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4-28、ウサギ、学園に戻る

エターナニル魔法学園特殊クラス

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「すっかり変わっりはったなぁ」
「変わりすぎだろ」
 イスカ達が暮らしている学園は彼らにとって溜息が出るほど違う物になってしまっているらしい。カノウは苦笑いしているが、ユーキはしきりに厳しい目で辺りを見回している。
「どうだ?何か感じるか?」
「何か、ですか?」
 笑顔に促されてザリは目を閉じて周囲を洗ってみた。
別だって不信な気はない。
「特にありませんが?」
「・・・だとよ」
「そのようどすなぁ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
 ユーキとカノウは黙って笑い合った。何故かその間には火花が散っているように見えるイスカは首を傾げる。傍から見たら自分とレイカの方がまだ親しそうに見えるだろう。方や同棲しているカップルに方や自己の性別を偽っているルームメイトの友達同士。仲の良さなら明らかに前者が上である。なのになんだろう。この異様な緊張感は、
「そういえば、」
「「は、ハイなんでしょう!?」」
「二人ともそんな緊張せえへんでもええのに」
だったら、目から笑ってくださいと瞳で訴えるイスカとザリだったが、眩しいばかりの笑顔で拒否された。
「また、皆でピクニック行きたいなぁ」
「ああ、またセッティングするか」
あれ、何か違和感が・・・・・・?
「ザリどうかしたの?」
「あの二人、変な感じしませんか?」
「同居人同士にしては変な緊張感があるわよね。まるで狐の化かし合い」
「き・つ・ね・・・・・・あれがそうなのか?」
 獣人族。満月の夜に獣化する一族の総称とされるが、別に満月ではなくても特定の獣の姿になれる。四年に一回来る赤い月を見ると凶暴化する。種族を見分けるポイントである耳は、獣人族の場合少しトガリ気味で上部に少しだが毛が生えている。色はなれる動物の毛と同色となる。
 本に載っていたことを思い出しながらザリはチェックする。毛ある。色は・・・・・・小麦色、狐の夏毛の色だ。
「特徴はあっていると思うのよね」
「ピッタリだよ。少なくとも文献の種族選別では獣人族には間違いない。狐族かまではわからないけれど」
「つまり、書物情報だけだと彼は獣人族で間違いない、か」
「けど、なんだろう。変に引っ掛かる」
 勘に頼るなど今までのザリにはありえないことだった。
「あいつ、何か怪しい」
 イスカが睨んでいる。科目が底辺争いしている彼女の言葉に論理的解釈は付加されていない。完全に勘だ。普段はザリも勘など信用しない。根拠がないからだ。
 ただ、最近ザリも自分の感性も満更ではない、と特殊クラスの連中と一緒に行動してからそう思えてならなくなってきた。
「俺もそう思う」
「あら、珍しいじゃない」
「俺だって変わるんだ」
 じっくり視ても自分達の勘以外で他におかしいところが見当も付かない。
「ほな、そっちも上手くやりぃ」
「ああ、そっちこそ上手くやれよ」
 双方貼り付けた笑顔のまま会話は終了したらしく、カノウはユーキに手を振ると狐に姿を変えて海へと駆けていく。そのまま、波に飲まれた。
 駆け寄ろうとしたイスカとザリをユーキが止める。彼女の刺した波間から黒い塊が飛び出すと大きな鷹になって雲の中に消えていった。
「・・・カノウ先輩って」
「・・・いったい」
「あの馬鹿じゃあらへんよ」
「じゃあ、彼は?」
「学生時代に仲良うなった人の一人。うちに近い方の」
「つまり、性悪の方ね」
 慌ててイスカの口を押さえるが、ユーキにはばっちり聞こえていたようだ。ニッコリと微笑まれた。
「そうどす。あの様子やとまた相方に何かあらはったんやなぁ」
「何でそう思うの?」
「うちに似てはるからなぁ。考えある程度ならわかります」
「もしかして、その相方ってのは」
「従妹に似てはるもの」
「「男嫌い」」
「本当かは本人に訊いてみなはれ」
 この様子では従妹の男性恐怖症はまだ克服できていないらしい。


                             続く
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