160 / 213
冤罪少年の話
5
しおりを挟む
「隼先輩……俺……あの日、最後の最後まで迷ってました…」
俺は2年前のあの日に記憶を戻しながら、隼先輩へ全て話すことにした。
「最後の瞬間……先生に見つかるまで、俺は隼先輩と一緒にいましたよね?その時はもちろんですけど……実は、隼先輩を傷つけている時も…相当迷ってたんです」
隼先輩は俺の話に優しく頷いて黙って聞いてくれている。
「あの時、隼先輩の顔を見た瞬間、俺は自分でしたはずの決心を崩してしまいそうでした。……大好きな隼先輩とこれからも一緒ににいたい…付き合ったり結婚したりはできないけど、一番の後輩として一生仲良くしてもらいたい…そういう気持ちが、俺の中にどうしても残っていました」
俺は麻友の前で、自分の人生を諦める口実として罪を着ることを決めた。
だけどいざ隼先輩を見ると、そんな気持ちが揺らいできたのだった。
「だから俺は……自分で決めた自分になろうと思って隼先輩を傷つけました。…ああでもしないと、俺は自分の良心や甘えを消すことができなかった……」
隼先輩を見てると気持ちが揺れるのなら、隼先輩を傷つけることで俺は犯罪者になりきろう……
そう思ったのだった。
「だけど不思議ですよね。隼先輩を傷つけるのは、自分の感情を消し去るためなはずなのに…触れれば触れるほど、隼先輩への気持ちは募るばかりでした」
綺麗な顔、手、足、髪が俺によって傷つけられていく。
真っ赤な血が飛び散り、隼先輩が叫ぶ。
その度に、俺は自然と隼先輩を心から傷つけているんだということに気づいたのだった。
俺は2年前のあの日に記憶を戻しながら、隼先輩へ全て話すことにした。
「最後の瞬間……先生に見つかるまで、俺は隼先輩と一緒にいましたよね?その時はもちろんですけど……実は、隼先輩を傷つけている時も…相当迷ってたんです」
隼先輩は俺の話に優しく頷いて黙って聞いてくれている。
「あの時、隼先輩の顔を見た瞬間、俺は自分でしたはずの決心を崩してしまいそうでした。……大好きな隼先輩とこれからも一緒ににいたい…付き合ったり結婚したりはできないけど、一番の後輩として一生仲良くしてもらいたい…そういう気持ちが、俺の中にどうしても残っていました」
俺は麻友の前で、自分の人生を諦める口実として罪を着ることを決めた。
だけどいざ隼先輩を見ると、そんな気持ちが揺らいできたのだった。
「だから俺は……自分で決めた自分になろうと思って隼先輩を傷つけました。…ああでもしないと、俺は自分の良心や甘えを消すことができなかった……」
隼先輩を見てると気持ちが揺れるのなら、隼先輩を傷つけることで俺は犯罪者になりきろう……
そう思ったのだった。
「だけど不思議ですよね。隼先輩を傷つけるのは、自分の感情を消し去るためなはずなのに…触れれば触れるほど、隼先輩への気持ちは募るばかりでした」
綺麗な顔、手、足、髪が俺によって傷つけられていく。
真っ赤な血が飛び散り、隼先輩が叫ぶ。
その度に、俺は自然と隼先輩を心から傷つけているんだということに気づいたのだった。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
黄昏は悲しき堕天使達のシュプール
Mr.M
青春
『ほろ苦い青春と淡い初恋の思い出は・・
黄昏色に染まる校庭で沈みゆく太陽と共に
儚くも露と消えていく』
ある朝、
目を覚ますとそこは二十年前の世界だった。
小学校六年生に戻った俺を取り巻く
懐かしい顔ぶれ。
優しい先生。
いじめっ子のグループ。
クラスで一番美しい少女。
そして。
密かに想い続けていた初恋の少女。
この世界は嘘と欺瞞に満ちている。
愛を語るには幼過ぎる少女達と
愛を語るには汚れ過ぎた大人。
少女は天使の様な微笑みで嘘を吐き、
大人は平然と他人を騙す。
ある時、
俺は隣のクラスの一人の少女の名前を思い出した。
そしてそれは大きな謎と後悔を俺に残した。
夕日に少女の涙が落ちる時、
俺は彼女達の笑顔と
失われた真実を
取り戻すことができるのだろうか。
女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
善意一〇〇%の金髪ギャル~彼女を交通事故から救ったら感謝とか同情とか罪悪感を抱えられ俺にかまってくるようになりました~
みずがめ
青春
高校入学前、俺は車に撥ねられそうになっている女性を助けた。そこまではよかったけど、代わりに俺が交通事故に遭ってしまい入院するはめになった。
入学式当日。未だに入院中の俺は高校生活のスタートダッシュに失敗したと落ち込む。
そこへ現れたのは縁もゆかりもないと思っていた金髪ギャルであった。しかし彼女こそ俺が事故から助けた少女だったのだ。
「助けてくれた、お礼……したいし」
苦手な金髪ギャルだろうが、恥じらう乙女の前に健全な男子が逆らえるわけがなかった。
こうして始まった俺と金髪ギャルの関係は、なんやかんやあって(本編にて)ハッピーエンドへと向かっていくのであった。
表紙絵は、あっきコタロウさんのフリーイラストです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
聖也と千尋の深い事情
フロイライン
BL
中学二年の奥田聖也と一条千尋はクラス替えで同じ組になる。
取り柄もなく凡庸な聖也と、イケメンで勉強もスポーツも出来て女子にモテモテの千尋という、まさに対照的な二人だったが、何故か気が合い、あっという間に仲良しになるが…
ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした
黒足袋
青春
インターネット上で†吸血鬼†を自称する最強ゲーマー・ヴァンピィ。
日向太陽はそんなヴァンピィとネット越しに交流する日々を楽しみながら、いつかリアルで会ってみたいと思っていた。
ある日彼はヴァンピィの正体が引きこもり不登校のクラスメイトの少女・月詠夜宵だと知ることになる。
人気コンシューマーゲームである魔法人形(マドール)の実力者として君臨し、ネットの世界で称賛されていた夜宵だが、リアルでは友達もおらず初対面の相手とまともに喋れない人見知りのコミュ障だった。
そんな夜宵はネット上で仲の良かった太陽にだけは心を開き、外の世界へ一緒に出かけようという彼の誘いを受け、不器用ながら交流を始めていく。
太陽も世間知らずで危なっかしい夜宵を守りながら二人の距離は徐々に近づいていく。
青春インターネットラブコメ! ここに開幕!
※表紙イラストは佐倉ツバメ様(@sakura_tsubame)に描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる