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11ー1、ネコ、パスタを茹でる
エターナニル魔法学園特殊クラス
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魔法学園は全寮制である。寮長はいるが、依頼に出ていることが大半なのでいないも同然だ。料理は学食が開いている昼以外は完全に自炊。なので、1階のキッチンからいい匂いが漂ってくるとなると皆おこぼれにありつこうと集まってくる。料理嫌いが多いが、食欲は人一倍ある男子達が集まる寮なら尚更である。そんな中、注目を浴びながらイスカとレイカは食事を待っていた。
「待たせたかな?」
「「わぁ、美味しそう」どす」
運ばれてきたのは大皿いっぱいのスパゲッティだった。トマト味とバジル味。赤と緑が綺麗な2品である。海鮮風と山菜風。潮の匂いと森の香りがどちらも引き立てている。
「どうぞ召し上がれ」
「「いただきまーす」」
味は絶品だった。文字通りいくらでも入る、食べても食べても飽きない。パクパクと食べる二人の様子をリトアは満足気に眺めていたが、二人がおかわりと言い出す頃には台所に戻っていた。トントントンと野菜を刻む姿は無心である。
「皆も食べてね」
「「「「もちろん」」」」
大量のスパゲッティを運びながらリトアは声をかける。6年生は全員ギルド依頼に行っているので今残っているのは同級生と後輩である。覗いていた男子生徒達が我先にと入って席につく。ワクワクと待っているそれぞれの席にリトアはナポリタンを運んでいく。
「何かあったんやろか?」
「ふぇ?」
「リトア先輩が無計画に大量に料理作る時って無になりたい時やから」
「む?」
これだけの料理である。食材費だって馬鹿にならない。それを大量に作るのだから確かにストレス発散になりそうだ。知り合いにもそうやってストレス発散しては家に読んでパーティーしていた人がいたのをレイカは思い出していた。食後の紅茶を運んできたリトアの様子を2人はジッと観察する。目の下に隈が薄らと見えた。
「リトア先輩、何かあったの?」
「う、うん、依頼先でちょっと」
とても言い辛そうだ。前回の依頼が続いているはずはないので、新しい依頼だろう。この依頼によって戻って来られる時期も変わる。2人としては至急戻ってほしかった。
「今度の依頼はどこ行ってるの?」
「えっと、秘密かな」
「不良学校の依頼は終わったんどすか?」
「それは、恙なく」
あれ、話したかな?とリトアは首を傾げる。
「いない時にロンに尋ねたのよ」
「ああ、それで」
ロンの情報通ぶりは上級生の間でも有名のようだ。レイカからの情報もいっていると判断したのだろう。
「カズはん元気やろか?」
「む、誰よ」
「不良学校で世話になった騎士学校の人どす」
リトアの依頼とブッキングしていたから、彼も依頼終了して本来の学校に戻っているはずである。
「とても話しやすい人だからイスカちゃんもすぐに仲良くなると思うよ」
レイカが懐いているのだからそうだろう。今一つ釈然としないイスカだった。
「ヨゥ、騎士学校ノ調査ドウダッタカ?」
その秘密も背後から現れたロイズの一言であえなく崩れたのだった。
「ロイズ先輩、依頼の守秘義務どうしてくれるのですか?」
「はぁ、これくらいどうってことないだろう。それよりも何でそんなに苦戦してるんだ。対人情報収集は得意だろう」
「得意って程ではないのですが、まぁそれなりには・・・・・・・ただ、今回はほとんど話しかけてもらえませんし、話しかけても無視されますし」
「それ、イジメ言わへん?」
レイカの表情が曇る。自分で言ってなんだが、チクリとくるものがあるのだ。
「言うのかな・・・・なんか雰囲気は違う感じがするのだけれど」
「何々、実体験したことあるわけ?」
「イジメ救済要因として投入されたことなら」
証拠収集して教育機関に突き付けた。これにより、一人の生徒と一つの青空教室が救われた。
「うわー、ドロドロの依頼じゃん。何で引き受けたのよ」
「・・・・金欠だったからかな」
かなり羽振りのいい依頼だったが、リトアはこそっともう受けたくはないかなと付け足した。嫌な目にはあったようだ。だとしたら、尚更今回の依頼は受けるはずがなさそうだが?
「ひょっとして、今も金欠な訳?」
「薬屋さんのおかげで余裕はできました」
「だったら、何で?」
「時折受けないと腕が鈍るからかな。あと、余裕ができたと言っても少しだけだから」
「ナラ、何デ帰ッテキタ?」
任務中だろう。そう言われるとリトアはウッと言葉に詰まった。
「思うよりも情報が集まりません。このままでは予定帰還時間が大幅に遅れそうです」
「ソレダケナラ電話デモヨカッタハズダガ」
携帯番号はメールアドレス共々交換済みだろう、とロイズは意地悪く笑う。
「すみません、息抜きに来ました」
こういう素直なところはリトアのいいところだ。自分は絶対言わないし帰らないな、とイスカは思った。
「一時帰還ノ言イ訳ハドウシタンダ?」
「実家に帰ったということにしています。僕の実家はここですから」
「そうなんどすか?」
戦争孤児や災害難民時に発生した親無しの子供に対する救済措置らしい。公共交通機関が保護し、親権を受け入れられる人がいる場合、その人を保護者とする法律がある。それに乗っ取って学園に保護されたリトアの身柄は学園によって保障されることとなった。
「俺モろんモソノ対象ダ」
「へー、それは意外」
「戦争デ何モカモ失ッタカラナ」
「・・・・・・」
ちょっと意外な一面だ、とレイカは思った。
「それじゃあ、3人は身一つでここに来たの?」
「・・・そう」
「我ナガラヨク保護シテモラエタ」
「うん、身一つだったらしいよ」
「時機はバラバラなの?」
「・・・3年前」
「6、7年前ダッタカ」
「2年前だけど」
「あれ?リトア先輩は5年生よね?」
「能力が見合えば飛び級させてくれるよ」
実力検定試験という大学検定試験並みに難しい試験に合格することと一定の実績を積むことが必要である。大抵実績が足りても勉強する時間がない、またはその反対だったりする。
「マァ、特別処置ミタイナモノダ」
実質ないに等しい。
「実力あるのに一つの教科のせいで研究生やっている人もいるし」
「ヤリタクテモ基本教科ノ点数スラ赤点ノ奴ニ言ワレタカナイネ」
バチバチと赤い瞳とモノアイの間に火花が飛ぶ。
続く
「待たせたかな?」
「「わぁ、美味しそう」どす」
運ばれてきたのは大皿いっぱいのスパゲッティだった。トマト味とバジル味。赤と緑が綺麗な2品である。海鮮風と山菜風。潮の匂いと森の香りがどちらも引き立てている。
「どうぞ召し上がれ」
「「いただきまーす」」
味は絶品だった。文字通りいくらでも入る、食べても食べても飽きない。パクパクと食べる二人の様子をリトアは満足気に眺めていたが、二人がおかわりと言い出す頃には台所に戻っていた。トントントンと野菜を刻む姿は無心である。
「皆も食べてね」
「「「「もちろん」」」」
大量のスパゲッティを運びながらリトアは声をかける。6年生は全員ギルド依頼に行っているので今残っているのは同級生と後輩である。覗いていた男子生徒達が我先にと入って席につく。ワクワクと待っているそれぞれの席にリトアはナポリタンを運んでいく。
「何かあったんやろか?」
「ふぇ?」
「リトア先輩が無計画に大量に料理作る時って無になりたい時やから」
「む?」
これだけの料理である。食材費だって馬鹿にならない。それを大量に作るのだから確かにストレス発散になりそうだ。知り合いにもそうやってストレス発散しては家に読んでパーティーしていた人がいたのをレイカは思い出していた。食後の紅茶を運んできたリトアの様子を2人はジッと観察する。目の下に隈が薄らと見えた。
「リトア先輩、何かあったの?」
「う、うん、依頼先でちょっと」
とても言い辛そうだ。前回の依頼が続いているはずはないので、新しい依頼だろう。この依頼によって戻って来られる時期も変わる。2人としては至急戻ってほしかった。
「今度の依頼はどこ行ってるの?」
「えっと、秘密かな」
「不良学校の依頼は終わったんどすか?」
「それは、恙なく」
あれ、話したかな?とリトアは首を傾げる。
「いない時にロンに尋ねたのよ」
「ああ、それで」
ロンの情報通ぶりは上級生の間でも有名のようだ。レイカからの情報もいっていると判断したのだろう。
「カズはん元気やろか?」
「む、誰よ」
「不良学校で世話になった騎士学校の人どす」
リトアの依頼とブッキングしていたから、彼も依頼終了して本来の学校に戻っているはずである。
「とても話しやすい人だからイスカちゃんもすぐに仲良くなると思うよ」
レイカが懐いているのだからそうだろう。今一つ釈然としないイスカだった。
「ヨゥ、騎士学校ノ調査ドウダッタカ?」
その秘密も背後から現れたロイズの一言であえなく崩れたのだった。
「ロイズ先輩、依頼の守秘義務どうしてくれるのですか?」
「はぁ、これくらいどうってことないだろう。それよりも何でそんなに苦戦してるんだ。対人情報収集は得意だろう」
「得意って程ではないのですが、まぁそれなりには・・・・・・・ただ、今回はほとんど話しかけてもらえませんし、話しかけても無視されますし」
「それ、イジメ言わへん?」
レイカの表情が曇る。自分で言ってなんだが、チクリとくるものがあるのだ。
「言うのかな・・・・なんか雰囲気は違う感じがするのだけれど」
「何々、実体験したことあるわけ?」
「イジメ救済要因として投入されたことなら」
証拠収集して教育機関に突き付けた。これにより、一人の生徒と一つの青空教室が救われた。
「うわー、ドロドロの依頼じゃん。何で引き受けたのよ」
「・・・・金欠だったからかな」
かなり羽振りのいい依頼だったが、リトアはこそっともう受けたくはないかなと付け足した。嫌な目にはあったようだ。だとしたら、尚更今回の依頼は受けるはずがなさそうだが?
「ひょっとして、今も金欠な訳?」
「薬屋さんのおかげで余裕はできました」
「だったら、何で?」
「時折受けないと腕が鈍るからかな。あと、余裕ができたと言っても少しだけだから」
「ナラ、何デ帰ッテキタ?」
任務中だろう。そう言われるとリトアはウッと言葉に詰まった。
「思うよりも情報が集まりません。このままでは予定帰還時間が大幅に遅れそうです」
「ソレダケナラ電話デモヨカッタハズダガ」
携帯番号はメールアドレス共々交換済みだろう、とロイズは意地悪く笑う。
「すみません、息抜きに来ました」
こういう素直なところはリトアのいいところだ。自分は絶対言わないし帰らないな、とイスカは思った。
「一時帰還ノ言イ訳ハドウシタンダ?」
「実家に帰ったということにしています。僕の実家はここですから」
「そうなんどすか?」
戦争孤児や災害難民時に発生した親無しの子供に対する救済措置らしい。公共交通機関が保護し、親権を受け入れられる人がいる場合、その人を保護者とする法律がある。それに乗っ取って学園に保護されたリトアの身柄は学園によって保障されることとなった。
「俺モろんモソノ対象ダ」
「へー、それは意外」
「戦争デ何モカモ失ッタカラナ」
「・・・・・・」
ちょっと意外な一面だ、とレイカは思った。
「それじゃあ、3人は身一つでここに来たの?」
「・・・そう」
「我ナガラヨク保護シテモラエタ」
「うん、身一つだったらしいよ」
「時機はバラバラなの?」
「・・・3年前」
「6、7年前ダッタカ」
「2年前だけど」
「あれ?リトア先輩は5年生よね?」
「能力が見合えば飛び級させてくれるよ」
実力検定試験という大学検定試験並みに難しい試験に合格することと一定の実績を積むことが必要である。大抵実績が足りても勉強する時間がない、またはその反対だったりする。
「マァ、特別処置ミタイナモノダ」
実質ないに等しい。
「実力あるのに一つの教科のせいで研究生やっている人もいるし」
「ヤリタクテモ基本教科ノ点数スラ赤点ノ奴ニ言ワレタカナイネ」
バチバチと赤い瞳とモノアイの間に火花が飛ぶ。
続く
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