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「ええーっと……?」

「驚いたよね。いきなりごめんねこんなこと言って。だけど…本当なの。」

「ほんとはね、ひとりひとり告白しようって思ったんだけど、やっぱり恥ずかしくって……だけど、三人で一緒ならまだいいかなって思ったの。」

「あのチョコも、みんなで一緒に作ったんだよ。」

「私たちの中の誰かを選んで欲しいなんて言わない。それは隼くんも困るだろうし。だけど…気持ちを分かってほしかっただけなの。」


昭恵さんたちが口々に言う台詞を、僕はまるで錯乱した視界の中で靄のかかった脳みそを整理するように聞いていた。

これは、夢ではなく現実……?

一体どんな状況なんだ……?


菜摘さんと付き合えた日や菜摘さんと初めて繋がった日、菜摘さんからチョコをもらったとき、菜摘さんと言い合いをして愛が深まった日……

僕が今夢か現かを疑っているのは、このような非現実的な嬉しさを伴う感覚からではない。

素直に、現実世界では想定しがたいことが僕の耳に入ってきているからである。


なかなか言葉を発しない僕を訝しそうに眺める三人の視線を他所に、僕が次に脳裏に掠めたのは、これは一種の遊びのようなもので、矢張り裏では田中くんたちが糸を引いているのではないかという穿った可能性だった。

だって、そうでもなければ…

年中いじめられてバカにされてあることないこと言い触らされて、人権のじの字もないような生活を送っている僕に、三人もの女子が想いを寄せるなんてあり得ないことなはずだから……。


「………ごめん……ちょっと……考えさせて…!」


一体何を考え、何を彼女らに告げようとするのだろうか。

そんなことを考える余裕のないまま、僕は気がついたら彼女らにそう言い残してその場を走り去っていた。
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