114 / 217
15頁
4
しおりを挟む
僕は、菜摘さんと"対等"になりたいと思っていた。
それは僕が菜摘さんに好意を認める前からずっと……
出会って仲良くなってから、ずっとそうだ。
菜摘さんのようなしっかりした大人の女性に認めてもらい、僕もまた認め尊敬するような…そんな関係を望んでいた。
年齢的なもの、知識、経験、全てにおいて菜摘さんに敵うわけがないということは分かっている。
しかし、菜摘さんの中で少しでも僕が対等になって欲しいと思っていた。
付き合うことが出来たとしても、必ずしも僕のそんな願いが実現するとも限らない。
僕たちが対等になれるかどうかは関係性の問題ではなく、互いをどう認識するかにかかっているのだから。
「隼くん、意外とそういう面では男らしさ満開よね。」
「え、どういうこと?」
「んー。お互いに尊敬し合える仲でいることを望んでいたり、年上の私に認められたいって強く思っていたり…そういう面かな。これって、今まで付き合ってきた男性は漏れなく持っていた感情だったと思う。私もそれを感じ取っていたから、相手を立てたり尊敬していることを精一杯表現したりしてたわ。……今回は、隼くんが年下の小学生だからって…そういう意識を少し緩めすぎていたのかもしれないね。そりゃあ隼くんの不満も募るか…。」
「そんな、不満なんて…むしろ、僕こそ生意気なこと言ってるなって思ってるよ。僕に言われたからじゃなくて、菜摘さんが自ずと僕にそういう意識を持てるようになれてないと意味ないのにね。」
「そんなことないよ。私の怠慢。ごめんね隼くん。」
菜摘さんが自分を責めてしまったことに大きな罪悪感を抱き、僕は思わず頭を振った。
すると菜摘さんはそんな僕の頭を優しく抱きかかえるように、自分の体へと引き寄せた。
「隼くんは本当に大人ね。」
そう言いながら、菜摘さんのしなやかで優しい手が僕の頭を撫でる。
僕はその溢れんばかりの菜摘さんの母性に、目を瞑って頭のみならず全身を委ねるようにして寄り掛かった。
菜摘さんは、本当に最高の…
僕には勿体無いくらいの彼女だ。
だからそんな彼女に少しでも追いつけるように、僕は自分を今まで以上に律していかなければならないと思ったのであった。
それは僕が菜摘さんに好意を認める前からずっと……
出会って仲良くなってから、ずっとそうだ。
菜摘さんのようなしっかりした大人の女性に認めてもらい、僕もまた認め尊敬するような…そんな関係を望んでいた。
年齢的なもの、知識、経験、全てにおいて菜摘さんに敵うわけがないということは分かっている。
しかし、菜摘さんの中で少しでも僕が対等になって欲しいと思っていた。
付き合うことが出来たとしても、必ずしも僕のそんな願いが実現するとも限らない。
僕たちが対等になれるかどうかは関係性の問題ではなく、互いをどう認識するかにかかっているのだから。
「隼くん、意外とそういう面では男らしさ満開よね。」
「え、どういうこと?」
「んー。お互いに尊敬し合える仲でいることを望んでいたり、年上の私に認められたいって強く思っていたり…そういう面かな。これって、今まで付き合ってきた男性は漏れなく持っていた感情だったと思う。私もそれを感じ取っていたから、相手を立てたり尊敬していることを精一杯表現したりしてたわ。……今回は、隼くんが年下の小学生だからって…そういう意識を少し緩めすぎていたのかもしれないね。そりゃあ隼くんの不満も募るか…。」
「そんな、不満なんて…むしろ、僕こそ生意気なこと言ってるなって思ってるよ。僕に言われたからじゃなくて、菜摘さんが自ずと僕にそういう意識を持てるようになれてないと意味ないのにね。」
「そんなことないよ。私の怠慢。ごめんね隼くん。」
菜摘さんが自分を責めてしまったことに大きな罪悪感を抱き、僕は思わず頭を振った。
すると菜摘さんはそんな僕の頭を優しく抱きかかえるように、自分の体へと引き寄せた。
「隼くんは本当に大人ね。」
そう言いながら、菜摘さんのしなやかで優しい手が僕の頭を撫でる。
僕はその溢れんばかりの菜摘さんの母性に、目を瞑って頭のみならず全身を委ねるようにして寄り掛かった。
菜摘さんは、本当に最高の…
僕には勿体無いくらいの彼女だ。
だからそんな彼女に少しでも追いつけるように、僕は自分を今まで以上に律していかなければならないと思ったのであった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。
Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――
土俵の華〜女子相撲譚〜
葉月空
青春
土俵の華は女子相撲を題材にした青春群像劇です。
相撲が好きな美月が女子大相撲の横綱になるまでの物語
でも美月は体が弱く母親には相撲を辞める様に言われるが美月は母の反対を押し切ってまで相撲を続けてる。何故、彼女は母親の意見を押し切ってまで相撲も続けるのか
そして、美月は横綱になれるのか?
ご意見や感想もお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる