青春日記~禁断の恋だとしても、忘れられない日常を綴ります~

いちごみるく

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僕は、菜摘さんと"対等"になりたいと思っていた。

それは僕が菜摘さんに好意を認める前からずっと……

出会って仲良くなってから、ずっとそうだ。

菜摘さんのようなしっかりした大人の女性に認めてもらい、僕もまた認め尊敬するような…そんな関係を望んでいた。

年齢的なもの、知識、経験、全てにおいて菜摘さんに敵うわけがないということは分かっている。

しかし、菜摘さんの中で少しでも僕が対等になって欲しいと思っていた。

付き合うことが出来たとしても、必ずしも僕のそんな願いが実現するとも限らない。

僕たちが対等になれるかどうかは関係性の問題ではなく、互いをどう認識するかにかかっているのだから。


「隼くん、意外とそういう面では男らしさ満開よね。」

「え、どういうこと?」

「んー。お互いに尊敬し合える仲でいることを望んでいたり、年上の私に認められたいって強く思っていたり…そういう面かな。これって、今まで付き合ってきた男性は漏れなく持っていた感情だったと思う。私もそれを感じ取っていたから、相手を立てたり尊敬していることを精一杯表現したりしてたわ。……今回は、隼くんが年下の小学生だからって…そういう意識を少し緩めすぎていたのかもしれないね。そりゃあ隼くんの不満も募るか…。」

「そんな、不満なんて…むしろ、僕こそ生意気なこと言ってるなって思ってるよ。僕に言われたからじゃなくて、菜摘さんが自ずと僕にそういう意識を持てるようになれてないと意味ないのにね。」

「そんなことないよ。私の怠慢。ごめんね隼くん。」


菜摘さんが自分を責めてしまったことに大きな罪悪感を抱き、僕は思わず頭を振った。

すると菜摘さんはそんな僕の頭を優しく抱きかかえるように、自分の体へと引き寄せた。

「隼くんは本当に大人ね。」

そう言いながら、菜摘さんのしなやかで優しい手が僕の頭を撫でる。

僕はその溢れんばかりの菜摘さんの母性に、目を瞑って頭のみならず全身を委ねるようにして寄り掛かった。

菜摘さんは、本当に最高の…

僕には勿体無いくらいの彼女だ。

だからそんな彼女に少しでも追いつけるように、僕は自分を今まで以上に律していかなければならないと思ったのであった。
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