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最終章

7-5

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「はあ?何の用だよ!」

「まずはその女性の手を離しなさい。」



俺は警官を睨みながらその女から手を離さなかった。

「………手を離しなさい」

「嫌だね。」

「……離してよ!」

「ほら、この方も嫌がっている。今すぐに離さないと更に罪が重くなるぞ」

「はぁ?罪?」

「さっきあの看板を蹴って破損させただろ?器物破損と営業妨害の罪だ。」


警官は俺がさっき倒した看板を指差した。


「っクソがっ」

俺はそう言って女から手を離した。


女はすぐにビビったように俺を睨みながら逃げ出した。



「先程の看板の件に加えて、ビルの隙間で嫌がる男性を無理矢理追いかけていたこと…それについても話を聞かせてもらいたい。」


俺を見下しながら、強い怒りを滲ませた低い声で警官は言う。


(……チッ……さっきのあれまで見られてたのかよ)



俺は、あのガキに逃げられたことへの腹立たしさとこの警官の異常なまでの威圧的な態度、そしてビルの隙間でのやりとりを見られていたことへの恥ずかしさで、気がついたらその警官を思い切り殴っていたのだった。



罪をまた重ねたことなど、もうどうでも良かった。

俺はあのガキをまた1から探さなければいけないという途方もない苦労を想像し、イライラするだけだった。

19歳だった俺に取り調べをしていたあのエロクソ警官とは違い、今目の前で俺を執拗に取り調べている若い警官は、腹が立つほど清らかな目をしていた。

しかし本能的に、やっぱりこいつも俺と同類の人間…

つまり、あのガキへの異様な執着心の持ち主であることをも察したのだった。
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