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第一章
第六話 計画通り!…とはいかなかった
しおりを挟む柳 拓人 (17)
種:人族/神族 職:勇者(超災害級)/神 LV:1(---)
HP:----- MP:-----
物攻力:---- 魔攻力:----
物 防:---- 魔 防:----
素早さ:---- 賢 さ:----
器用さ:---- 運 :----
<贈り物> -拒絶状態-
<スキル>
創造魔法 LV-- 元素魔法 LV-- 精霊魔法 LV--
召喚魔法 LV-- 契約魔法 LV-- 聖邪魔法 LV--
威圧 LV-- 戦術 LV-- 指揮 LV-- 暗殺 LV--
耐毒 LV2 耐呪 LV-- 暗視 LV-- 先見 LV--
料理 LV2 剣術 LV38 槍術 LV3 占星 LV12
信仰 LV1 魅了 LV26 カリスマ LV41
転生 LV1
<称号>
元最高神、転生者、帰還者、マザコン、勇者
とまぁ、これが私のステータスなのだが、ほぼ測定不能になっている。今も昔もちょっとした息抜きに訓練をしていたからだろうな。
料理のスキルが低いのはやる機会がないことが原因だが、耐毒は多分腐った牛乳で付いたな。母さんに心配させまいと隠していたが。あと、こちらにきてからの料理も私だけ酷かったな。捨てるのもなんだから食べていたが、あれは毒入りだったか。
遠い目をしていた私の目の前で、シスターは立ち上がり礼をした。
「お会いできて光栄です、タクト様。
わたくしは今この瞬間より、貴方様の下僕となりましょう。
なんなりとご命じください。」
「では、シスター。あなたの名をお聞かせ願えますか?」
「 ! 大変失礼致しました。
わたくしはセレスティア・ディルテ・ロンダルクと申します。
聖ディーティア教会に属し、聖女の座を拝命しておりました。」
「ありがとうございます、シスター・セレスティア。
それと、そこまで畏まらずともいいのですが…。」
「いいえ。わたくしは先に述べた通り、貴方様の眷属として身も心も捧げる所存です。そのような畏れ多いことは何卒ご勘弁を…。」
そう言って再び深々と頭を下げた彼女から感じるのは恐怖だ。
何に怯えているのかは概ね予想がつく。身も心も私に捧げる、と言ったのは、上からそう言うよう強制されていたのだろう。胸糞の悪い話だ。
彼女を置いていくとなると、彼女が酷い目にあってしまうな。
少しだけ私の加護を渡しておくとしよう。使い方によっては、様々な悪意を退け、逃れることも可能だろう。
「貴女がこれからどんな困難を迎えようと、立ち向かう勇気を持てますように。」
祈りをこめてシスター・セレスティアに言った言葉は、しっかりと彼女に届いたようだ。彼女が淡く光った。
それを見届けた私は段上に司と渡、そして母さんと共に登る。
「私が勇者となってしまったようなので、これからの私の行動を伝えておきます。
第一に。
私は勇者として、この国に仕える気はありません。
第二に。
私は神として、この国を祝福することは現状出来ません。
第三に。
私はこの国を出ます。
私の力を求めていないようですからね、宰相閣下は。
というわけですので、私たちはこれで。」
ざわめき駆け寄ってくる人を意にも介さず、私は予め用意しいていた転移魔法陣を起動。
驚愕の表情をした宰相に「さようなら」と口パクで告げて場を離脱した。
☆──☆──☆──☆──☆──☆──☆──☆──☆
「ど、どういうことだ?! あいつが、勇者ぁ?!」
拓人たちがその場を転移魔法陣で去ってから開口一番。カレイド王国の連中なら誰もが思ったことを口にしたのは矢島だった。
彼のフルネームは矢島勇人。そんな名前だから色々勘違いした結果、厨二病を長いこと拗らせ、異世界転生して俺TUEEする無双物の小説しか読まなかった結果がこれだ。ただし、“なろう小説は鼻につく”という理由から読まなかった。実に残念。そのままテンプレモブとしての一生を謳歌しててほしい。
「いやぁ、まぁ薄々感じてはいたが。やっぱり拓人は只者じゃなかったなぁ。まさか神様だとは思いもしなかったが…。」
そう言いつつも納得したように顎をさする先生。
矢島は動揺して頭を掻きむしりながら一人でブツブツ言っているが、そんなのを華麗にスルーして「石垣先生」と話しかけてくる女子生徒がいた。
彼女は紗倉 凛。クラスの中では美人で通っている放送委員で、弓道部の副部長をしている。
「柳くんが雷堂くんと須坂くんを連れて行ってしまったのに、随分と冷静ですね。何か考えがあるんですか?」
「いや、これといって考えはねぇよ。これは信じられるものを己で見つけなかった代償だ。やれやれ、柳も穏やかで冷静な奴だと思っていたが、熱いハートの持ち主で俺は嬉しい限りだ。」
しきりに頷く石垣だったが、紗倉はそんな彼をじとっとした目で見ていた。「そこまでわかっていたのなら止めれたんじゃないですか?」と聞かれ、石垣は堪らず笑い声をあげながら周りの生徒たちを見る。
「俺が言ったところで、周りに流されちまったお前らが止まることなんざ出来ねぇだろうよ。まぁ、これは俺たちだけに限ったことじゃないが。」
チラリと大司教を見れば膝をついて顔面蒼白。
何も考えることすら出来てなさそうな顔に石垣は笑う。
「ま、全部柳の手のひらの上なんだろうけどな。」
そして困惑する生徒たちと歯噛みするばかりの王国の連中に石垣は言う。
「本物の勇者はもういない。これから起こることなんざ俺にはわからんが、この国に呼ばれたんだ。面倒だがやることやってさっさと帰るぞ、お前たち。」
それに困惑しながらも生徒たちは答える。
そして彼らは教会にはもう用はないと言わんばかりに立ち去った。
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