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7人目:とある刑事の話

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「……っ」


醍醐のすすり泣く声が聞こえた。


「醍醐、残念だったな……」


俺は醍醐の中に入ったまま、腰を緩やかに動かす。


「お前が忘れられなかった菜摘は……ああいう女なんだぞ。そして今…お前は俺を通して、久しぶりに菜摘と繋がっている…」


醍醐のすすり声が大きくなる。


その目には絶望やショックというよりも、最早無に近いものが見えた。



「なあ醍醐……俺はずっと、お前とこうしてみたかったんだよ」



意識を戻した醍醐は、俺による摩擦のせいで少しずつだが涙に混ざる嗚咽ではなく、別の声を出す。


「お前が誰かの人生を壊す度に……お前自身がどんなにいいものなのか……想像せざるを得なかったんだ。なあ醍醐……菜摘とも、こうして繋がっていたのか……?」


敢えて出した菜摘の名前に、醍醐は分かりやすく反応した。



心が全く繋がっていない俺に対してすら、醍醐は体を素直に反応させる。

であれば、もし心が繋がっていたら、こいつは一体どれだけ快楽に溺れ、素直に反応し、相手を締め付けるのだろう……。


ついそんなことを考えてしまっていた。







数分後。


醍醐は俺による激しい刺激で最後は失神していた。

目を覚した醍醐が、服を着てベッドから降り、少し離れたソファに座っていた俺を虚ろな目で見てきた。


今の醍醐は、俺が与えた肉体的な疲労に加え、嫌いな大人に犯されてしまったという嫌悪感、そして菜摘や愛莉といった過去の自分の犠牲者を思い出させられたという不快感……


いろんな要素のせいで、心も体もグチャグチャなのだろう。



だけど、俺がしたかったのはこういうことだ。


醍醐を一度、心身共に壊してみたかった。



それは、今までこいつに狂わされてきた奴らのような、こいつに対する偏狭的な愛情からくるものではない。


ただただ憎しみと興味本位の狭間からくる、胸焼けするような不快な感情だった。







俺は、やりたいことはやった。


あとは、俺が壊したこいつを俺の思い通りに懐柔するだけ……



そう思ってこいつを家から追い出した。



だけどその時、玄関のすぐ先にいた人物を見て……



醍醐の意のまま踊らされ、壊されたのは俺の方だと気づいたのであった。
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