転移者と転生者と現地チート

シロ

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魔法の灯りと比喩

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 台所の床下収納のさらに下。収納スペースの板を引き剥がすと、そこにはさらに地下へと続く階段が隠されていた。木から石造りに変わった通路は思いのほか頑丈で、思いのほか深かった。
「どこまで潜るのです?」
「うーん」
防寒着の冒険者は荷物から小石を取り出すと、そのまま指を離した。数秒後にカランカランと乾いた音が下から響いた。10数mくらいに梯子の終着点があるようだ。
「もうちょっとだよ」
うん、男声さん。横の10数mは同意できるけれど、縦の10数mはちょっと賛成いたしかねる。
「こう暗いと先が見えません」
手元しか見えないのは不安でしかない。足下が見えないのは恐怖でしかない。
「そっか、暗視がないのか」
暗視、暗闇を視界で見通す能力。持っていない種族は少ない。特に蛮族は、できそこない以外は持っている。
「照らすは陽、光指す道となれ、サンシャイン」
男声がそう唱えると天井から光が降り注ぎ、周囲を一望できるようになった。この暖かさ、小春日和の太陽だ。
「半径10mに太陽光を擬似的に作り出す神聖魔法だ」
「凄いのです」
最下層に着地してナナはぴょんぴょんとはしゃぐ。ナナを中心にかけられているようで、動くと光も付いてくる。
「欠点が多い魔法ではあるんだけれどね」
「そうなのです?」
「発動は呪文一つだが、唱える魔導士が視界良好の時に発動しておく必要があるんだ。だから、暗視持ちじゃないと太陽が届かない時には使用できない。その代り、明かりを灯す系では明るい方ではあるし、持続時間はピカ一だ」
明るいうちに唱えておくタイプのようだ。その代り、暗くなってからの発動には暗視が必要と。自分の手持ちの呪文で似たような条件があるものを検索してみたら、グロウが出てきた。妖精の光を召喚する魔法で、蛮族や魔族には見えない淡い光が周囲に漂う感じになるらしい。
「アイツがいれば暗視を付与することができるんだが」
アイツが誰だか知らないが、いない人の魔法技能を欲しがっても仕方がない。
「魔法の他にもあるのです?」
「呼吸法で見通すことはできるけれど、燃費は悪いし、持続時間も短いですよ」
女声が丁寧に説明してくれる。呼吸法とは身体内の気を整え、特化させることで技能を得る方法で、短時間だが、魔力を使用せずにできる。集中力はいるらしい。
「蝋燭にランタンに懐中電灯みたいなものなのですね」
「うん」
「うん?」

                                        続く
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