エターナニル魔法学園特殊クラス

シロ

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8-5、カメ、分かれ道

エターナニル魔法学園特殊クラス

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 早朝、ロイズの携帯にリトアからの連絡が入った。都市外れの廃坑にてリトアは待っていた。縛り上げた盗賊と一緒に。人数はざっと数えても50はいる。
「凄い。これ全部先輩が倒したの?」
「怪我してはる」
「見せてください。私回復魔法使えますから」
ミルクがリトアの怪我の程度を窺う。
「大した傷はないと思うよ」
「カケテモラエ。最低モウ一戦ハアルンダ」
「擦り傷程度だから簡単のでいいですね」
「じゃあ、お願いします」
「それにしても入り組んでるわね」
入り口から5mも入るともう6本に分かれている。
「戦前ニ使ッテイタンダロウ。封鎖サレテカナリタッテイル。脆クナッテルナ」
「それあたしに言ってるの」
「他ニ誰ニ言エバイイ」
リトアの銃は消音仕様だし、レイカは大した魔法使えないし、ミルクに至っては物質攻撃ができないときた。ロイズを除けば坑道崩壊の原因となる魔法を使えるのはイスカだけである。
「わかってるって。爆破系は自粛するわ」
「ソウシテクレルト非常ニ助カル。りとあ、念ノタメニ印ヲツケテオケ」
近くの樹にカリカリとサインを掘る。
「了解だよ」
「ヨシ、全員行クゾ!」
「「「「おーっ!!」」」」
と、勢いよく勇んで行ったはいいが、坑道内部は想像していたよりも枝分かれしていてレイカのマッピングでも高低差までは対処しきれず、一同は迷った。
「ああ、もう訳がわかんない。ここ十二字路あることになってるわ」
「T字路どすなぁ」
「ろん、まっぷ作成」
「・・・はい」
ロンが念じると目の前に立体マップが構成された。縦にも横にも入り組んでおり、通った道は色付けされている。今いる地点は中間より少し進んだところだ。赤い人形が5つ置かれている。
「こうしてみると結構進んだんですね」
「結構深いわね」
「枯渇スル前ハ主力鉱山ダッタソウダ」
「何年前の出来事どすか?」
「えっと、最終戦争より前だから300年ほど昔になるかな」
「何だ、結構最近なのね」
あたしは生まれていないけど、とイスカが続ける。こっちの基準がわからないレイカだったが、自分の持ち物の年齢を考慮するとそうでもないことに気が付いた。実家で使っている硯や文鎮、皿などはどれも祖母から譲り受けた物である。欠けることなく使い続けられているのは偏にレイカの物持ちの良さからだろう。
「ソレニシテモ何モイナイナ。護衛がーごいるクライ常備シテイルモンダガ」
「「「ガーゴイル?」」」
「怪物をかたどった彫刻のこと、かな。ゴーレム化すればインテリアとしても番人としても使えるから魔法使いの家には一つはあると認識してもいいはずだよ」
学園の正門に座っている犬と猫の銅像もそうだとリトアは説明した。そんな迫力はなかったとイスカとレイカは首を捻った。
「魂の実験をしてはるのならその残りかすを有効活用すればええのに」
「ソウイエバソレモナイナ」
「ちょっと、あえて触れなかったのに!」
「私も残りかすの方はちょっと・・・・」
平然と前を歩く三人にイスカとミルクはおっかなびっくりついて行く。リトアのライティングとロイズのライトだけが暗い坑道を照らす。
「それにしても何にもないわね」
「盗品は別途に売り捌いてるんじゃないかな」
「蛇ノ道ハ蛇トモ言ウナ。魔道士ハ研究以外ニ無頓着ナ者ガ多イ」
その最たる例が目の前にいる。授業の間でさえも研究に没頭したいがためにロボットロイズは生み出された。
「犯罪者と手を組むことが多いのもそのせいですか?」
「非合法ノ魔法ヲ研究シテイル者モ少ナクナイカラナ」
「ちなみにだけどロイズはどんな研究しているの?」
「非魔状態ニ使用デキルあいてむノ開発ダ」
「「「???」」」
「簡単に言うと、誰でも使える魔法道具の開発かな」
「私でも使える魔道具ですか?!それは凄いです」
「え?ミルクちゃん魔法使えるんじゃ?」
「回復魔法だけなの」
「それじゃあ、レイカと一緒にあたしの後ろにいなさい」
「守ってくれるのですか。ありがとうございますです」
「ドウデモイイガ、ろんヨリ後ロニ行クナヨ」
殿はロンが務めている。先頭に明かり担当の二人がいるので後ろはかなり暗いのだが、ロンは普段と同じように歩いている。
「終点ダナ」
一同は一際広い場所に出た。線路もここまでしか繋がっていない。
「何にもないわね」
「そうどすな」
「妙ダナ。大抵深部ニ作リタガルモノダガ」
「道を間違えたかな」
「ろん、ソノ辺ハドウダ?」
「53m上、レーダーに反応有り。反応数1人」
「・・・ソコマデノるーと検索」
ロンの操縦はロイズでもまだ難しいようだ。わかっているのなら言ってくれればいいのにと誰もが思うだろう。しかし、ロンはそれがわからないのである。一同は中間地点のT字路まで戻ってきた。今度は左に曲がる。すぐに行き止まりになった。よく見るとカードを通す溝がある。
「どうすんの?」
「ハッキングしはるの?」
「デキネーコトハナイガ・・・・・・」
「壊すのなら私できますよ」
「僕もできるかな」
「そうなの?」
「高霊力は機械と相性が悪いんどす」
幽霊が現れると機械の調子が悪くなるのがいい例だ。ミルクはそれを利用して誤作動をさせようとしたのだろう。手を当てて念じる。レイカには彼女の透明なオーラが高まっていくのがありありとわかった。それが機械に吸収されていく。バチバチっと火花が飛び、不気味な音を立てて壁が横にスライドした。奥の通路、右には合成された生物が浮かぶガラスケースが、左には入り混じり合う魂が入ったショーケースがズラリと並べてある。
「まさか、これ全部」
「・・・大半は動物の魂ですが」
「これは酷いどす」
「一研究者トシテワカランデモナイ」
「・・・・・・」
「専門外ダガナ」
「犯人はこの奥にいるのですか?」
坑道に不釣り合いなほど豪華な扉をミルクが指差す。
「・・・そう」
「各人準備ハイイカ!?」
「「「「おお!」」」」
勢いよく開けた扉の向こうには廊下よりもさらに多い実験サンプルが浮かんでいた。その中心に黒いローブを羽織った男が一人、試験管を傾けている。
「よ~こそ~、いらっしゃ~いまし~た」
「ちょっと、こっち向いて話しなさいよ!」
「そ~れは~しつ~れいしまし~た」
男の首がありえないほど仰け反った。まるで、背中に逆さまの顔が付いたかのように。
「こ~れで、よろし~でしょう~か」
「うわ、何あれ!?」
イスカはレイカを自分の後ろへ追いやった。そして、自分はロイズの後ろに行った。
「幽霊やあらへん」
それでもばっちり見てしまったレイカは涙目になる。
「・・・敵」
剣に手をやるロンに、
「殺スナヨ」
と言いつつも銃になっている指を相手に向けるロイズ。
「皆さん注意して」
リトアも拳を構えて臨戦態勢に入っている。その姿にレイカは違和感を覚えた。


                           続く
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