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5人目:平凡後輩の話

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「………やっぱり。」

「いや!ちがうよ!してないよ…」

「安心して下さいって。俺は誰にも言いませんから」

「だからしてないって……」

「いや、すみません。実は前に見たんですよねー……二人が部室でしてるところ」

「ええっ!?!!」

「幸いあの時は俺以外誰もいなかったんで、他の奴らは知らないと思いますよ。そして俺が仮にみんなに言いふらしたところで、きっと誰も信じないのでそもそも言い触らしません。だから安心して下さいね」


俺の言葉に隼先輩は驚いたような恥ずかしいような顔をして動揺していた。

だけど、俺が他の奴らに言わないと約束したことに安心したような表情もしている。


「先輩……取引しませんか?俺は先輩と優先輩のことを誰にも言いませんし、優先輩の前でも知らないふりをします。だからその代わり……わかりますよね?」



俺の持ちかける取引に、隼先輩は考えるように目を動かす。


「隼先輩だって、優先輩もいいけどたまには俺としたくないですか?」


俺の言葉の畳み掛けに、隼先輩は心を動かされている。


「優先輩とのがどんなのかは知りませんけど、俺少なくとも優先輩より下手ってことはないと思います。」


俺の言葉に隼先輩の目が動く。

優先輩は何でもできる人だ。

だからそれが下手ということはないだろう。

だけど、隼先輩のさっきの反応的に、優先輩にすらされたことないような攻め方を俺はできたんだと思う。

だから、俺も優先輩と同じかそれ以上に上手い自信はある。

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