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最終章
3-4
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「おい隼。今日は早く起きないとまずいんじゃないか?」
隼たちと再会してから2年。
この春大学2年生になった隼が、俺の言葉に目を擦りながら反応する。
「んー……今何時ですか…?」
「9時30分だ。バイトの面接は1時間後だろ?準備しなくて大丈夫なのか?」
「えっ!!!!!」
さっきはギリギリまで細めていた目を大きく見開いて、隼はベッドから飛び降りた。
「もーー先生~!なんでもっと早く起こしてくれなかったんですか~もう遅刻しそうですよ」
「いや俺は何回も起こしたのにお前が起きなかったんだぞ?てか俺のせいにすんな!」
「だって……先生が昨日、あんなに遅くまで俺のこと……」
「あーー分かったわかった俺が悪かったよ。だからバイト先まで車出して飛ばしてやる。とりあえず急いで準備しろ、な?」
俺の言葉に安心したかのような顔を浮かべて隼は歯を磨く。
俺はその後ろ姿にさえも、ただ見惚れていた。
隼は今、俺が一人で暮らしているアパートの部屋にいる。
隼はつい先日20歳の誕生日を迎えた。
成人祝いだと言って2人で俺の部屋で酒を飲んで、様々な思い出話をして、相当盛り上がった。
ただ……
「なあ隼。お前、ちゃんと昨日のこと覚えてんのか?」
歯磨きを終え、洗った顔をタオルで拭いていた隼に後ろから声をかける。
「覚えてますよ!」
ニコッと笑って俺の質問に答える隼は、まるで昨日の夜に見た姿とは別人のような純真さを湛えている。
俺と隼は昨日の夜……
酒の勢いで、つい大人の関係を持ってしまったのだ。
「先生、間違ってもあれはお酒の勢いだとか言わないでくださいよ?」
俺の気持ちを見抜いたかのように隼が悪戯な笑みを浮かべて言う。
「違うのか?少なくともシラフではなかったし…」
「酷いです先生。要はお酒が入ってなかったら、あんなことはしなかったってことですか…?」
「うっ………いやっそれは違うけど……」
「じゃあお酒のせいにするのはダメです!ちゃんと自分たちの意志だったってことを認めましょ?」
再び悪魔が誘惑するような笑顔で俺の隣に座ってくる。
こいつはほんとに……
「……先生……思い出したら俺、またしたくなっちゃいました……」
床に座る俺の隣に来て、俺の部屋着の袖を少しつまんで顔を至近距離まで近づけた隼が言う。
その唇の真っ赤な血色は、まるで欲を溜め込んでいるかのようだ。
「隼……お前今から面接だろ……?そんな時間は…」
「先生はもう、俺としたくないんですか?」
「……そんなことは言ってないだろ。…知ってるとは思うが、俺はお前があの頃から好きなんだよ。したくないわけがない」
「じゃあちょっとでもいいからしましょーよ」
「あ、おい!」
俺の理性をことごとく破壊するかのように、微笑の悪魔は俺の唇を奪う。
「………ほんとに遅れるぞ……」
一度口つけられただけで全身が火照りそうな魅惑の唇を感じながら、俺は必死に理性を繋ぎ止めようとした。
「……そのときは、センセイとしてたら遅くなっちゃいましたって、素直に言いますよ」
顔を近づけてきて再びキスの構えをしながら、情欲的な目を細めた隼は、またあの笑みを浮かべながらそんなことを言う。
こいつは……きっと、自分がそういう発言をしても、面接官までもを妄想の世界に引き込み自分の魅力に落とすことができるということを、分かっているのだ…
少なくとも俺が面接官なら、遅れてきたこいつにそんな理由を告げられたら、間違いなく発情してしまうだろう。
ほんとに恐ろしい男だ……
俺はそんなことを思いながらも、どこまでが素でどこまでが意識的なのかがまるで分からないこいつの、嬌艶で甘美な魅力に溺れてしまったのである。
隼たちと再会してから2年。
この春大学2年生になった隼が、俺の言葉に目を擦りながら反応する。
「んー……今何時ですか…?」
「9時30分だ。バイトの面接は1時間後だろ?準備しなくて大丈夫なのか?」
「えっ!!!!!」
さっきはギリギリまで細めていた目を大きく見開いて、隼はベッドから飛び降りた。
「もーー先生~!なんでもっと早く起こしてくれなかったんですか~もう遅刻しそうですよ」
「いや俺は何回も起こしたのにお前が起きなかったんだぞ?てか俺のせいにすんな!」
「だって……先生が昨日、あんなに遅くまで俺のこと……」
「あーー分かったわかった俺が悪かったよ。だからバイト先まで車出して飛ばしてやる。とりあえず急いで準備しろ、な?」
俺の言葉に安心したかのような顔を浮かべて隼は歯を磨く。
俺はその後ろ姿にさえも、ただ見惚れていた。
隼は今、俺が一人で暮らしているアパートの部屋にいる。
隼はつい先日20歳の誕生日を迎えた。
成人祝いだと言って2人で俺の部屋で酒を飲んで、様々な思い出話をして、相当盛り上がった。
ただ……
「なあ隼。お前、ちゃんと昨日のこと覚えてんのか?」
歯磨きを終え、洗った顔をタオルで拭いていた隼に後ろから声をかける。
「覚えてますよ!」
ニコッと笑って俺の質問に答える隼は、まるで昨日の夜に見た姿とは別人のような純真さを湛えている。
俺と隼は昨日の夜……
酒の勢いで、つい大人の関係を持ってしまったのだ。
「先生、間違ってもあれはお酒の勢いだとか言わないでくださいよ?」
俺の気持ちを見抜いたかのように隼が悪戯な笑みを浮かべて言う。
「違うのか?少なくともシラフではなかったし…」
「酷いです先生。要はお酒が入ってなかったら、あんなことはしなかったってことですか…?」
「うっ………いやっそれは違うけど……」
「じゃあお酒のせいにするのはダメです!ちゃんと自分たちの意志だったってことを認めましょ?」
再び悪魔が誘惑するような笑顔で俺の隣に座ってくる。
こいつはほんとに……
「……先生……思い出したら俺、またしたくなっちゃいました……」
床に座る俺の隣に来て、俺の部屋着の袖を少しつまんで顔を至近距離まで近づけた隼が言う。
その唇の真っ赤な血色は、まるで欲を溜め込んでいるかのようだ。
「隼……お前今から面接だろ……?そんな時間は…」
「先生はもう、俺としたくないんですか?」
「……そんなことは言ってないだろ。…知ってるとは思うが、俺はお前があの頃から好きなんだよ。したくないわけがない」
「じゃあちょっとでもいいからしましょーよ」
「あ、おい!」
俺の理性をことごとく破壊するかのように、微笑の悪魔は俺の唇を奪う。
「………ほんとに遅れるぞ……」
一度口つけられただけで全身が火照りそうな魅惑の唇を感じながら、俺は必死に理性を繋ぎ止めようとした。
「……そのときは、センセイとしてたら遅くなっちゃいましたって、素直に言いますよ」
顔を近づけてきて再びキスの構えをしながら、情欲的な目を細めた隼は、またあの笑みを浮かべながらそんなことを言う。
こいつは……きっと、自分がそういう発言をしても、面接官までもを妄想の世界に引き込み自分の魅力に落とすことができるということを、分かっているのだ…
少なくとも俺が面接官なら、遅れてきたこいつにそんな理由を告げられたら、間違いなく発情してしまうだろう。
ほんとに恐ろしい男だ……
俺はそんなことを思いながらも、どこまでが素でどこまでが意識的なのかがまるで分からないこいつの、嬌艶で甘美な魅力に溺れてしまったのである。
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