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8ー19、カメ、霊痕を探す

エターナニル魔法学園特殊クラス

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 やたらと豪華な馬車を下りてレイカが到着したのは超高層ビルだった。その25階、スイートルームに通される。ドアを開けてもらうとそこには豪華なソファーで飲み物を傾けるロイズの姿があった。ロボットのくせに妙に様になっている。居心地の悪さを感じながらロイズの向かいに座る。彼が飲んでいる茶色の液体は何だろうか?アルコールの類ではないと思うが、製油の類ではありそうだ。
「状況ハ電話デ話シタ通リダ」
「幽霊はん探すんやったなぁ」
「アア、出タ場所ハ完全ニらんだむだガ、ココノ敷地内ラシイ」
「ちょっと気になるんやけど、こっちの幽霊の認識ってどんな感じなんどすか?」
日本で幽霊と言えば結構広範囲をカバーしており、悪霊も含まれる。逆にヨーロッパなどで幽霊と言えば、害のない浮遊霊や地縛霊を言い、害のあるものは悪魔などと呼ばれる場合が多い。
「よーろっぱノ認識ニ近イナ」
「なら、何で調べはるの?」
「幽霊ガ出ダシタノガツイ最近ダカラト、悪霊カドウカヲ見極メルタメダナ」
一週間ほど前にそれは見られた。何をする訳でもなく中を漂って消えるそれ。だが、客に害があっては困る。ギルドへ依頼として出されたところ、何故か巡り巡って学園ギルドの依頼になっていた。
「女ノ霊ダッテコトガワカッテイルダケラシイ」
出るのは決まって丑三つ時。場所はロイズが統計を出してみたところ完全にバラバラだった。昨日は探せないかとホテル側全面協力の元写真を撮ってみたが、写らなかった。ビデオにも映っていないところを見るとやはり他の幽霊同様機械との相性は悪い。
「会ウ連中ニ何カ言オウトシテルラシイッテコトダナ」
「会話希望の可能性が高いなぁ」
「現時点デワカッテイルノハココマデダ」
「う~ん、実際見んと何とも言えへんなぁ」
「だろうな」
「ロイズ様、昼食の用意ができました」
ボーイがワゴンを押して持ってきたのはこのホテル自慢のフルーツサンドだった。昼間からビフテキはさすがにきついだろうというホテル側の配慮だった。
「ほな、探索行ってきます」
山のようなサンドイッチは仲間が来ると聞いていたからだろう。五人前はあったそれをレイカはペロリと食べきった。ロイズは2、3個口にした後は紅茶を優雅に嗜んでいた。
「おう、適当にぶらついとけ」
ケーブルを伸ばしてもらった監視カメラの映像を見ながらロイズが手を振る。適当にと言われても困る。仕方がないのでロビーから探索することにした。支配人に頼んで銃魚員以外立ち入り禁止の箇所も見て回った。その結果、
「何もおらへんかった」
日が暮れた頃、ようやく部屋に戻ってきたレイカが開口第一でそう告げた。
「ハ、イナイ訳ナイダロ」
「せやかて、うち全部屋見て回ったんぇ。確かに出たって部屋には霊痕があった個所もあったんけど、本体は見当たりまへんでした」
「イタコトハイタンダナ」
「そうどす」
「浮遊霊ノ類カ?」
「それにしては霊痕がバラバラなんどす。浮遊霊やったら線状に残る筈やし」
点でしか残っていないのもあるが、霊道がすぐ近くを通っているので大抵の浮遊霊はそっちに流れていく。目撃時間から出現場所の点を線で結んでいてもこのビルから出ていった形跡はない。レイカの目を掻い潜って隠れている可能性もないことはないが、それにしては真新しい出現場所の霊痕も点でしかなかった。
「テレポート使えるんやろか」
「ソンナ無茶苦茶ナ能力ハアイツダケデ十分ダ」
やはり、そう簡単に使える魔法ではないらしい。
「なら、答えは簡単。ずばり生霊どす」
「成程、出ル時間ガ限ラレテイルノハソノタメカ」
「出現場所がバラバラやけどホテルに限られてるのもそのためやな」
解決の糸口が掴めてきた。

                              続く
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