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3人目:爽やか熱血顧問の話

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「ねえ、最近ずっと生徒と電話してるって言うけどさ。毎回毎回同じ子じゃない?」


彼女はソファに座りクッションを抱きしめながら不満そうに言う。


「うん。まあ、悩みの多い子だからな」


俺は隼について彼女に詳細は話していない。


「でもさ、いくら悩みごとがあるからって、普通勤務時間外の先生にバンバン連絡しなくない?いくら子供でもそこら辺は分かるでしょ。その子、ちょっと常識ないんじゃないの?」

「そんなことないよ。めちゃくちゃいい子だぞ。」

「いい子なら先生のプライベートをもっと尊重すると思うんだけど。ちょっと依存し過ぎだよ春馬に。」

「そう言うなよ。俺だってそいつから相談されるのは全然嫌じゃないんだよ。ていうか、むしろ俺から相談しろって言ってるわけだから」

「私の話は最近ずっと上の空で聞いてるくせに、何でその子にはそんなに肩入れしてるのよ?」

「肩入れとかじゃないよ。俺の部活のキャプテンなんだ。そりゃあ話し合うことも多くなるし、悩みも増えるだろうから支えたいと思ってるだけだ」

「だからそれがなんで私にもできないのって言ってるの!春馬が生徒思いなのはいい事だよ?そういうところが好きなんだし。だけど、最近近くにいる私を全く見てくれないじゃん!春馬のプライベート侵害しまくるような非常識な子供の方が私よりも大事ってわけ!?」

「それは考え過ぎだよ。ていうか、そいつのことをそんな風に言うな!部外者が何も知らないくせに好きなことを言うもんじゃないぞ!」

「なにそれひどい!やっぱり私よりもその子のほうが大事じゃん!もういい!」


そう言って彼女はバタン!とドアを閉め部屋を出て行った。


俺は追いかける気にもなれず、それをただ見ていた。


確かに彼女に構えていないのは俺が悪い。

仕事ばかりなのも、これから先のことを考えたときに不安にさせる要素なのも分かってる。


けど、彼女に隼のことを悪く言われたのが、俺はどうしても許せなかった。


あいつだって、あいつなりに悩んで苦しんでいる。

周りに相談できる相手もいない。

だから俺を頼ってくれてるだけなんだ。


それなのに非常識だの依存し過ぎだのと言われると、何も知らないくせにと思ってしまう。


やっぱり、隼の苦しみを理解できるのは俺だけだ……

そう思うと、あいつには俺が必要なんだという気持ちが益々強くなった。




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