っておい

シロ

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三、調査は進行して・・・いない!?

3ー29、変わらんな

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 冷たい外気が指先から温度を奪う。夏が近いはずなのに今晩は妙に冷え込んでいる。画面に表示された番号は全く知らないもの。孟起は臆することなく通話ボタンを押した。
『夜分遅くに申し訳ありません』
元気のない中性的な声が聞こえた。
「サード、それとも井上 久美子と呼ぼうか?俺はシャオって呼びたいとこだが?」
『・・・・・・午前一時、三笠公園にて他の方に内密で会えませんか?』
孟起の眉がピクリと動く。どうやって携帯の電話番号を知ったのだろうか。資料に書いてある仕事用ではなく、書いてないプライベート用の。
「わかった。じゃあな」
話し終えて中に入る文香が湯気のたったお茶を持ってきた。全員分お茶を淹れたからからだろう。
「誰からだったのだ?」
「昔のダチだ。久しぶりにツーリングに行こうだとさ」
「待て、どこへ行く?」
一緒に出てきた雲長に聞かれ、孟起は舌打ちした。
「会いに行くに決まっているだろう。今日の仕事は終わったんだ。時間分は働いた。文句はないだろう?」
じゃあなと背を向け、手を振ってバイクで去っていった孟起を雲長は睨みつけていたが、
「まったく、あいつは変わらんな」
と呟いた。
「で、でも、彼、頑張ってる」
珍しく自分に意見を言った文香の言葉に雲長はため息混じりに「わかっておる」と答えた。
孟起は自分が漢蜀に転入する変わりに自分の弟とその恋人を今の職業のままにしろと玄劉に頼んでいたのを雲長は偶然ドアの向こうで聞いていた。面倒がっても結局は真面目に仕事をこなしていることも、ああ見えて結構仲間思いなことも知っている。
「だからと言って単独行動を見逃す理由にはならぬ」
ピクッと自慢のヒゲを振るわせる雲長の後ろ姿を見て文香は微笑んだ。家の中に戻ろうとした文香がドアに手をかける前にドアは開いた。
「あの、父上。聞きたいことがあるのでござるが?」


                                 続く
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