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「隼くんが前に好きだって言ってくれたガトーショコラとマドレーヌ、それからブラウニーも作ったよ!」

「ありがとう菜摘さん!すごい…どれも美味しそう……」

「ふふ。普段より気合い入れて頑張ったもの。トッピングもいつもより豪華でしょ?」

「うん!カラフルで綺麗で…食べるのがもったいないくらいだよ。」

「喜んでもらえたようで良かった。でもちゃんと食べてね?」

「もちろんだよ!」


菜摘さんがくれたお菓子には、色のついたクリームやナッツ、ドライフルーツ、アイシング、シュガーパウダーやアラザンなどの細かいトッピングが施されていた。

まるでケーキ屋に売っていそうなレベルの美しい飾り付けに、僕は本心から食べるのが勿体無いと思ってしまった。

そこで僕はこっそりランドセルに忍ばせていたカメラを取り出し、菜摘さんがくれたものを全て写真に収めた。

「ねえ菜摘さん、早速食べてみてもいい?」

「ええ、もちろんよ。」

僕は菜摘さんと二人ベンチに座り、貰ったものを一つずつ食べてみた。

「美味しい!!さすが菜摘さんだよ。甘くて美味しい!」

「ありがとう隼くん。頑張って作った甲斐があって良かったわ。」

「僕は幸せ者だなあ…こんなに美味しいお菓子が食べられるなんて。」

「隼くんったら大げさね。このくらい、いつでも作ってあげるのに。」

「それなら増々僕は恵まれてるよ。本当にありがとう菜摘さん。」

「どういたしまして。」

僕が菜摘さんの手作りのお菓子を食べるのは初めてではない。

だけどこの日に僕のために作って貰えたという事実が、いつもの倍以上に嬉しかったのだ。

今まではバレンタインと無縁の人生を送ってきて、これからもそれは変わらないだろうと思っていた。

だからこそこんなに素敵な彼女から、こんなに美味しいお菓子を貰えているということに、僕は改めて感動していた。
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