ぐ小さな青蛙。どんな病にも効くという不思議な薬水――。
しかし、それらはすぐにまた、記憶の深淵へと静かに沈んでいってしまう。
今はもう、無理に思い出そうとすることはやめた……。
翠姫廟に着いた涛超は、いつものように入り口で道士に挨拶をし、持ってきた萌葱色の蝋燭に火を点した。
そして、翠姫の像の横に設えられた燭台に蝋燭を供え、ゆっくりと像の前にひざまずいた。
白い石を彫って作られた翠姫の像の穏やかに微笑む顔を一度じっくり眺めてから、涛超は床に押しつけるように深く頭を垂れた。
◇ ◇ ◇
十年以上前のことだ――。
妓楼か茶館で働くつもりで、田舎から州城・廣武へ出てきた涛超は、初めて見る賑やかな町並みに目を丸くしていた。
そして、たまたま通りかかった天帝廟の前で、彼女に出会ってしまったのだった。
どこかの裕福な家の娘が、両親と一緒に廟に詣でに来ていた。
何を願ったのかを母親に問われた娘は、小さな胸を反らして堂々と言った。
「わたしは、『みんなが幸せになれますように!』とお願いしたの。わたしは、今とても幸せだから、みんなにもわたしと同じように幸せになって欲しいの。天帝様になら、きっとおできになると思うわ!」
その言葉を聞いた途端、遠い前世の記憶が涛超の頭に流れ込んできた。
運命を感じた涛超は、こっそり一家の後をつけ、杜家という大きな商家の者たちであることを確かめると、その足で口入れ屋に向かい、杜家での仕事がないか尋ねた。
ちょうど、奥向きの下回しを募っていたので、さっそく紹介してもらった。
下回しとして働くうちに、「自分の望むことをよく察して動いてくれる」と貞海に認められ、貞海付きの侍女に出世した。
貞海と共に別邸で暮らした日々は、今でも忘れられない想い出だ。
そして、二人一緒に後宮に上がり、貞海の願いだった皇帝との対面を果たした。
皇帝と貞海は、前世では、浩宇と永芳いう名の親子だった――。
小さな集落で、畑仕事や養蚕に励み、二人で仲良く暮らしていたらしい。
ある日、記憶をなくし林に倒れていた若い女を拾い、家に迎え入れたが、彼女が女神・翠姫であることがわかり、泣く泣く親子は彼女を手放すことになったそうだ。
その翠姫が、生まれ変わって皇帝となった浩宇のもとへやって来て、妻となり子までなした。
親子は今、前世で叶わなかった夢を叶え幸せの絶頂にある。
白珠宮の火災以降、翠姫は毎夏、天界から侍女と共に人間界に降りてくるようになった。
都城から少し離れた場所にある小さな離宮で、皇帝、貞海、そして皇子と、ひと月ほど一緒に過ごす。
四人の仲睦まじい姿を見て、涛超もまた幸福に身を震わせる。
なぜなら、涛超は――。
「涛超どの、いつも熱心でございますな。あなたのように敬虔な信徒を得て、翠姫様もさぞやお喜びでしょう」
「道士様、お褒めいただき嬉しゅうございます。しかし、わたくしなどの願いが、女神様に届くものでしょうか?」
「女神様は、慈悲深いお方です。熱心に祈れば、きっとお聞き届けくださいますよ」
突然道士が声を掛けてきたので、涛超は慌てたが、女神像に話した中身までは聞かれてはいないようだ。
涛超は、何も知らない道士を、少しだけ哀れに思った。
(道士様、修行を積んだあなたでも、生涯お目にかかれない尊いお方と、わたくしは毎年ひと月ほどの間、離宮で親しく過ごさせていただいているのですよ――。申し訳ありません)
貞海から預かってきた金子を布施として道士に渡し、丁寧にお辞儀をすると、涛超は翠姫廟をあとにした。
◇ ◇ ◇
涛超が天藍宮へ戻ると、皇子が、女官たちと中庭で追いかけっこをしていた。
皇子は、すぐに涛超の姿に気づいて、嬉しそうな顔で駆け寄ってきた。
「おかえりなちゃい、涛超! 今日は、何をお願いちてきたの?」
皇子のくるくるとよく動く大きな黒い瞳に、涛超は、懐かしい面影を見た気がした。
そして、思わず腕を伸ばすと皇子を抱き上げた。
「わたくしのお願いはいつも同じです。『みんなが幸せになれますように!』、それだけですよ。ずっとずっと昔から――」
ちょうど部屋から中庭に出てきた貞海が、はっとした顔で涛超の方を見た。
涛超の胸に、微かな希望が湧いてくる。
(貞海も、とうとう思い出してくれたのだろうか? ずっとずっと昔のことを――)
◇ ◇ ◇
彼が、永芳と初めて会ったのは、隣村に立つ市へ出かけたときだった。
二人とも、まだ十六だった――。
永芳は隣村の生まれで、祖父が作った櫛を小さな屋台で売っていた。
母への土産を買おうと屋台に立ち寄った彼から、永芳は母の顔立ちなどを聞き出し、一番似合いそうなものを選んでくれた。
にっこりしながら、少しだけまけてくれた。
翌月の市で、彼は、母が喜んでくれたことを伝えるために、再び永芳の屋台へ顔を出した。
そして、母が天蚕の糸で織った襟巻きを、この前の礼だと言って渡した。
それがきっかけで、二人は急速に親しくなった。
それから二年後、永芳は、彼の所へ嫁いできた。
彼の両親は、二人に様々な仕事を教えた後、相次いで流行病で亡くなった。
寂しさを感じていた二人の間に、浩宇が誕生した。
野良仕事の合間に、豊作を願って、三人で翠姫廟に詣でるようになった。
翠姫廟で願うことは、いつも同じ――。
―― わたしたちは、今とても幸せです。だからどうか、わたしたちのように、みんなが幸せになれますように!
だが、浩宇が三つになったとき、彼もまた流行病でこの世を去ることになった――。
◇ ◇ ◇
貞海は目を伏せ、「そんなはずはない」というように首を振っていた。
その様子を、涛超は、少しだけ寂しさを感じながら見つめていた。
そして、腕に抱えた皇子を貞海に渡すため、ゆっくりと彼女に近づいていった。
貞海と出会い、自分の前世に気づいたとき、涛超は自分の運命を呪った。
前世は男であったのに、今世は、なぜか女に生まれ変わってしまったのだ。
だが、今は、それで良かったと思っている。
女であったから、ずっと貞海のそばにいて、彼女を見守り続けることができた。
こうして、後宮にも侍女としてついて来ることができた。
そして、愛しい浩宇の成長した姿を間近で見ることができた。
二人と一緒に暮らした時間が、あまりにも短かったせいか、二人は涛超の前世にはいっこうに気づいてくれない。夫であり、父であったのに――。
こうして近くにいれば、いつか気づいてくれるのだろうか――。
だが、たとえ気づいてもらえなくても、涛超は、これからも二人の幸せのために、そして、孫である皇子の幸せのために、心をこめて仕えていくつもりだ。
それが、自分の運命なのだと思って――。
「貞海様、お抱きになってみてください! 劉星さまは、また重くなられましたよ!」
劉星を抱きかかえようと手を伸ばしてきた貞海の笑顔が、涛超の胸を温かく、そして少しだけ切なくさせた――。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
薔薇と少年
白亜凛
キャラ文芸
路地裏のレストランバー『執事のシャルール』に、非日常の夜が訪れた。
夕べ、店の近くで男が刺されたという。
警察官が示すふたつのキーワードは、薔薇と少年。
常連客のなかにはその条件にマッチする少年も、夕べ薔薇を手にしていた女性もいる。
ふたりの常連客は事件と関係があるのだろうか。
アルバイトのアキラとバーのマスターの亮一のふたりは、心を揺らしながら店を開ける。
事件の全容が見えた時、日付が変わり、別の秘密が顔を出した。
天之琉華譚 唐紅のザンカ
ナクアル
キャラ文芸
由緒正しい四神家の出身でありながら、落ちこぼれである天笠弥咲。
道楽でやっている古物商店の店先で倒れていた浪人から一宿一飯のお礼だと“曰く付きの古書”を押し付けられる。
しかしそれを機に周辺で不審死が相次ぎ、天笠弥咲は知らぬ存ぜぬを決め込んでいたが、不思議な出来事により自身の大切な妹が拷問を受けていると聞き殺人犯を捜索し始める。
その矢先、偶然出くわした殺人現場で極彩色の着物を身に着け、唐紅色の髪をした天女が吐き捨てる。「お前のその瞳は凄く汚い色だな?」そんな失礼極まりない第一声が天笠弥咲と奴隷少女ザンカの出会いだった。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる