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「ねね隼くん。私考えたんだけどさ、私と隼くんの交際をよりプラトニックなものとして見てもらえる為にはさ、隼くんの他のお友達も一緒に連れて行ったらどうかな?…つまり、隼くんはあくまで沢山いる私の遊び相手の一人なんだけど、その中で一番わたしと親密なだけ、っていう風にするの。そしたらご両親の警戒心も少しは薄れたりしないかな?」

「なるほどね……確かに。」

「ほら、村上くんなんかどうよ?私たちのことを知ってるでしょ?」

「そうだね…けど…村上くんはまだ菜摘さんのことが好きなんだよ?そんなことに協力してくれるかなぁ…。」

「分からないじゃない。頼んでみないことには!」

「うーん……」


キラキラとした目で提案してくる菜摘さんに、僕は押されるような形で今度村上くんに頼んでみることにした。

「楽しみだわー隼くんのご両親に会うの。」

「緊張しないの…?」

「そりゃーするわよ!…けど、それ以上に…もし隼くんのご両親に認められたらね?他の子たちの前でも堂々と隼くんと付き合えるようになることへの楽しみの方が大きいの。そしたら私、隼くんのことを自慢の彼氏だって言ってみんなに羨ましがられちゃうの!」


楽しそうに話す菜摘さんに、僕は思わず微笑んだ。

やっぱり菜摘さんも、この関係を隠しているもどかしさやじれったさを感じていたんだ…。

「僕も早くライバルたちを牽制したいよ。…それに、菜摘さんのことも安心させてあげられるだろうし。」


僕が菜摘さんの提案に乗ったのも、実はその目的が一番大きい。

菜摘さんがいつか僕と離れることを考えてしまわないように、今のうちから少しでも外堀を埋めることも大事だと思ったからだ。

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