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最終章
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「……いやです……!」
目の前の男が、首を横に振りながら自分のはだけた服を直した。
そのまま立ち上がり、俺から逃れようとする。
「おいっ!さっきまでここで『もっと~』って言ってたのはどこのどいつだよ!?」
俺は目の前から逃げ出したそいつを負いながら、背中に向かって叫んだ。
「お前……こういうところで無理矢理されんのが好きなんじゃねえのかよ?」
あと少しでビルの隙間から出て道に辿り着くという直前で、そいつは立ち止まって俺の方を振り向いた。
「……僕だって、誰でもいいわけじゃないですから…!」
そいつの奥で光る都会の夜の光は人工的だ。
だけど俺の目に直接届くそいつの光は、本物の天然な輝きを持っていた。
強気な表情でさっきの言葉を発したそいつは、10年前のあの時よりも、更に艶めかしい雰囲気を纏っていた。
それこそ都会の光のような俗的で下品な色気ではなく…精選された、純白な色気。
その空気には確かにこいつの言う通り、誰にでも安く自らを売っている訳ではなさそうな白さをまだ含んでいた。
俺はそいつのそんな矛盾した雰囲気につい見惚れていた。
そのせいでふと気づいたときには、そいつは猛ダッシュで道に抜けていた。
「あっおい!待てよっ!」
俺もすかさず追いかけるが、抜けた道は人でごった返していて、既にあいつの姿は見えなくなっていた。
「せっかく見つけたのに……ふざけんなっ!」
俺は自分への怒りと悔しさで、足元にあった小さめの看板を蹴り飛ばした。
「きゃっ!」
倒れた看板の近くにいた若い女が短い悲鳴をあげて俺の方を睨んで行く。
「……チっ」
俺はイライラをその女にぶつけようと思い、そいつの手首を摑んだ。
その時……
「そこの君、ちょっとこちらへ来なさい」
俺の背後から、背の高い警察官が俺の肩にを置いて話しかけてきた。
目の前の男が、首を横に振りながら自分のはだけた服を直した。
そのまま立ち上がり、俺から逃れようとする。
「おいっ!さっきまでここで『もっと~』って言ってたのはどこのどいつだよ!?」
俺は目の前から逃げ出したそいつを負いながら、背中に向かって叫んだ。
「お前……こういうところで無理矢理されんのが好きなんじゃねえのかよ?」
あと少しでビルの隙間から出て道に辿り着くという直前で、そいつは立ち止まって俺の方を振り向いた。
「……僕だって、誰でもいいわけじゃないですから…!」
そいつの奥で光る都会の夜の光は人工的だ。
だけど俺の目に直接届くそいつの光は、本物の天然な輝きを持っていた。
強気な表情でさっきの言葉を発したそいつは、10年前のあの時よりも、更に艶めかしい雰囲気を纏っていた。
それこそ都会の光のような俗的で下品な色気ではなく…精選された、純白な色気。
その空気には確かにこいつの言う通り、誰にでも安く自らを売っている訳ではなさそうな白さをまだ含んでいた。
俺はそいつのそんな矛盾した雰囲気につい見惚れていた。
そのせいでふと気づいたときには、そいつは猛ダッシュで道に抜けていた。
「あっおい!待てよっ!」
俺もすかさず追いかけるが、抜けた道は人でごった返していて、既にあいつの姿は見えなくなっていた。
「せっかく見つけたのに……ふざけんなっ!」
俺は自分への怒りと悔しさで、足元にあった小さめの看板を蹴り飛ばした。
「きゃっ!」
倒れた看板の近くにいた若い女が短い悲鳴をあげて俺の方を睨んで行く。
「……チっ」
俺はイライラをその女にぶつけようと思い、そいつの手首を摑んだ。
その時……
「そこの君、ちょっとこちらへ来なさい」
俺の背後から、背の高い警察官が俺の肩にを置いて話しかけてきた。
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