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「菜摘さん…僕って、どうしてこんなに自分に自信を持てないんだろう…。」


結局僕はその日の放課後、菜摘さんにこの悩みを打ち明けた。

1月の東京は空が冷たくて寒い。

最早僕たちが会う場所は、菜摘さんの家がお決まりになっていた。

「そうね~…私と付き合えてる!っていうことを自信にしちゃえば?」

「それはごもっともなんですけど……」

「ウソウソ、冗談よ。流石の私でも自分でそんなこと言わないわよ。」

「…そうなの?菜摘さんは自分に自信がありそうだから、あながち言ってても違和感がないけど。」

「んー。まあ、多少の自信はあるわよ。"女のして"の自信がね。」

「お、女として……」

「そ。だから隼くんに対しても、こうして堂々と接して来られたのよ。」

「なるほど……」

「でも…そうね。隼くんの場合、立場上私と付き合ってることがバレたら終わりだものね。そもそも、彼女がいるっていうことが知られた時点で深堀されちゃうものね。」

「そうなんだよね…だからいわゆる"男としての"?自信?っていうのは難しいのかも……」

「いや、そんなことはないよ?」

「…え…?」


菜摘さんが色っぽく髪をかきあげる。

一瞬のその動作に、僕は思わず目を奪われていた。

外の寒さを忘れるくらい温かいこの部屋。

僕は無意識に菜摘さんの唇を見て、次の言葉を待つ。


「隼くん……たまには隼くんがリードしてみよっか。」

ソファに並んで座っていた僕たち。

菜摘さんが体を僕の方に向け、僕の手を取り、いつもの悪戯で少し艶かしい目をして笑った。
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