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1、始まりの逃避とウサギの国での活劇

ウサギ、多さに絶望する

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 現われた人格は、第1声で分かった通り、誰もが想像していた真面目な王というよりもどこにでもいる気前のいいおっさんといった感じであった。あまり負担を掛けたくないので早速用件を話したところ、しばらく考えてこう言った。
「あることはあるのだが」
「だが、なによ?」
「忘れた」
イスカが殴らなかったのは怒りを通り越して呆れたからではない。身体がレイカのものだからだ。レイカを殴ることは何としても避けたい。彼女は防御力などほとんどないに等しいのだ。
「まめに日記だけは付けといたからそれを読んでみてくれ」
結局、大した情報となるのはそれだけだった。
さっさと帰ってもらおうとしたのだが、両親や大臣たちに拒まれ、長時間話さないようにと念を押して日記を探すためにイスカとロイズはその場を離れた。
先代の王達の遺品が入っている塔があるからそこだろうと目星は付けている。
そして、塔の案内板を見ると5階がキルダ王のフロアーとなっていた。
ちなみにこの塔、達磨落としのように階を継ぎ足していける仕組みらしい。だからか、次の階に登るための梯子の場所に統一性がない。
目的のフロアーに辿り着くまでかなりの時間がかかった。目的のフロアーに辿り着いた時、2人はまだ何もしてないのに身体中が鉛のように重くなるのを感じた。梯子の位置が書かれている地図を作製するように言っておこう。
塔中を隈なく走り回った2人の意見だった。
そこには1面に入るだけ入れられた天井まで届く本棚とそれに隙間なくギッシリと詰められた同じ表紙の分厚い本が所狭しと陳列している。
「ひょっとして、これ全部日記?」
「エターナニルの最大の大戦乱時の王だったんだ。3283年間書く内容に事欠くなんてことはなかったんだろうな」
「しかも相当の記録を残すのが好きだったってわけね」
「この国のことなら即位した時期の近辺で知らされているはずだ。もしくは大戦乱が関係してるか。とりあえず、そこら辺を中心に手をつけてくぞ」
千里の道も一歩から。山積みの宿題も1枚から。2人は渋々本に手を伸ばした。
書類処理能力と検索能力が高い2人がこの場にいないことを悔やみながら。


                             続く
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