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7人目:とある刑事の話

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「僕は、あなたが嫌いです。……人間なので、誰もが失敗したり意図せず罪を犯してしまうこともあると思います。……そこで反省したり、罪を認めたならば許せます。僕も沢山失敗するので。………けど……反省もせずに嘘や罪を重ねながら、人を貶めて懐柔して自分の意のままにし、煙に巻こうとするやり方は……卑怯です。はっきり言って最低です」


醍醐の溢れる涙からは、抑えられない俺への怒りの感情が滲んでいた。


俺を睨みつける目や怒りに震える唇は、これまでどんな聴取の際にも見たことのない激しい感情を表していた。

今まで色んな事件に巻き込まれた際にも、ここまでハッキリとその感情を示していることはなかった。


俺は、これまで醍醐を犯し、苦しめ、傷つけてきたどんな奴らよりも、醍醐に嫌われたのだ。


「……愛莉さんはきっと…道路に飛び込む直前に……自分のしたことを思い出したんだと思います。」


流れる沈黙の中、醍醐が再び口を開く。


「最後に僕の目を見て、『ごめんなさい』と言いました。それしか聞いていないので……あくまで僕の憶測でしかありませんが。きっと僕と菜月さんが体を重ねているのを見て………強いショックを受けて、失くしていた記憶を取り戻したんだと思います」



醍醐の涙は止まることなく、あの日のあの場面へと蘇る。


「愛莉さんも、最後は自分のしたことを認めました。麻友さんもずっと2年間、自分のしてきたことについて悩んで、ちゃんと本当の事を打ち明けてくれました。それなのに、何であなたみたいな大人が……それも、刑事という立場にある人が、最後まで逃げようとするんですか!?」


止まらない醍醐の追及に、俺は耳を塞ぎたくなった。

俺は、どこで間違えたんだろう……


ちゃんと、この件については終わらせたつもりだったのに……




「とりあえず、これを元に我々はこれから動きます。藤井海吏の冤罪に関しては多少の時間がかかりますが……隼くんに対して暴言を吐き人格を貶め精神的苦痛を与えたこと、そして脅迫して相手の嫌がる行為を強いたこと……これらの罪に関しては、すぐに制裁が下ると思いますのでそのおつもりで」

そう言って背を向けて歩き出した弁護士に、醍醐も着いていった。

最後に俺を一瞥した目は、この世で最も穢いものを見るかのような軽蔑の瞳だった。




玄関から出てふとマンションの廊下から外を見ると、既に何台かの車が停まっていた。
恐らく警察に既に連絡が行っていたのだろう。






俺は、これで確実に醍醐のせいで人生が狂わされた……







呆然としながらもそんなことだけを考え、逃げる気にも隠れる気にもならないまま、ただぼんやりと警察が来るのを待っていた。
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