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「私も、隼くんのこと、大好きよ…」

「んんっ!」


菜摘さんはその言葉と同時に、また僕の唇を塞いだ。

僕の顔を包む菜摘さんの手が、すごく熱かった。

唇を重ねる時間が段々と長くなっていった。

その間、どちらとも言えない震えた呼吸音が重なっていた。



「隼くん。もう一回、私とキスしたい?」


「え……キス……?」

「そう。さっきしたものよ。あれを、もう少し私としたいかな?」


菜摘さんの問いかけに躊躇うように目を逸らしてしまう。

菜摘さんが僕にしたことは"キス"という行為だということはわかっていた。

しかし、改めて言葉にされるとこれまで以上に心臓がドキドキした。

僕は半ば意識が蕩けそうになる中で、ゆっくりと菜摘さんの問に頷いた。


「わかった。じゃあ隼くん…次は隼くんからしてくれない?」


菜摘さんが少し強請るように、僕の顔に自分の唇を近づけて言った。

そして菜摘さんは目を瞑り、僕のことを待っていた。

初めてのことだから、どうすればいいのか分からない……

だけど何も言わずに待つ菜摘さんの唇を見れば見る程、その肉感的で妖美な薄紅色が僕の唇を自然と引き寄せた。

ゆっくりと菜摘さんに近づいていく。

その気配を感じているのだろうか。菜摘さんは一層強く目を瞑った。

二人の間に聞こえる震えた息遣いが、二人の緊張と興奮を表していた。


「………っ……」

僕の唇が菜摘さんに軽く触れた。

菜摘さんは一瞬、思わずビクリと体を反応させる。

僕はそこからどうしていいのか分からずに、しばらく菜摘さんの唇に自分のを重ねて続けていた。

唇を離すタイミングも分からないし、目を開けるべきなのか瞑るべきなのかも分からない……。

分からないけど、ただ菜摘さんと唇が触れ合っているというその事実だけは、まるで唇に全神経が集まっているかのように確かなものだった。

そしてそんな確かな感覚が、とても心地よくてドキドキして体の奥から何かが湧き上がってくるような…

そんな気持ちにさせた。
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