上 下
200 / 213
最終章

8-2

しおりを挟む
「醍醐……俺がお前に嵌められてからの数年間…どんな生活をしてきたか分かるか……?」


俺は話しながら、座る醍醐の周りに大量の灯油を撒く。

醍醐はそれを見て、目を見開きながら何か必死に訴えている。


「職を失い信頼してくれていた部下を失い…社会的な地位を失い、そして実刑判決を受けた。そもそもの話……お前に菜摘と愛莉も奪われてたんだなあ……」


灯油の量が段々と増えていく。

「その間お前は…普通に大学受験をして楽しいキャンパスライフを送り…大手企業に就職して結婚もした。その間も恐らく…多くの人を狂わせ、傷つけてきたのだろう」


俺はポケットから出したライターを右手に持ち、醍醐の顔の前へ持って行く。


「そんなお前は……生きていてはいけない。ましてや幸せに生きるなんて……許されてたまるものか!!」


俺の語気が強まるのと同時に、醍醐の目に溢れる涙の量も増えた。

そして俺の手元に小さく揺れる炎を見て、塞がれた口から大きなうめき声を出す。


「残念だったな醍醐……お前が今まで弄んできた奴らの執念だ。俺がここで代表して……それを消化してやろう」


ライターを持つ手に力が入る。

震える気持ちと声を手に込めて、俺は醍醐の前にライターを手放した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

イケメンにフラれた部下の女の子を堪能する上司の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

おむつ体験実習レポート

yoshieeesan
現代文学
以下は、看護や介護の職場の研修で時たま行われる研修に対するレポートの一例です。当然課題である実習レポートに複製して用いたりはしないでください。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

処理中です...