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「菜摘さん…。菜摘さんの気持ちはよく分かったよ。確かに不安になることもあったと思うし、僕がそれを拭えなかったのは悪いと思う。でも……菜摘さんは過去や未来を恐れるあまり、目の前にいる僕を傷つけたんだよ……。僕は、菜摘さんが他の男性と恋人みたいになっていることを聞いて……本当にショックだった。傷ついた。悲しくなったよ……。」
僕は別に、菜摘さんを責めたい訳ではない。
だけど、僕の気持ちも正直に言いたくなったんだ。
菜摘さんの話を聞いていると、僕が正直である方が、きっと彼女を安心させると思ったから。
菜摘さんが僕を信じきれなかったことについては、正直義兄との関係以上にショックだったけど、彼女の話を聞いていくうちに腑に落ちたところがある。
それに関しては2人の問題だから、これから僕は彼女に信じてもらえるように、そして彼女も僕を信じるように、お互いに頑張っていけばいい。
しかし義兄とのことについては、いくら昭恵さんに聞いて心の準備をしていたとはいえ、やっぱり直接本人から聞くと苦しいものがある。
僕が菜摘さんに教えられて、2人で築いてきた関係や行為や愛情を、他の人とも並行していたなんて…。
僕が100%を注いできた時間、菜摘さんは50%だけだったなんて…。
そんなの、悲しくない訳がない……。
「隼くんは悪くない…。何も悪くないよ。悪いのは全部私よ…。勝手に隼くんを疑ったり、将来に不安を感じたりして…それで他の人とこっそり会って隼くんを悲しませたんだもの…。」
「僕は…菜摘さんに自分を責めてほしい訳じゃないんだ。僕を疑っていたこともショックだけど、その問題はこれから2人で乗り越えて行けばいいと思う。ただ、本当に僕のことを想ってくれているなら…もう他の人と関係を持ってほしくない。それだけだよ…」
「当然よ。隼くん…私は、もう信用されないかもしれないけど、隼くんのことが大好きなの。本当に好きなのは隼くんだけなのよ…」
「お義兄さんのことも、半分は好きなんじゃないの…?」
「好きじゃないわ。隼くんが全て。恋愛感情を持つのは隼くんだけなのよ……。」
「だったらますます…恋人らしいことは、僕だけとして欲しいよ。他の人に、菜摘さんの全てを見られたくないし知られたくもないんだよ…」
「そうよね。わかってる。もう絶対にしない。……本当にごめんなさい隼くん…」
菜摘さんはそう言って、優しく僕を抱き締めた。
僕と菜摘さんは泣きながらお互いの体温を感じていた。
これまで自分の中だけに留めてきた想いが溢れたからなのだろうか。互いの微熱を交換しているような感覚があった。
菜摘さんは僕の頭上で何度も謝っている。
菜摘さんがこんな風に僕の前で大泣きするのは、恐らく夏に僕がお粥を作ったとき以来だ。
あの時は美しい思い出との再会で胸にこみ上げた想いが溢れてきたように泣いていた。
だけど今日流したこの涙は、思い出したくない辛い過去との決別の涙であって欲しい。
これからは僕を疑うことなく、真っ直ぐに、ただ向き合ってほしい……。
そしてこんな気持ちも、僕がこれまで伝えきれなかった想いも、彼女の頑ななフィルターが涙と一緒に流れて、ちゃんと本人の心に届いてくれればいいと思った。
向かい合い抱き合う僕らが流す涙は、二人だけの世界を囲っていた甘く柔らかい壁を決壊させるかのように大量に流れ、僕たちを濡らしていった。
僕は別に、菜摘さんを責めたい訳ではない。
だけど、僕の気持ちも正直に言いたくなったんだ。
菜摘さんの話を聞いていると、僕が正直である方が、きっと彼女を安心させると思ったから。
菜摘さんが僕を信じきれなかったことについては、正直義兄との関係以上にショックだったけど、彼女の話を聞いていくうちに腑に落ちたところがある。
それに関しては2人の問題だから、これから僕は彼女に信じてもらえるように、そして彼女も僕を信じるように、お互いに頑張っていけばいい。
しかし義兄とのことについては、いくら昭恵さんに聞いて心の準備をしていたとはいえ、やっぱり直接本人から聞くと苦しいものがある。
僕が菜摘さんに教えられて、2人で築いてきた関係や行為や愛情を、他の人とも並行していたなんて…。
僕が100%を注いできた時間、菜摘さんは50%だけだったなんて…。
そんなの、悲しくない訳がない……。
「隼くんは悪くない…。何も悪くないよ。悪いのは全部私よ…。勝手に隼くんを疑ったり、将来に不安を感じたりして…それで他の人とこっそり会って隼くんを悲しませたんだもの…。」
「僕は…菜摘さんに自分を責めてほしい訳じゃないんだ。僕を疑っていたこともショックだけど、その問題はこれから2人で乗り越えて行けばいいと思う。ただ、本当に僕のことを想ってくれているなら…もう他の人と関係を持ってほしくない。それだけだよ…」
「当然よ。隼くん…私は、もう信用されないかもしれないけど、隼くんのことが大好きなの。本当に好きなのは隼くんだけなのよ…」
「お義兄さんのことも、半分は好きなんじゃないの…?」
「好きじゃないわ。隼くんが全て。恋愛感情を持つのは隼くんだけなのよ……。」
「だったらますます…恋人らしいことは、僕だけとして欲しいよ。他の人に、菜摘さんの全てを見られたくないし知られたくもないんだよ…」
「そうよね。わかってる。もう絶対にしない。……本当にごめんなさい隼くん…」
菜摘さんはそう言って、優しく僕を抱き締めた。
僕と菜摘さんは泣きながらお互いの体温を感じていた。
これまで自分の中だけに留めてきた想いが溢れたからなのだろうか。互いの微熱を交換しているような感覚があった。
菜摘さんは僕の頭上で何度も謝っている。
菜摘さんがこんな風に僕の前で大泣きするのは、恐らく夏に僕がお粥を作ったとき以来だ。
あの時は美しい思い出との再会で胸にこみ上げた想いが溢れてきたように泣いていた。
だけど今日流したこの涙は、思い出したくない辛い過去との決別の涙であって欲しい。
これからは僕を疑うことなく、真っ直ぐに、ただ向き合ってほしい……。
そしてこんな気持ちも、僕がこれまで伝えきれなかった想いも、彼女の頑ななフィルターが涙と一緒に流れて、ちゃんと本人の心に届いてくれればいいと思った。
向かい合い抱き合う僕らが流す涙は、二人だけの世界を囲っていた甘く柔らかい壁を決壊させるかのように大量に流れ、僕たちを濡らしていった。
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