青春日記~禁断の恋だとしても、忘れられない日常を綴ります~

いちごみるく

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6月に入ると、僕と菜摘さんの関係はそこそこ知れ渡ることになっていった。

やはり噂というものは伝達が早く、僕も村上くんも昭恵さんも、自分たちの口からは話していないのに、恋愛系の質問をされた菜摘さんが僕のことを彼氏だと答えたのを発端に、少しずつ広まっていった。

そして僕の方にも菜摘さんへ想いを寄せていた男子たちや、興味本位の女子たちが色んな質問をしてくるようになった。


「いやそれ興味本位じゃなくて、隼くんのことを好きな女子たちなのよ。」


ある6月の放課後、僕はその日菜摘さんと遊ぶ公園に向かうまでの間、昭恵さんと2人で歩いていた。

ちょうど昭恵さんも他校の友達とその公園で遊ぶ約束をしているらしかった。


「僕のことを好き?…そんなまさか。」

「ほんっとに自覚ないのね…。隼くんってもしかして鈍感?」

「鈍感……なのかなぁ…よく分からないや。」

「隼くんに菜摘さんとのことを聞いてくる女子は、百発百中で隼くんのことが好きなの!だから根掘り葉掘り聞いてくるのよ!」

「百発百中は言い過ぎだよ…」

「言い過ぎじゃない!…もう、隼くんはもっと自分がモテてるっていう自覚を持つべきだわ。」

「そんなの無理だよ……。だって、菜摘さんからも昭恵さんからも告白されるまで相手の気持ちに気付なかったんだよ?モテてるとかモテてないとか、そんなのわからないよ…」

「あー…この鈍感さもモテる人特有なのよね。」

「でも…仮にそうだとしたら、僕は女子と話すのを極力控えることになると思うよ。だって菜摘さんのことを不安にさせたくないから。」

「そしてこんな感じの一途なところも余計に女子の気持ちを掴むのよねー。……隼くんはきっと、大人になるにつれて…どんどんとんでもない男になりそうだわね。」

「???」

昭恵さんの話はほとんど僕には分からなかったが、ただ一つ言えることは、確かにいじめが解決して僕と菜摘さんとの関係が公になってからというもの、以前に比べて女子と話すことが増えたということだ。

そして僕と女子たちが親しげに話しているところを見たときには、菜摘さんは前よりも素直に嫉妬しているのが分かる態度を取ってくれる。

だから僕は、極力女子と話すことを避けたいとは思っているのだが……

「菜摘さんとのことをちゃんと話したら、みんな僕なんかに興味をなくしたりしないかな…」

「それはないと思うよー。そもそも隼くんと話せるっていうだけで内容云々以上に嬉しいんだもの。」

「昭恵さんは?」

「えっ…?」

「昭恵さんも、そう思ってくれてるの?」


僕の問いかけに、昭恵さんは顔を赤くして俯いて黙ってしまった。
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