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「隼くん、人の好みとかちゃんと見てるんだね!さすがだよ」

「菜摘さんのことしか見てないよ?……本当に好きだから、菜摘さんについて何でも知りたくて、ちゃんと見てたんだ」

「……っありがとう…」

感心する菜摘さんに、僕は誤解をされたくなくて説明した。

菜摘さんだから1ヶ月もの間、身につけている全てのものに注意していたし、菜摘さんだからこんなにも受け取ってもらえたときの反応が気になったのだ。

僕の返事に菜摘さんは顔を赤くしてお礼を言ってくれた。

菜摘さんが時々見せるこういう表情は、普段僕が感じ得ない不思議な優越感を与えるのだ。

僕よりもずっと大人で人生経験が豊富なはずの菜摘さんが、僕の言葉や行動で頬を染めてくれる……。

この事実に、僕は菜摘さんをそうさせることで自分がどこか大人に近づいたような気がしていたのだ。

そしてある種の、男としての自信や自覚が芽生えてくるのだった。



「隼くん……私からも、隼くんにプレゼントがあるの。……少し、私の家に来てくれない?」

「うんっ!楽しみ!」

元々今日は菜摘さんが家に呼んでくれるという約束をしていた。

僕は純粋に、菜摘さんからどんなプレゼントがもらえるのだろうかと……

自分が必死になって相手のためのプレゼントを探していたからこそ、余計に菜摘さんが僕のためにどんなことを考え何を選んでくれたのかが、とても気になって仕方なかった。
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