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6人目:イマドキJKの話

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「久しぶりだね!友達と来てるの?」


私服姿の隼くんが優しい笑顔を向けてこっちにやってくる。


「う、うん??まあ、合コンみたいな感じ」


ぶっちゃけ隼くんはあの四人の中で私のドストライクのタイプだ。

だからまともに顔なんて見れないまま答えた。


「合コン……?あー!もしかして瑠千亜たちのやつ?」

「うん!そうだよ!あと五郎くんもいる」

「そっか、ここでやってたんだね~」


ドキドキしている私とは正反対に、隼くんは穏やかに落ち着いて話している。

見てるとうっとりしてしまうくらい整った顔に抜群のスタイル、爽やかな雰囲気にほのかに香るいい匂い。

近くに存在を感じるだけでドキドキしてしまう……



「隼くんは来れなかったんだもんね…?」


決して残念がってることを悟られないようにしながら、さり気なく聞いてみた。


「うん…実は来月の学校祭でステージ発表するから、その為の練習で忙しくてさ。今日もそのためにカラオケに来てたんだよね」

「ステージ発表?」

「そうそう。同じクラスの友達何人かとバンド組んで発表するんだ」

「えーバンド組むとかすごいね!」


隼くんがバンドを組むということに、私は心底驚いたし尊敬した。

私もバンドは大好きで、本当は人前で歌ったりしてみたいんだけど、やっぱりキャラ的にできていないからだ。

さすが、隼くんみたいな超イケメンの陽キャ1軍男子はサラッと学校祭で活躍できるんだ……





そこから少し隼くんのバンドの話をした。

隼くんたちがやるのは、最近の高校生なら誰でも知ってるようなバンドのコピーだという。

私ももちろん好きな曲が沢山あるバンドだから、もし予定が合えば渚たちも誘って隼くんたちの学校祭に見に行くという約束もした。



「あ、ごめんね長々と話しちゃって。合コンの最中なのに…邪魔しちゃったね」


隼くんが時計を見ながら申し訳なさそうに言う。


「私の方こそごめん!練習中だったんだよね?」

「大丈夫だよ!こっちは何時間も前からいるから、もうみんな練習とかよりも好きな歌歌い始めてるしw」

「そっか……実は私もあんまり戻りたくないんだよね…」

「え!そうなの?なんで?」


不意に出た本音に、隼くんは興味ありげに聞いてくる。
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