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8人目:ビッチ姉妹の話
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『20XX年 12月25日
私と隼くんが一緒に迎える、初めてのクリスマス。
「菜摘さん!雪が降ってきたよ!」
都内から少し離れた所にあるクリスマスツリーを眺めていたとき、隼くんがはしゃいだように言いながら空を仰いだ。
「今年の初雪かな?ツリーに降り積もる感じが、とても綺麗ね」
白い息を吐きながら、私は隼くんの隣に並び、夜空を見上げる。
「てっぺんのスターの部分に雪がかかると、余計に輝いて見えるんだね……」
ふと隣で呟く隼くんの目は、この世で最も澄んでいる。
隼くんが時々口にする言葉はとても洗練されていて、その美しい感性に、私はただただ感心するばかりだった。
「すごいね隼くん。よくそんなところに気づいたね」
「うん!」
自然と優しい笑みが溢れる。
隼くんはそんな私の言葉と笑顔を、嬉しそうに眺める。
「隼くんは、家族以外とクリスマスを過ごすのは初めて?」
相変わらず上を見上げている隼くんに問いかけてみた。
「初めてだよ!いつもは家にいて、家族みんなでケーキとチキンを食べて、プレゼントを交換するんだ」
柔らかな笑顔を称えて語る隼くんからは、品が良くて暖かい家族に包まれているんだろうという雰囲気が溢れている。
「そっか……じゃあ、今日は家族から隼くんを奪っちゃったね」
少しの罪悪感を覚えながらも、同時に込み上げる優越感を無視できなかった。
「うん!でも…みんな僕がデートするって言ったら喜んでくれたよ」
隼くんは、家族に彼女ができたことを報告していたみたいだった。
ただ、もちろん相手が25歳であるということは伏せていた。
きっと隼くんの家族は、同じ小学生と付き合っていると思っているのだろう。
「それでね……」
ツリーの周りにはカップルたちが沢山いる。
そんな男女の中の1組となっていた私達は、向き合って立っていた。
隼くんがコートのポケットに手を突っ込み私の顔を見る。
「これ……菜摘さんに、クリスマスプレゼント…」
恥ずかしそうに顔を赤らめながら、隼くんは小さな箱を大事そうに手で包みこむようにして差し出した。
「ありがとう…!」
私は隼くんの手から、小さな赤い箱を受け取った。
「何がいいか、すごい迷って……その、初めてのプレゼントだから……だけど、菜摘さんに似合うだろうなって思ったから……」
私の反応を恐れるように、落ち着かない様子で隼くんが説明してくれる。
隼くんがくれたのは、小さな雪の結晶の形をしたネックレスだった。
結晶の中心には、ひとつだけダイヤが輝いている。
「可愛い!!ありがとう隼くん!」
見た瞬間、私はテンションが上がった。
そして早速ネックレスを付けた。
銀色のネックレスは、私の肌の上で柔らかく光っている。
「隼くん、センス抜群だね!私がシルバーや白が好きなこととか、こういうワンポイントのネックレスが好きなこと…分かっててくれてたの?」
私の反応に安心したのか、少し笑顔が戻ってきた隼くんに尋ねてみた。
私の言葉の通り、隼くんがくれたネックレスは、全てにおいて私の好みのドンピシャだった。
「前に誕生日にくれた時計が白だったし…菜摘さんがよくつけてるピアスもブレスレットもダイヤのものが多かったから…何となく好きなのかなって思ったんだ」
まだ顔を赤くしながらも、私の目を見つめて隼くんが答える。
そんな隼くんのいじらしい反応に、私は今貰ったプレゼントと同レベルの喜びを感じていた。』
私と隼くんが一緒に迎える、初めてのクリスマス。
「菜摘さん!雪が降ってきたよ!」
都内から少し離れた所にあるクリスマスツリーを眺めていたとき、隼くんがはしゃいだように言いながら空を仰いだ。
「今年の初雪かな?ツリーに降り積もる感じが、とても綺麗ね」
白い息を吐きながら、私は隼くんの隣に並び、夜空を見上げる。
「てっぺんのスターの部分に雪がかかると、余計に輝いて見えるんだね……」
ふと隣で呟く隼くんの目は、この世で最も澄んでいる。
隼くんが時々口にする言葉はとても洗練されていて、その美しい感性に、私はただただ感心するばかりだった。
「すごいね隼くん。よくそんなところに気づいたね」
「うん!」
自然と優しい笑みが溢れる。
隼くんはそんな私の言葉と笑顔を、嬉しそうに眺める。
「隼くんは、家族以外とクリスマスを過ごすのは初めて?」
相変わらず上を見上げている隼くんに問いかけてみた。
「初めてだよ!いつもは家にいて、家族みんなでケーキとチキンを食べて、プレゼントを交換するんだ」
柔らかな笑顔を称えて語る隼くんからは、品が良くて暖かい家族に包まれているんだろうという雰囲気が溢れている。
「そっか……じゃあ、今日は家族から隼くんを奪っちゃったね」
少しの罪悪感を覚えながらも、同時に込み上げる優越感を無視できなかった。
「うん!でも…みんな僕がデートするって言ったら喜んでくれたよ」
隼くんは、家族に彼女ができたことを報告していたみたいだった。
ただ、もちろん相手が25歳であるということは伏せていた。
きっと隼くんの家族は、同じ小学生と付き合っていると思っているのだろう。
「それでね……」
ツリーの周りにはカップルたちが沢山いる。
そんな男女の中の1組となっていた私達は、向き合って立っていた。
隼くんがコートのポケットに手を突っ込み私の顔を見る。
「これ……菜摘さんに、クリスマスプレゼント…」
恥ずかしそうに顔を赤らめながら、隼くんは小さな箱を大事そうに手で包みこむようにして差し出した。
「ありがとう…!」
私は隼くんの手から、小さな赤い箱を受け取った。
「何がいいか、すごい迷って……その、初めてのプレゼントだから……だけど、菜摘さんに似合うだろうなって思ったから……」
私の反応を恐れるように、落ち着かない様子で隼くんが説明してくれる。
隼くんがくれたのは、小さな雪の結晶の形をしたネックレスだった。
結晶の中心には、ひとつだけダイヤが輝いている。
「可愛い!!ありがとう隼くん!」
見た瞬間、私はテンションが上がった。
そして早速ネックレスを付けた。
銀色のネックレスは、私の肌の上で柔らかく光っている。
「隼くん、センス抜群だね!私がシルバーや白が好きなこととか、こういうワンポイントのネックレスが好きなこと…分かっててくれてたの?」
私の反応に安心したのか、少し笑顔が戻ってきた隼くんに尋ねてみた。
私の言葉の通り、隼くんがくれたネックレスは、全てにおいて私の好みのドンピシャだった。
「前に誕生日にくれた時計が白だったし…菜摘さんがよくつけてるピアスもブレスレットもダイヤのものが多かったから…何となく好きなのかなって思ったんだ」
まだ顔を赤くしながらも、私の目を見つめて隼くんが答える。
そんな隼くんのいじらしい反応に、私は今貰ったプレゼントと同レベルの喜びを感じていた。』
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