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4人目:彼女の話
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「お前さ、俺の学校に行っただろ?」
座るなり、春馬が開口一番にそう尋ねてきた。
「うん。………行ったよ」
「なんでそんなことすんの?まずそれがあり得ないし」
「だってそれは……春馬が困ってるのに、毎日春馬に連絡する生徒がいたからだよ。その子に分かってもらおうと思って直接話に行っただけじゃない」
「それはお前がやることじゃないだろ!?勝手にしゃしゃり出てくんなよ」
「だって私が行かなきゃ、春馬は絶対に本人には言えないじゃない。」
「そもそも俺は困ってないんだよ。相談してくれって俺の方からそいつに話したって言ったよな?勝手なことすんなよな…」
春馬は大きくため息をついて頭を抱える。
私の行動が100%間違いで、春馬は被害者のような口振りだ。
私だって、春馬のことを心配してやったことなのに…………
「なんで分かってくれないの……?」
春馬との喧嘩は何度もあった。
私も春馬も、お互いに自分の意見をぶつけるタイプだから。
だけど今回のことは、私からは謝りたくない。
相手のことを思ってやった行動を否定されるのが、こんなに悔しくて苦しいことだとは思わなかった。
その上私に出ていけとか言うオチ。
あり得ない…
「もう俺はお前のことがわからないし、分かろうとも思えない。とにかくここの家にはもうお前の居場所はないから」
私が泣いてるのに春馬はそれを心配する様子もなく冷たくそう言い放つ。
「居場所って何よ……新しい女でも連れ込む予定なの?」
私はショックと悔しさで、春馬に限ってそんなことはありえないとは思いながらもつい聞いてしまう。
否定して欲しかった。
それなのに……
「まあ、そんな感じ。そいつが来たときにお前がいたら困るだろ?」
春馬は一つも表情を動かさずに私を見下して言う。
「なんなのほんとに……私が何をしたって言うのよ…」
すすり泣く私と、それを無表情で見つめる春馬。
昨日まで普通に話してたのに、どうしてたった1日でこうなってしまったの………
「ちょっと電話してくるわ。お前はその間にさっさと出ていけよな」
春馬は聞いたこともないくらい冷たい声で泣き続ける私にそう言い残し、スマホを持って廊下に出た。
……新しくこの家にくるという女かな…
そもそも、春馬が浮気なんて信じられない…
確かに春馬はモテるし女子生徒からも人気だってことは知ってたよ。
だけど、常に正義感が強くて他人を傷つけることだけは絶対にしたがらない誠実な人だったのに……
一体、誰が私と春馬の間に割って入ったと言うの……
私はもう、この際春馬に嫌われてもいいと思った。
その代わり、本当の事だけが知りたかった。
春馬を誰が変えてしまったのか。
私への気持ちも、誰が奪っていったのか。
私は今まで、春馬が電話のために廊下に出た時は絶対に出てくるなと言われていた。
それをちゃんと守ってたけど、今はもうそんなことはどうでもいい。
本当の事が、知りたいだけ………
座るなり、春馬が開口一番にそう尋ねてきた。
「うん。………行ったよ」
「なんでそんなことすんの?まずそれがあり得ないし」
「だってそれは……春馬が困ってるのに、毎日春馬に連絡する生徒がいたからだよ。その子に分かってもらおうと思って直接話に行っただけじゃない」
「それはお前がやることじゃないだろ!?勝手にしゃしゃり出てくんなよ」
「だって私が行かなきゃ、春馬は絶対に本人には言えないじゃない。」
「そもそも俺は困ってないんだよ。相談してくれって俺の方からそいつに話したって言ったよな?勝手なことすんなよな…」
春馬は大きくため息をついて頭を抱える。
私の行動が100%間違いで、春馬は被害者のような口振りだ。
私だって、春馬のことを心配してやったことなのに…………
「なんで分かってくれないの……?」
春馬との喧嘩は何度もあった。
私も春馬も、お互いに自分の意見をぶつけるタイプだから。
だけど今回のことは、私からは謝りたくない。
相手のことを思ってやった行動を否定されるのが、こんなに悔しくて苦しいことだとは思わなかった。
その上私に出ていけとか言うオチ。
あり得ない…
「もう俺はお前のことがわからないし、分かろうとも思えない。とにかくここの家にはもうお前の居場所はないから」
私が泣いてるのに春馬はそれを心配する様子もなく冷たくそう言い放つ。
「居場所って何よ……新しい女でも連れ込む予定なの?」
私はショックと悔しさで、春馬に限ってそんなことはありえないとは思いながらもつい聞いてしまう。
否定して欲しかった。
それなのに……
「まあ、そんな感じ。そいつが来たときにお前がいたら困るだろ?」
春馬は一つも表情を動かさずに私を見下して言う。
「なんなのほんとに……私が何をしたって言うのよ…」
すすり泣く私と、それを無表情で見つめる春馬。
昨日まで普通に話してたのに、どうしてたった1日でこうなってしまったの………
「ちょっと電話してくるわ。お前はその間にさっさと出ていけよな」
春馬は聞いたこともないくらい冷たい声で泣き続ける私にそう言い残し、スマホを持って廊下に出た。
……新しくこの家にくるという女かな…
そもそも、春馬が浮気なんて信じられない…
確かに春馬はモテるし女子生徒からも人気だってことは知ってたよ。
だけど、常に正義感が強くて他人を傷つけることだけは絶対にしたがらない誠実な人だったのに……
一体、誰が私と春馬の間に割って入ったと言うの……
私はもう、この際春馬に嫌われてもいいと思った。
その代わり、本当の事だけが知りたかった。
春馬を誰が変えてしまったのか。
私への気持ちも、誰が奪っていったのか。
私は今まで、春馬が電話のために廊下に出た時は絶対に出てくるなと言われていた。
それをちゃんと守ってたけど、今はもうそんなことはどうでもいい。
本当の事が、知りたいだけ………
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