転移者と転生者と現地チート

シロ

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50、

ただし、武器はチューリップ

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「うーん、私が頑張ると碌なこと起きないけれど、やる?」
 戸惑っている狼が再び円陣を狭めてきたのを見て花売りのお姉さんが困ったように提案した。眉毛をハの字にして、苦笑いを浮かべている。これは、弱過ぎてとかではなく、強過ぎて手が出し辛かったパターンらしい。実力者に見えないが、そこも強さの秘訣だとしたら、侮れない。
「皆殺しになるのです?」
 ただし、武器はチューリップ。
「ランダム性が高いから、こう距離が短いと確実性を取るにはこの場にいる全員にかけるしかないのよね」
 睡眠魔法スリープがナナの頭脳にヒットした。上位なら範囲魔法もある。だが、制御がなければ味方諸共になる。でも、ランダム性が高いと言うだろうか?抵抗できなければ巻き込まれる、と表現するのではなかろうか?
「まさか、闇魔法ではあるまいな?」
「精神魔法しか使えないのよねー」
 精神魔法。たぶん、魂に影響を与える系の魔法なのだろうが、そんなカテゴリーあっただろうか?スイスイと指で情報画面を滑らせていく。火、水・氷、風、地、音、木、雷、光、闇。この9属性の分類にしか割り振られていない。そして、女の子ではなく男の子の反応から察するに闇魔法は使わない方がいいのだろう。そっと、使用注意のマークを付けておいた。
「・・・・止めておけ」
「はーい」
 現地民がダメと言うのだから、危険な魔法なのだろう。検索機能を利用したが、特にヒットする魔法はなかった。
「こういう状況をなんと言うのです?」
「万策尽きた」
 そもそも腹が減って人を食おうとしている肉食獣を無傷でどうこうしようとする事自体が無謀ではないだろうか。


                                    続く
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