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1、始まりの逃避とウサギの国での活劇

ウサギ、応援を貰う

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 その頃、城では・・・・・・
「わかったぞ。たぶんこれだ」
「どれよ?」
「ベタな言葉返してる場合か。今の王、つまりお前の母親が王位に就いた時のことだと思ってたんだが、所要ページが薄い。その時はすんなりと決まっていたんだ。今回の主犯はザリア・ゴファセカ・ア・カリエント。先々代の王の兄貴だな。目的は自分が王位に就くことだろう。かなり執着していたようだからな」
「その方なら私達の祖父の兄ということになりますね」
「なんでそんな奴が今頃国を乗っ取りにきたのよ。時期を完全に逃してるじゃない。もう王位継承者でもないくせに」
王族であったとしても王位継承権は永遠ではない。同世代である兄弟が子に王位を譲った場合、引退した王の兄弟からも同時に王位継承権が失われる。
ただし、国民代表議団3分の2賛成表も必要となる。
「そんなこと俺が知るかよ」
本人が王位にいた後の目的があって行動しているかどうかも怪しいものだとロイズは心の中で悪態づく。声に出さなかったのは「そんなのあたしが知っているわけないでしょ」と言われるのがわかっているからだ。
「ともかく、王族、元王族で騒ぎを起こしそうなのはこいつぐらいだ。あとは全員死んでる。ちなみに、お前らの母親は1人っ子で統計図を見た限りでは他に相続権があるのはお前の妹たちだけだな」
王に世継ぎが生まれずこの世を去った場合のみ、血の繋がりの近い者から新たな王が選ばれるが、現王の直系の子供がいる今、たとえ、前王の兄がクウデターを起こしても国民に認められない。
国民を扇動して起こしている訳ではないのだから。
「つまり、そいつを倒せばレイカを連れ戻せるのね。ついでにこの国も安泰になって一石二鳥」
「お姉様、それはさすがに・・・」
「そうね。レイカを鳥に例えるなんて変よね。どっちかっていうともっと可愛い・・・・・ふわふわもこもこのクマのぬいぐるみ。瞳がキュートで2頭身の」
「彼女のイメージにぴったりですわ。姉様」
「・・・その言葉、家臣らが聞いたらどう思うだろうな」
「「「「共感するにきまっておる!我々も応援いたしますぞ!!」」」」
どこからともなく出現して力説した大臣達にロイズはその場に崩れ落ちた。
この国、本当に大丈夫かよと呟いたが、部外者の自分だけが心配してもなんだなと携帯を取り出してメールを打ち始めた。
レイカがこの場にいたら疑問に思うだろう。エターナニルの住人である鋼人のロイズがカーレントの産物である携帯を持っていて使いこなしていることを。


                             続く
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