その男、人の人生を狂わせるので注意が必要

6人目:イマドキJKの話

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私のお礼にまた優しく微笑む隼くんは、そのまま手を降って私に背を向けて歩き出した。

小さな声で「頑張ってね」と言い残してくれた。



さっきまでの鬱々とした気分や重苦しい劣等感がまるで嘘のように晴れる。

たった数分間、優しさに触れただけなのに…


きっと、ちょうど私が傷心中だったからというのも大きいんだろう。


その分余計にあの優しさが沁みる。






（私は私で今日を楽しむ！よしっ！）


今度はトイレの鏡の前でまた自分の顔を見て、さっきとは違う笑顔を作る。


たしかに隼くんの言う通り、合コンなんて所詮遊びの延長だ。

本気で恋愛だのモテだのについて考えるのではなく、気軽に楽しんだもん勝ちなのかもしれない。




そう気持ちを切り替えて、私はまたカラオケの個室へと向かった。




それから更に2時間。

私たちはカラオケでの合コンを楽しんだ。


隼くんにたまたま会って話してからは、私にだけ誰も見向きしてくれないということを気にしないようにした。


そしたら不思議なことに、純粋にあの場を楽しむことが出来た。

そしてそのおかげで、この合コンの最終的な私の印象は、「最悪」から「そこそこ楽しかった」というものへと変わった。


（ほんとに隼くんの言う通りだった…気の持ちようで変わってくるんだな…）

そんな感心をしながら、私は家に着く。


「ただいまあー」


玄関には見慣れない男物のスニーカーがある。

まあ、恐らく………



「愛莉！今日は遅かったじゃない！」



母がリビングのドアを開けて玄関にいる私に向かってそう言ってくる。


母はもう今年50歳になるというのに、淡いピンクのワンピースを着て化粧をバッチリ決め込んでいる。