青春日記～禁断の恋だとしても、忘れられない日常を綴ります～

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あまりの驚きに、思わず息が止まる。

だけど菜摘さんの抱擁は、次第に強くなっていった。


「隼くん……私は、この世で隼くんが一番好き……」


頭上で聞こえた言葉に、僕は耳を疑った。


まさか、菜摘さんが……。

僕と同じ気持ちを抱いていたなんて…。

にわかには信じられない言葉だったが、菜摘さんの体に密着した自分の耳と脳には、確かにその言葉の熱が響き渡っている。

「……っ菜摘さん……」

体を少し離し、菜摘さんの顔を見上げた。

すると僕と同じかそれ以上に、菜摘さんも顔を赤らめていた。

その表情や雰囲気に、さっきの言葉は本当だったのだということを実感する。

僕はその事実に、何も言えずにただ菜摘さんの目を見つめていた。

菜摘さんも何も言わずに僕を見ている。

僕は今、伝えても良いのだ。

菜摘さんに対しての、僕の気持ちを……。



「菜摘さん……あの……」

僕が突然言葉を発したから、菜摘さんは少し目を見開いて驚いたような反応をした。

だけどその目には、いつも僕を受け入れ認めてくれるときと同じ、暖かな傾聴の色が含まれていた。


「僕も、菜摘さんのことが…大好きです…」



あまりの緊張で僕の声は震えているのが自分でもわかった。


菜摘さんは、受け入れてくれるだろうか……。

僕のような幼くて甲斐性のない子供を…。

気持ちが同じでも、保留にされてしまうだろうか。

気持ちが通じることと、互いの気持ちをぶつけ合うことは違う。

或いは年齢の問題で、或いは経験の差で、或いは立場的な理由で……

結ばれることは、ないのかもしれない…。


黙っていた菜摘さんの出す答えが気になって、僕は再び菜摘さんを見上げた。


すると菜摘さんは再び、僕を強く抱きしめた。


さっきの慰めのような意味を含んでいるものとは違う……


それはもっと強くて激しい、愛という感情を挟んだ抱擁だった。