104 / 217
14頁
2
しおりを挟む
2月14日。
今日はいつになく学校中が賑やかに盛り上がる。
「○○くんにチョコ渡した?」
「渡せなかった~……最悪だよ…」
「私は渡してきたよ!ちゃんと喜んでくれてたと思う」
「いいなぁ~」
「お前何個もらったの?」
「そういうお前は何個だよ!」
「俺は3つ!お前は?」
「負けたわ……1つだけ。」
こんな会話が朝から放課後にかけて1日中聞こえてきた。
(バレンタイン、かぁ……)
学校の中で孤立している僕にとって無縁のイベントではあるが、それはあくまで学校での話。
今日の放課後、菜摘さんに会う。
そのときは、期待しても良いのだろうか……?
僕にとって、初めてこの人からチョコを貰いたいと思う存在がいるバレンタインだ。
改めてどことなく浮足立つ教室を見渡してみる。
普段想いを素直に告げられない子がこの日にかこつけて気持ちを打ち明けるチャンス。
もしくは友達同士で交換し合うことで、日頃の友情を確かめ合うイベントでもある。
また、正直男の立場として、この日に何人からお菓子を貰えたかということが自分への自信と周りへの優越感に繋がっていくということも理解できる。
僕はこれまで…
いじめられるようになる前まで、特別な意味を持つお菓子は貰ったことがなかった。
クラスメイトや友達として、もしくは本命のお零れとして貰えたことはあった。
だからバレンタインというイベントにそこまで重きを置いていなかったのだが、今年は特別な意味を持ち得る相手がいる以上、普段より格段にこのイベントについて意識せざるを得なかったのだった。
今日はいつになく学校中が賑やかに盛り上がる。
「○○くんにチョコ渡した?」
「渡せなかった~……最悪だよ…」
「私は渡してきたよ!ちゃんと喜んでくれてたと思う」
「いいなぁ~」
「お前何個もらったの?」
「そういうお前は何個だよ!」
「俺は3つ!お前は?」
「負けたわ……1つだけ。」
こんな会話が朝から放課後にかけて1日中聞こえてきた。
(バレンタイン、かぁ……)
学校の中で孤立している僕にとって無縁のイベントではあるが、それはあくまで学校での話。
今日の放課後、菜摘さんに会う。
そのときは、期待しても良いのだろうか……?
僕にとって、初めてこの人からチョコを貰いたいと思う存在がいるバレンタインだ。
改めてどことなく浮足立つ教室を見渡してみる。
普段想いを素直に告げられない子がこの日にかこつけて気持ちを打ち明けるチャンス。
もしくは友達同士で交換し合うことで、日頃の友情を確かめ合うイベントでもある。
また、正直男の立場として、この日に何人からお菓子を貰えたかということが自分への自信と周りへの優越感に繋がっていくということも理解できる。
僕はこれまで…
いじめられるようになる前まで、特別な意味を持つお菓子は貰ったことがなかった。
クラスメイトや友達として、もしくは本命のお零れとして貰えたことはあった。
だからバレンタインというイベントにそこまで重きを置いていなかったのだが、今年は特別な意味を持ち得る相手がいる以上、普段より格段にこのイベントについて意識せざるを得なかったのだった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
ほのぼの高校11HR-24HR
深町珠
青春
1977年、田舎の高校であった出来事を基にしたお話です。オートバイと、音楽、オーディオ、友達、恋愛、楽しい、優しい時間でした。
主人公は貧乏人高校生。
バイト先や、学校でいろんな人と触れ合いながら、生きていきます。
けど、昭和なので
のどかでした。
オートバイ、恋愛、バンド。いろいろです。
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
【完結】大江戸くんの恋物語
るしあん@猫部
ライト文芸
両親が なくなり僕は 両親の葬式の時に 初めて会った 祖母の所に 世話になる
事に………
そこで 僕は 彼女達に会った
これは 僕と彼女達の物語だ
るしあん 四作目の物語です。
★【完結】愛染橋(作品241114)
菊池昭仁
現代文学
木村小夜子と別れた倉田陽介は、偶然立ち寄った街のカフェで働く伊東由美子と出会う。
彼女は小夜子と瓜二つの顔をしており、仕草や声、話し方までがそっくりだった。
店に通い続ける陽介。次第にふたりは打ち解けていく。
だがやがて由美子は自分が愛されているのではなく、自分は小夜子の代わりなのだと思い悩む。
愛すれど切なく、苦しむふたり。そんな愛の形を想像してみました。
異世界でゆるゆる生活を満喫す
葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。
もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。
家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。
ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。
私の隣は、心が見えない男の子
舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。
隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。
二人はこの春から、同じクラスの高校生。
一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。
きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。
海の向こうの永遠の夏
文月みつか
青春
幼いころにささいなことから家出をした千夏は、海という少年に出会った。年は近いのに大人びた雰囲気のある海に、千夏はなぜかいろいろと話してしまう。ふたりの仲はやがて親友と呼べるほどに深まっていく。
その過程で千夏は、海に世界を閉じるという不思議な特技があることを知る。どうして海が閉じこもっているのか、どうやったら現実に連れ戻すことが出来るのか、千夏は考えをめぐらす。
前半は千夏の幼少期、後半は高校生以降の構成です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる