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5人目:平凡後輩の話

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※若干グロ系の表現が入ります。苦手な方はご注意下さい。










「……やめろ……海吏……何する気……?」


カッターを突き付けられた隼先輩は恐怖の余り、声が震えていた。


「安心してください。傷つけちゃったらキレイなまま俺のものにならないんで。」


俺はそう言いながら、隼先輩の手首にカッターを移す。


シュッ!と鋭利な音が響き、隼先輩の血が一瞬にして滲む。

「あああっっっ!!!」

カッターで手首を一周して傷つけられた隼先輩は、痛みに悶ている。


「やめ……やめろ……お願いだから…ああっ!!」

必死で抵抗する隼先輩の反対の手首も同じように切る。


「この手があれば、俺は隼先輩みたくテニスが上手くなれますよね」


カッターで一周した程度の傷では、まだまだ手を剃り落とすことはできない。

後でちゃんと切りやすいように、俺は両手首の傷をなぞってもう一周する。


「あっ……ああああ!!!」

悶苦しむ先輩を横目に、足首にも同じことをする。


「やめ……ほんとにやめろ……なんでこんなこと………」


痛めつけられる度に泣き叫び、やめてくれと懇願する隼先輩は、もう恐怖でガタガタ震えていた。


「先輩……俺、この先輩のサラサラの髪…すごく好きなんです」


そう言って俺は顔を隼先輩に近づけ、カッターで髪をデタラメに切る。


「髪は痛覚がないからよかったですね。こんなにたくさん切られてて、もし痛みを感じていたら大変でしたよ」


隼先輩のなめらかな髪の毛が、少しずつ床に落ちる。


「あと、このキレイな耳……これもほしいです」


カッターを髪から耳に移す。


「っっああっっっ!!!!」


耳の付け根を掘るように何度も傷つける。

隼先輩の叫び声と同時に、血が飛び散っていく。


「あと、この鼻と唇も下さい」


さっき舐めた俺が好きな隼先輩のパーツを、順番にカッターで切りつける。


「ああああああっっっ!!!」


唇を縁取るように切っているとき、痛みのあまり隼先輩は足をバタつかせて身をよじらせる。


「あ、ちょっとあんまり動かないで下さいよ……口の中まで切れちゃいますよ…?」


そうは言いつつも、顔はできるだけきれいなまま手に入れたかった。

だから俺はそのままカッターを目へと移す。


「このキレイな睫毛……全部俺に下さいね」


俺はそう言って、隼先輩のまつげを切り取るべく目元にカッターを近づける。


「やめろっっ………目に刺さったら……!」

「大丈夫ですよ。そんな綺麗な瞳、傷つけるわけないじゃないですか」


俺のその言葉に安堵したのか、隼先輩は何も言わなくなった。


すでに隼先輩の顔は血だらけだ。


感覚が麻痺したのか、肌を傷つけられないと分かると隼先輩は安心するようだった。


ビクビクしながらも俺が睫毛を切り落としていく間、黙っている。

恐怖と不安で呼吸が不安定になっている。


その震える息遣いは、まるで何かに興奮しているかのようだった。


俺は隼先輩に触れてるときからずっと興奮状態だ。


二人の荒い呼吸が広い部室で響き、重なり合う。



「……隼先輩。俺、隼先輩のパーツだけ手に入れても仕方ないですよね。先輩の遺伝子がほしいです。」


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