上 下
7 / 7
第一章

第六話 計画通り!…とはいかなかった

しおりを挟む

   柳 拓人 (17) 
 種:人族/神族  職:勇者(超災害級)/神  LV:1(---)
 HP:-----  MP:-----
 物攻力:---- 魔攻力:----
 物 防:---- 魔 防:----
 素早さ:---- 賢 さ:----
 器用さ:----  運 :----

贈り物ギフト> -拒絶状態-

<スキル>
 創造魔法 LV--  元素魔法 LV--  精霊魔法 LV--
 召喚魔法 LV--  契約魔法 LV--  聖邪魔法 LV--

 威圧 LV--  戦術 LV--  指揮 LV--  暗殺 LV--
 耐毒 LV2   耐呪 LV--  暗視 LV--  先見 LV--
 料理 LV2   剣術 LV38   槍術 LV3   占星 LV12
 信仰 LV1   魅了 LV26   カリスマ LV41
 転生 LV1

<称号>
 元最高神、転生者、帰還者、マザコン、勇者



 とまぁ、これが私のステータスなのだが、ほぼ測定不能になっている。今も昔もちょっとした息抜きに訓練をしていたからだろうな。
 料理のスキルが低いのはやる機会がないことが原因だが、耐毒は多分腐った牛乳で付いたな。母さんに心配させまいと隠していたが。あと、こちらにきてからの料理も私だけ酷かったな。捨てるのもなんだから食べていたが、あれは毒入りだったか。

遠い目をしていた私の目の前で、シスターは立ち上がり礼をした。

「お会いできて光栄です、タクト様。
 わたくしは今この瞬間より、貴方様の下僕しもべとなりましょう。
 なんなりとご命じください。」

「では、シスター。あなたの名をお聞かせ願えますか?」

「 ! 大変失礼致しました。
 わたくしはセレスティア・ディルテ・ロンダルクと申します。
 聖ディーティア教会に属し、聖女の座を拝命しておりました。」

「ありがとうございます、シスター・セレスティア。
 それと、そこまで畏まらずともいいのですが…。」

「いいえ。わたくしは先に述べた通り、貴方様の眷属として身も心も捧げる所存です。そのような畏れ多いことは何卒ご勘弁を…。」

 そう言って再び深々と頭を下げた彼女から感じるのは恐怖だ。
何に怯えているのかは概ね予想がつく。身も心も私に捧げる、と言ったのは、上からそう言うよう強制されていたのだろう。胸糞の悪い話だ。

 彼女を置いていくとなると、彼女が酷い目にあってしまうな。
少しだけ私の加護を渡しておくとしよう。使い方によっては、様々な悪意を退け、逃れることも可能だろう。

「貴女がこれからどんな困難を迎えようと、立ち向かう勇気を持てますように。」

 祈りをこめてシスター・セレスティアに言った言葉は、しっかりと彼女に届いたようだ。彼女が淡く光った。
それを見届けた私は段上に司と渡、そして母さんと共に登る。

「私が勇者となってしまったようなので、これからの私の行動を伝えておきます。

 第一に。
 私は勇者として、この国に仕える気はありません。

 第二に。
 私は神として、この国を祝福することは現状出来ません。

 第三に。
 私はこの国を出ます。
 私の力を求めていないようですからね、宰相閣下は。

 というわけですので、私たちはこれで。」

ざわめき駆け寄ってくる人を意にも介さず、私は予め用意しいていた転移魔法陣を起動。
驚愕の表情をした宰相に「さようなら」と口パクで告げて場を離脱した。




☆──☆──☆──☆──☆──☆──☆──☆──☆


「ど、どういうことだ?! あいつが、勇者ぁ?!」

 拓人たちがその場を転移魔法陣で去ってから開口一番。カレイド王国の連中なら誰もが思ったことを口にしたのは矢島だった。
彼のフルネームは矢島勇人ゆうと。そんな名前だから色々勘違いした結果、厨二病を長いこと拗らせ、異世界転生して俺TUEEする無双物の小説そういう類のものしか読まなかった結果がこれだ。ただし、“なろう小説は鼻につく”という理由から読まなかった。実に残念。そのままテンプレモブとしての一生を謳歌しててほしい。

「いやぁ、まぁ薄々感じてはいたが。やっぱり拓人は只者じゃなかったなぁ。まさか神様だとは思いもしなかったが…。」

そう言いつつも納得したように顎をさする先生。
矢島は動揺して頭を掻きむしりながら一人でブツブツ言っているが、そんなのを華麗にスルーして「石垣先生」と話しかけてくる女子生徒がいた。

 彼女は紗倉 凛さくら りん。クラスの中では美人で通っている放送委員で、弓道部の副部長をしている。

「柳くんが雷堂くんと須坂くんを連れて行ってしまったのに、随分と冷静ですね。何か考えがあるんですか?」

「いや、これといって考えはねぇよ。これは信じられるものを己で見つけなかった代償だ。やれやれ、柳も穏やかで冷静な奴だと思っていたが、熱いハートの持ち主で俺は嬉しい限りだ。」

しきりに頷く石垣だったが、紗倉はそんな彼をじとっとした目で見ていた。「そこまでわかっていたのなら止めれたんじゃないですか?」と聞かれ、石垣は堪らず笑い声をあげながら周りの生徒たちを見る。

「俺が言ったところで、周りに流されちまったお前らが止まることなんざ出来ねぇだろうよ。まぁ、これは俺たちだけに限ったことじゃないが。」

チラリと大司教を見れば膝をついて顔面蒼白。
何も考えることすら出来てなさそうな顔に石垣は笑う。

「ま、全部柳の手のひらの上なんだろうけどな。」

そして困惑する生徒たちと歯噛みするばかりの王国の連中に石垣は言う。

「本物の勇者はもういない。これから起こることなんざ俺にはわからんが、この国に呼ばれたんだ。面倒だがやることやってさっさと帰るぞ、お前たち。」

それに困惑しながらも生徒たちは答える。
そして彼らは教会にはもう用はないと言わんばかりに立ち去った。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

【完結】道真様は異世界に飛んでも満喫〜ご祭神の転生スローライフはワックワクドッキドキ!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
学問の神、天神こと菅原道真公。 元は人間で、様々な逸話を持ち……京都や九州に祀られている社がある存在だが。 ひょんなことから、神であるのに異世界へ転生してしまった!? しかも、人間ではなく……世界樹の精霊に!? さらに、転生は自分だけでなく社の一角にあった梅の木も! 転生を仕掛けたのは、やはり異世界の神。世界樹の存続に必要な『石』の回収をして欲しいとの願いだった。それ以外は好きに過ごしていいとのこと。 であれば……と、道真と梅は名を変えて、異世界でのスローライフを目指すことにした!! 使命は忘れずに。けど、ドッキドキわくわくの異世界スローライフを目指す天神様だった道真公の生活がスタートとなる!!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

俺のチートが凄すぎて、異世界の経済が破綻するかもしれません。

埼玉ポテチ
ファンタジー
不運な事故によって、次元の狭間に落ちた主人公は元の世界に戻る事が出来なくなります。次元の管理人と言う人物(?)から、異世界行きを勧められ、幾つかの能力を貰う事になった。 その能力が思った以上のチート能力で、もしかしたら異世界の経済を破綻させてしまうのでは無いかと戦々恐々としながらも毎日を過ごす主人公であった。 

転生先が森って神様そりゃないよ~チート使ってほのぼの生活目指します~

紫紺
ファンタジー
前世社畜のOLは死後いきなり現れた神様に異世界に飛ばされる。ここでへこたれないのが社畜OL!森の中でも何のそのチートと知識で乗り越えます! 「っていうか、体小さくね?」 あらあら~頑張れ~ ちょっ!仕事してください!! やるぶんはしっかりやってるわよ~ そういうことじゃないっ!! 「騒がしいなもう。って、誰だよっ」 そのチート幼女はのんびりライフをおくることはできるのか 無理じゃない? 無理だと思う。 無理でしょw あーもう!締まらないなあ この幼女のは無自覚に無双する!! 周りを巻き込み、困難も何のその!!かなりのお人よしで自覚なし!!ドタバタファンタジーをお楽しみくださいな♪

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

嫌われ賢者の一番弟子 ~師匠から教わった武術と魔術、世間では非常識らしいですよ!?~

草乃葉オウル
ファンタジー
かつて武術と魔術の双方において最強と呼ばれた賢者がいた。 しかし、賢者はその圧倒的な才能と野心家な性格をうとまれ歴史の表舞台から姿を消す。 それから時は流れ、賢者の名が忘れ去られた時代。 辺境の地から一人の少女が自由騎士学園に入学するために旅立った。 彼女の名はデシル。最強賢者が『私にできたことは全てできて当然よ』と言い聞かせ、そのほとんどの技術を習得した自慢の一番弟子だ。 だが、他人とあまり触れあうことなく育てられたデシルは『自分にできることなんてみんなできて当然』だと勘違いをしていた! 解き放たれた最強一番弟子の常識外れな学園生活が始まる!

処理中です...