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最終章
1-1
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『冤罪確定、無罪放免!2年越しの再審結果』
20XX年、秋。
デカデカとそう書かれた新聞の大見出しは、ニュースの速報、ネットの閲覧トップの記事とほとんど同じ内容だった。
「麻友さん……」
私は、あれから隼くんと2人で海吏くんを救うために戦った。
私は今から、2年ぶりに海吏くんに会う。
隼くんが隣にいてくれてて、緊張で震えている私をずっと心配してくれている。
隼くんが弁護士を雇ってくれてからは、比較的スムーズに事が運んだ。
難航すると思っていた海吏くんへの説得も、隼くんの手にかかればあっという間だった。
一体どんな手を使ったのかと聞いても、隼くんは「秘密」の一点張りで教えてくれない。
だけど海吏くんが自分の判断の誤りに気づき、本当の事を話してくれたおかげで、私たちの行動は無駄にならなかった。
私と海吏くんは、本当の犯人以外の人物に罪を擦り付ける「犯人隠避」の罪に問われた。
だけどそれは、海吏くんが背負おうとしていた罪に比べたら、ずっとずっと軽いものだ。
「そろそろ海吏が出てくるかな?」
私たちは、海吏くんが少年刑務所から出てくるのを待っていた。
私の早まる鼓動と震える足は、あの夜以来初めて海吏くんに会えるということへの喜びだけでなく、
顔を見た途端に自分の気持ちをまた自覚せざるを得なくなってしまうだろうという妙な緊張感から出てきたものだった。
私が隼くんに本当の事を話して事態が動き出してからも、私は海吏くんに直接会っていない。
あの日誓った海吏くんの生き方を、私が邪魔したことを分かっているから。
海吏くんは、私を赦してくれるだろうか……
震える呼吸が思わず口から音として聞こえだした時、目の前から懐かしい人物が歩いてきた。
20XX年、秋。
デカデカとそう書かれた新聞の大見出しは、ニュースの速報、ネットの閲覧トップの記事とほとんど同じ内容だった。
「麻友さん……」
私は、あれから隼くんと2人で海吏くんを救うために戦った。
私は今から、2年ぶりに海吏くんに会う。
隼くんが隣にいてくれてて、緊張で震えている私をずっと心配してくれている。
隼くんが弁護士を雇ってくれてからは、比較的スムーズに事が運んだ。
難航すると思っていた海吏くんへの説得も、隼くんの手にかかればあっという間だった。
一体どんな手を使ったのかと聞いても、隼くんは「秘密」の一点張りで教えてくれない。
だけど海吏くんが自分の判断の誤りに気づき、本当の事を話してくれたおかげで、私たちの行動は無駄にならなかった。
私と海吏くんは、本当の犯人以外の人物に罪を擦り付ける「犯人隠避」の罪に問われた。
だけどそれは、海吏くんが背負おうとしていた罪に比べたら、ずっとずっと軽いものだ。
「そろそろ海吏が出てくるかな?」
私たちは、海吏くんが少年刑務所から出てくるのを待っていた。
私の早まる鼓動と震える足は、あの夜以来初めて海吏くんに会えるということへの喜びだけでなく、
顔を見た途端に自分の気持ちをまた自覚せざるを得なくなってしまうだろうという妙な緊張感から出てきたものだった。
私が隼くんに本当の事を話して事態が動き出してからも、私は海吏くんに直接会っていない。
あの日誓った海吏くんの生き方を、私が邪魔したことを分かっているから。
海吏くんは、私を赦してくれるだろうか……
震える呼吸が思わず口から音として聞こえだした時、目の前から懐かしい人物が歩いてきた。
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