4 / 14
幼少期編
4
しおりを挟むクレアとヘイリーの攻防は暫く続き
フィンは顔を青ざめレイブンはなぜか遠い目をしていた
「そうだ!クー僕の事リーって呼んでよ」
ヘイリーはニコっと微笑み
フィンが青ざめたままヘイリーに顔を向けた
「ヘイリー様!!」
「嫌です恐れ多い事です」
クレアの反応にフィンは胸を撫で下ろしため息をついた
「なぜこんな事に」
それはヘイリー以外がみな思うことであった
コンコン
「入ります」
スッと入ってきたのはピンクの髪をふわふわさせて蜂蜜色のくりっと可愛い目をした姉ソフィだった
「お初にお目にかかります、オルガナ・マクレーンの長女ソフィ・マクレーンと申します。以後お見知り置きを」
おせいじにもいいとは言えないお仕事着で登場しスカートを摘み淑女の礼をとった
「夕食のご用意が整いました」
王子御一行様が声を発する前にと大きい声を勢いよくあげた
「はい!お手伝いします!」
今行かなくていつ行くと言わんばかりかすぐにクレアは扉まで行き
「食堂にてお待ちしております」
淑女の礼をとりソフィの手をひいて慌てて共に退室した
「どうしたのクレア急がくても夕食は沢山用意したわよ」
「違うのソフィ姉様」
ん?とソフィは手を引かれたまま首を傾げていると
「やっぱり何でもない」
「あ!ヘイリー王太子に失礼をしたのね!大丈夫よ何せ急な宿泊だしね!言葉遣いや態度が悪いだけで責められやしないわ」
「う…うん」
言えないまさか婚約…いやしてないけど…断じて!してないけどそんな冗談を言い合ったなんて
クレアは疲れたと言ってまだ埃の残る部屋で庭師とビクトリア、セバスチャン息子夫婦と共に、夕食をとりそのまま先に1人ふて寝した
明くる日
晴天に恵まれ、ぬかるんだ道はみるみる乾いていった、大事を取り明日出発すると告げた王子御一行様はヘイリー以外、特にフィンとレイブンはずっとそわそわしていた
考え事があるとヘイリーはフィンとレイブンを部屋の外に出し、扉の前に2人は待機している
フィンは部屋にいる主を思いふーーーーと深い深いため息をはいた
「婚約の話しオルガナ様に言わなかったのは喜ぶべきなのか否か」
昨日の夕食時にクレアがいない事に落胆したヘイリーだったがフィンとレイブンにはそうそうに伝えた婚約の話しをマクレーン家の者には一切話していなかった
「フィン様は心配し過ぎでございます。子供の言った事です」
「レイブンも子供だ、疲れたなら休むといいヘイリー様は私が警護しているから」
「ご心配には及びません。こんな事であたふたしていたらヘイリー様のお供は出来ませんので」
「うっ…それは俺に言っているのか」
フィンは天を仰ぎこの事が王弟に知れたらと思うとゾッとした
「頼む!何事もなくおわってくれ!」
最後には神頼みをしたフィンだった
部屋にいるヘイリーは遠くから微かに聞こえる声に耳を傾け窓のそばまできた
外にはクレアと庭師が楽しそうに作業をしていた
ガチャ
「庭へでる」
足早に玄関へ向かうヘイリー
「ヘイリー様!お待ちください!」
慌ててフィンとレイブンはついていった
窓から見たクレアを目指し庭へでたヘイリーはすぐにクレアと庭師を捉えた
「クー!」
まさか!と振り返るクレア
クー?っと振り返る庭師
クレアは慌てて庭師に話しかけた
「えっとそのえっとここは私に任せて!!」
「?いや草むしり大変ですし王子御一行様の騎士様達がお屋敷を見回ってくれてますから今日ぐらいはクレアお嬢様に任せずちゃんとやりますよ!」
ニコリと笑顔を見せた優しい庭師
いやー違うのーこのままだと絶対ボロがでるわ
黙ってやり過ごしたいクレア、手伝ってあげたい庭師
クレアの気持ちを知ってか知らずかヘイリーはクレアと庭師の前までいき庭師に体を向けて
「昨日は良くしてありがとう少しクレアを借りていい?」
「へ?は!はい!畏まりました!」
と庭師はチラリと近くで控えているフィンとレイブンを見ながら今いる場所から反対側にある納屋へと向かった
畏まってどうすのよ!!と地団駄を踏んだクレアにヘイリーはニコっと笑い
「今日も可愛いねクー」
「ありがとうございます。ヘイリー様も素敵でございます。」
ガラの悪い人達から冗談を言われ慣れているクレアは目細めヘイリーから逸らしながら棒読みで返事をした
「す素敵…」
カーっとヘイリーの顔が赤くなり
「嬉しい、クーから言われるとすごく嬉しいよ」
とまんべんの笑顔になった
「へーそーですか」
大人びているクレアだか所詮8歳児だもうヘイリーを抑える事は出来なかった
「クー僕の事リーって呼んで」
「だめです!出来ません」
「呼んでくれないなら口にキスするよ」
「きっきっキス!?」
思わず大きくなってしまったキス発言の声を聞いたフィンとレイブンは目を見開いて勢いよくこちらを向いた
ヘイリーはフィンとレイブンを来るなよとひと睨みしてクレアの両手をそっと包んで体を引き寄せた
「ちち近いですヘイリー様!」
「リーって呼ばないの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「クーキスしていいって事?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・リー・・・・・・様」
「リーだよクー」
「リー」
「嬉しいよクー僕との婚約改めて受けてくれたんだね」
「へ?」
「愛称は家族や婚約者同士で言い合うものだから…幸せにするねクー」
「え?あ?う?」
太陽の光を浴びたヘイリーの髪はキラキラと輝いて瞳は潤みを含み澄んでキレイな空色をしていたクレアは美しい瞳にうっとりし気持ちとは裏腹にヘイリーをじっと見つめてしまった。ヘイリーはクレアに1歩近づきクレアの額にチュッとキスをした
「ひぃ」
クレアは思わず両目を瞑り顔をしかめた
「ひどいな悲鳴をあげるなんて」
はにかんだ笑顔も眩しいヘイリーは握ったいたクレアの手の甲を自身の口にもっていきまたチュッとキスをした
開いた口が塞がらないクレアは文字通り口を開けたまま固まった
「驚いた顔も可愛いねクー」
ニヤっと笑い絡みつくような視線をクレアに向けたヘイリーだった
異性からキスをおでこだけどされた事も
狙いを定めたような男の顔も
背筋が凍るような恐ろしい感覚も
全てが初めてなクレアだった
0
お気に入りに追加
484
あなたにおすすめの小説

気付いたら最悪の方向に転がり落ちていた。
下菊みこと
恋愛
失敗したお話。ヤンデレ。
私の好きな人には好きな人がいる。それでもよかったけれど、結婚すると聞いてこれで全部終わりだと思っていた。けれど相変わらず彼は私を呼び出す。そして、結婚式について相談してくる。一体どうして?
小説家になろう様でも投稿しています。

最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。

彼氏に別れを告げたらヤンデレ化した
Fio
恋愛
彼女が彼氏に別れを切り出すことでヤンデレ・メンヘラ化する短編ストーリー。様々な組み合わせで書いていく予定です。良ければ感想、お気に入り登録お願いします。


ヤンデレ王太子と、それに振り回される優しい婚約者のお話
下菊みこと
恋愛
この世界の女神に悪役令嬢の役に選ばれたはずが、ヤンデレ王太子のせいで悪役令嬢になれなかった優しすぎる女の子のお話。あと女神様配役ミスってると思う。
転生者は乙女ゲームの世界に転生したと思ってるヒロインのみ。主人公の悪役令嬢は普通に現地主人公。
実は乙女ゲームの世界に似せて作られた別物の世界で、勘違いヒロインルシアをなんとか救おうとする主人公リュシーの奮闘を見て行ってください。
小説家になろう様でも投稿しています。

ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない
斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。
襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……!
この人本当に旦那さま?
って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!

私の完璧な婚約者
夏八木アオ
恋愛
完璧な婚約者の隣が息苦しくて、婚約取り消しできないかなぁと思ったことが相手に伝わってしまうすれ違いラブコメです。
※ちょっとだけ虫が出てくるので気をつけてください(Gではないです)

5年経っても軽率に故郷に戻っては駄目!
158
恋愛
伯爵令嬢であるオリビアは、この世界が前世でやった乙女ゲームの世界であることに気づく。このまま学園に入学してしまうと、死亡エンドの可能性があるため学園に入学する前に家出することにした。婚約者もさらっとスルーして、早や5年。結局誰ルートを主人公は選んだのかしらと軽率にも故郷に舞い戻ってしまい・・・
2話完結を目指してます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる