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「あ…隼くん………」

突然のことに、菜摘さんは珍しく驚いたように目を見開く。

だけどすぐに背中に伸びてきた手が、僕を喜んで受け入れてくれようとしてくれていることを表した。

「隼くん……」

再び僕の名前を呼ぶ声には、空間の時を止めるような物静かな色気を含んでいる。

どこか期待しているような潤んだ瞳に、僕の切羽詰まったような顔が映る。

「……菜摘さん……好き……」

溢れる想いを勢いのままに口に出し、僕は菜摘さんの唇を塞ぐ。

塞がれた唇を通して、僕の愚直なまでに折れない気持ちは菜摘さんの中へと伝播していくよう。

柔らかく薄い体の一部同士での密着が、二人の全身を流れる血液の動きや温度の交わりを感じさせる。

菜摘さんが苦しそうに顔をしかめたので、僕は一瞬だけ口を離してまたすぐに口付けた。

「……んんっ……」

僕が塞いでるはずの口から漏れる甘美な声は、不思議と僕の背中にある彼女の手を伝って耳に入ってくるように感じる。

その声が脳天に響く度、僕の彼女への愛は加速し、落雷のような衝撃で心臓を射抜く。

そして射抜かれた僕は、呆気なくこの世のモラルを捨て去るしかなくなるのだ。

「…菜摘さん……服…脱がせてもいい…?」

「もちろんよ……隼くん。優しくてね。」

「うん…。僕…菜摘さんの胸がすごく好き。」

「隼くんえっちね…」

「……だって綺麗なんだもん…。色も形も、触った感じも……いい匂いだってするし。」

「ふふっ……隼くん…可愛いわね。大好きよ。」

そう言って菜摘さんは、ぎこちなく彼女のブラウスのボタンを外していた僕の手に自分の手を重ねてきた。

二人の重なった手が、菜摘さんを少しずつ露わにしていく。

僕はその不思議な共同作業に妙な恍惚感を抱いた。

僕と菜摘さんの手で、菜摘さんの綺麗なところが見えてくる……。

そんなことを考えていると、あっという間に2つの美しい薄紅の果実が現れた。


「菜摘さん……」

「…ああっ……隼くん……いきなりそんなに触らないで…」

「…好きにして、って言ってたのは菜摘さんだもん。」

「んっ……意地悪ね……」

口ではそう言いながらも、僕の動く手に全てを委ねているのは明らかだった。

「菜摘さん…やっぱり綺麗だよ…」

「…っ…恥ずかしいわ……」

「柔らかくてあったかくて…甘い匂いがして…ずっと触ってたくなるよ。」

「だめよ、ずっとなんて……隼くんが欲しいもの。」

「あっ!……菜摘さん……」

「ふふ。やっぱり、必死になって私の胸を触ってる隼くんを見たら…あまりにも可愛くて、つい私がいじめたくなっちゃうわね。」

「だめだよっ……今日は……」

「わかってる。隼くんが私を気持ちよくさせてくれるんでしょう?」


妖艶な目線を惜しむことなく僕に向けながら、彼女はそう言いながらも右手を僕の下半身に伸ばしたままだった。

菜摘さんは、まるで白日夢を彷徨うかのように……

手探りで僕に身を任せていたのだった。
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