青春日記～禁断の恋だとしても、忘れられない日常を綴ります～

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村上くんの突然の行動に、その場にいた全員が驚いたように彼の方を見た。

「あの…俺…実は、少し前まで隼をいじめてました。」

村上君の言葉に、その場を支配する空気が、一瞬で沈黙から驚きに変わったのがわかった。

村上くんの突然すぎる告白に、僕も昭恵さんも驚き、何も言えなかった。

「村上君…それ、どういうこと？」

水を打ったかのような沈黙の中、母親が動揺を隠せないまま聞いた。

「はい…。俺のクラスに、田中君というリーダーがいるんです。彼は、五年生の春頃から、隼をいじめるようになったんです。そして恥ずかしいことに、俺も田中くんと同じグループに所属していたので、隼がいじめられるのを黙って見ていました。」

村上君の口から次々と語られる事実の衝撃に、僕の両親は口を開けたまま何も言えないでいる。

「隼がいじめられているのは、もう引っ越してしまったクラスメイトへのいじめを助けたからです。それに、多分田中君たちは隼に対して嫉妬してるんです。隼は成績がよくて、運動も得意で、かっこよくて、優しくて、先生たちにも好かれているから…。それに、隼はいじめられてても俺たちに何もしてこないんです。言い返してきたり反撃してきたり、陰湿な仕返しをしたりとかは一切ないんです。だからきっと、相当ストレスが溜まっていたと思います。一人で抱え込んでたと思います。でも……」

村上くんはここまで言って、ちらりと菜摘さんの方を見た。

「そんな隼を救ってくれたのが菜摘さんなんです。菜摘さんは一人だった隼に声かけて、仲良くして、隼を孤独から救ってくれました。それに、俺や昭恵にも、いじめがどんなに馬鹿らしくて酷いことであるのかを教えてくれました。菜摘さんに『いじめが一番ださいしかっこ悪い』と言われた時、俺はこれまでの行いを反省し、隼と仲良くなりました。そしてそんな俺を見て、昭恵やいろんな女子を中心に隼をいじめるのをやめたんです。だから……菜摘さんは、隼を救った恩人なんです。隼にとっても、恩人の菜摘さんにこれから恩返しをしたいと思うし、ずっと一緒にいたいのも当然だと思います。だから…そんな二人を、どうか引き裂かないであげてください。俺からのお願いです…。」

そう言って頭を下げる村上君は、少し声を震わせていた。

そして床にはポトリと彼の涙が落ちた。