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樹と離れてから数週間。
私は、すぐにあの日の自分を殴りたいくらいの後悔をすることになる。
「遥!てめぇ…また大学の男と話したよな!?」
「あの人はゼミが同じだから、プレゼンの資料を共有しただけだよ!」
「んなモン他の女に任せればいいだろーが!ふざけんなよ!」
ドンっ!と壁を殴り、龍也さんが怒鳴る。
そのたびに私はビクッと体を跳ね上がらせ、その恐怖に目を瞑る。
「ごめんなさい……っ!」
上がり続ける心拍数とガンガンと頭を鳴らす頭痛。
私は龍也さんといるのが、怖かった…。
「次怪しいことしたら、お前なんてすぐに捨ててやるからな。わきまえとけよ!」
そう言い残して、大きな物音を立てながら風呂に入る。
私は龍也さんの姿が見えない間だけ、頭痛が収まるようになっていた。
(……樹…)
龍也さんに怒鳴られ、物に当たられる度に…
不意に樹のことを思い出してしまう。
あんなに優しくて、私に尽してくれて、喧嘩してもすぐに謝ってくれて、一度も怒鳴ったことなんてなかったのに…。
ドキドキはしなくても、一緒にいる時に安心できる相手がどんなに大切かを思い知った。
樹は確かに勉強の虫だったし、ロマンチックな事も苦手だったし、恋愛の優先順位は低かったのかもしれない。
だけど、私への気遣いや感情のコントロールは龍也さんとは比較にならない程上手だった。
私は、どうしてあんなにいい人を傷つけてしまったんだろう……。
樹のアパートから電車で30分。
大学まで電車で40分前後。
今いる龍也さんのアパートからは、どちらも少し遠い…
私は龍也さんがお風呂に入ってる隙に、最小限の荷物をまとめて部屋を飛び出した。
そしてバスに乗り駅に着いたところで…
樹に電話をかけた。
私は、すぐにあの日の自分を殴りたいくらいの後悔をすることになる。
「遥!てめぇ…また大学の男と話したよな!?」
「あの人はゼミが同じだから、プレゼンの資料を共有しただけだよ!」
「んなモン他の女に任せればいいだろーが!ふざけんなよ!」
ドンっ!と壁を殴り、龍也さんが怒鳴る。
そのたびに私はビクッと体を跳ね上がらせ、その恐怖に目を瞑る。
「ごめんなさい……っ!」
上がり続ける心拍数とガンガンと頭を鳴らす頭痛。
私は龍也さんといるのが、怖かった…。
「次怪しいことしたら、お前なんてすぐに捨ててやるからな。わきまえとけよ!」
そう言い残して、大きな物音を立てながら風呂に入る。
私は龍也さんの姿が見えない間だけ、頭痛が収まるようになっていた。
(……樹…)
龍也さんに怒鳴られ、物に当たられる度に…
不意に樹のことを思い出してしまう。
あんなに優しくて、私に尽してくれて、喧嘩してもすぐに謝ってくれて、一度も怒鳴ったことなんてなかったのに…。
ドキドキはしなくても、一緒にいる時に安心できる相手がどんなに大切かを思い知った。
樹は確かに勉強の虫だったし、ロマンチックな事も苦手だったし、恋愛の優先順位は低かったのかもしれない。
だけど、私への気遣いや感情のコントロールは龍也さんとは比較にならない程上手だった。
私は、どうしてあんなにいい人を傷つけてしまったんだろう……。
樹のアパートから電車で30分。
大学まで電車で40分前後。
今いる龍也さんのアパートからは、どちらも少し遠い…
私は龍也さんがお風呂に入ってる隙に、最小限の荷物をまとめて部屋を飛び出した。
そしてバスに乗り駅に着いたところで…
樹に電話をかけた。
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