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冤罪少年の話

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俺はこの話をされた時、真っ先にあいつを思い浮かべた。


俺の幼馴染の、佐々木麻友。


あの夜、その場にいた唯一の人物。

麻友の友達で、隼先輩のストーカーをしてた人は、気を失っていた。

だから、あの話ができるのは、麻友しかいないはずなのだ。





俺はあの日、麻友の前で誓ったんだ。


俺の人生は、たかが知れてる。


これからも幸せになることや願いが叶うことは絶対にない。


それならば、一人暗いこの部屋で一生を過ごすのと、何が変わると言うのだろう。


むしろ、何もない人生をただ歩むよりは、重大犯罪を犯した者というレッテルを貼られて生きたほうが、俺にとってはよっぽど楽だ。

だって、そうなればどうせ俺は犯罪者として扱われるのだから。

夢や希望が叶わないのは当たり前だと思うことができるのだから。

普通の人間のように機会だけは平等に与えられ、その中で必死に希望にすがり、結局何も掴めずに絶望するよりは、はじめからそんな機会はない方がいい。


淡い期待も努力も均等なチャンスも、何もかも奪われてしまったほうが俺みたいな奴にとってはいい諦めの理由になる。

惨めさが半減するのだ。




なのに、麻友は話してしまったか……


俺はこれからどうなるんだろう。


麻友の話を嘘だと言って、自分のしようとしていることを貫けばいいのだろうか。


いや、そうしたいのだけど。そうすれば今度は麻友が別の罪に問われたりするだろうか?



俺は考えてもわからなかったので、とりあえず限界までシラを切り通すことにした。


あの日誓ったことを、これから先も貫いてやる……




あの日までは、そう思っていた。
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