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冤罪少年の話

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「隼先輩……俺……あの日、最後の最後まで迷ってました…」


俺は2年前のあの日に記憶を戻しながら、隼先輩へ全て話すことにした。

「最後の瞬間……先生に見つかるまで、俺は隼先輩と一緒にいましたよね?その時はもちろんですけど……実は、隼先輩を傷つけている時も…相当迷ってたんです」


隼先輩は俺の話に優しく頷いて黙って聞いてくれている。


「あの時、隼先輩の顔を見た瞬間、俺は自分でしたはずの決心を崩してしまいそうでした。……大好きな隼先輩とこれからも一緒ににいたい…付き合ったり結婚したりはできないけど、一番の後輩として一生仲良くしてもらいたい…そういう気持ちが、俺の中にどうしても残っていました」


俺は麻友の前で、自分の人生を諦める口実として罪を着ることを決めた。

だけどいざ隼先輩を見ると、そんな気持ちが揺らいできたのだった。


「だから俺は……自分で決めた自分になろうと思って隼先輩を傷つけました。…ああでもしないと、俺は自分の良心や甘えを消すことができなかった……」

隼先輩を見てると気持ちが揺れるのなら、隼先輩を傷つけることで俺は犯罪者になりきろう……

そう思ったのだった。


「だけど不思議ですよね。隼先輩を傷つけるのは、自分の感情を消し去るためなはずなのに…触れれば触れるほど、隼先輩への気持ちは募るばかりでした」


綺麗な顔、手、足、髪が俺によって傷つけられていく。

真っ赤な血が飛び散り、隼先輩が叫ぶ。

その度に、俺は自然と隼先輩を心から傷つけているんだということに気づいたのだった。
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