エターナニル魔法学園特殊クラス

シロ

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4-35、ウサギ、一先ず安心する

エターナニル魔法学園特殊クラス

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 ドロリと重い液体が動く。自分から何かが抜ける感覚と共に得体の知れない浮遊感が体を襲う。この空間が何とも言えない心地良さで、ユラリユラリと揺れ、流されていく。
「・・・・・・」
そんな中、自分に向けられた視線に気が付く。感覚だけでなく視覚としてそれは降ってきた。真上から、矢の如く。身体を捻ろうと力を入れるが、変な浮遊感に邪魔されてしまう。その矢印の向かう方向へ意識をやると暗闇の中へ飲み込まれていく。悍ましい感覚に精神が悲鳴を上げたその時だった。液体が一気に上昇し、意識をグッと持ち上げる。
「プハァッ、何なのよ、いったい」
「ワメクナ。単ナル貧血ダ」
ボンヤリする頭を振って目覚めをさらに良くするとそこには焼肉を食べているロイズとジアルの姿があった。
「あんた達、こんな時に何悠長に食べてるのよ?」
「焼肉、美味いぜ」
「そんなの見ればわかるわよ」
「いすか、落チ着ケ。コレモぞんびニ嗅覚ガナイトイウ証明実験ノ一環ナノダ」
身体の一部を送風機に替えたロイズが食欲をそそる匂いを窓の外に送り続けている。
「いいの?自分達の場所教えちゃって」
「平気平気」
口に肉を運びながらジアルが言う。
「どうせこの後突撃だろ」
よく見るとこの焼肉、読んで字の如く肉しか焼かれていない。人参がほしいと思いながらイスカも直接摘まんで食べだした。ロイズの背後には巨大な水槽があり、ぼんやりと光る剣が水中に浮いていた。まるで脈打っているみたいに上下に揺れている。
「あれが魔剣?」
不思議と恐怖が感じられない。視覚認識がなければただの剣としか思わなかっただろう。
「マァナ」
興味なさそうにロイズが答える。コンコンと軽いノック音がパチパチと焼ける音に混じって聞こえた。
「オウ、空イテルゾ」
「こんな時勢に焼肉とはええご身分どすなぁ」
レイカそっくりの見た目なのにこの言葉。瞳を見るまでもない。ユーキの方だとイスカは身を固くする。ユーキの後ろには同じく身を縮めたザリがいた。
「そない警戒せんでもとって食いはせんえ」
人肉は不味いからとジアルが笑う。どうやらユーキとジアルは知り合いのようだ。
「どうだったの?」
「先輩達も同級生も空間内に見当たらない。避難完了してるけれど、孤立無援な状態に近いと思う。そっちは?」
「犯人から要求があったとこ。それよりもレイカ見なかった?」
「いや、いなかった。校舎内にいるんじゃないか?」
「ちょっと理由があってね。まだ探索できていないのよ」
「れいかナラ無事ダゾ」
ロイズの言葉に二人は首がとれるかもしれないほど激しく振り返った。
「保健委員長ガ廊下デ寝テイタトコロヲ保護シタソウダ」
「それなら大丈夫ね」
「奴ガ筋骨隆々トシタ鋼人ノ大男ナノヲ除ケバナ」
鋼人とは、平均身長が190mもある岩のように硬い皮膚を持つ人族のことである。
「「うわ~」」
それはレイカにとって救済にはいるのだろうか。命の危険は確かに減少しているだろうが、その人について行く限り精神は消耗し続けていくだろう。
「せめて副保健委員長だったらなんとかなったのかもな」
「アア、アイツハ気配ガ中性的ダカラナ」
「あの子ね。どないしてはるんでしょうか?」
ユーキも知っているようだ。上級生は謎が多すぎる。
「別ノ一件ヲ担当シテ島外ダ」
「ちぇ、会って見たかったな~」
チンッという軽快な音がして剣の入った容器から水が抜けていく。黒く変色した剣から禍々しい気があふれ出てくる。
「固定完了。イイ出来ダ」
「自画自賛してはる」
「オ前ノソウイウトコロ嫌イダ」
「お互い様やろ」
「これからどうするのよ!」
この二人だけで話が進まないと思ったのかイスカが大声で遮る。
「剣を渡す組とゾンビ殲滅組に分かれるのが妥当ではないでしょうか」
「どう分けるんだ?」
「公平ニくじデイイダロ。運ブ者ハ二人ガ妥当ダナ。異議ガアル者ハナイカ」
印がついているのが当たりだ。そう言って差し出した割り箸を全員が凝視した。


                            続く
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