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「隼くん!これ、お誕生日プレゼント!」
菜摘さんの言葉に思わず顔を上げた。
満面の笑みの菜摘さんが、僕の手を優しく取って、白い箱をポンと置いた。
「え……僕に、ですか…?」
「もちろん!他に誰がいるのよ。」
「ありがとうございます……ちょっと信じられなくて…」
「信じられない?」
「はい…。まさか、菜摘さんが僕にプレゼントをくれるなんて思ってもいなかったので……。」
「もちろんあげるわよ~。隼くんには、今年沢山お世話になったからね!」
「ありがとうございます…ありがとうございます!」
「隼くん、よかったら開けてみて?」
いつも以上に暖かくて優しい声。
菜摘さんに促され、僕は頷いて貰った箱をゆっくりと開けた。
「……時計だ!」
「そう。隼くん、いつも腕時計してるでしょ?だけどどれも、結構年季が入ってたから……。是非新しいのも使ってほしいなと思って!」
「ありがとうございます!カッコいいです!」
「よかった。隼くん、白が好きなのかな?つけてる時計が全部白だったから、今回も白にしたの。」
「はい!白が一番好きな色です。ありがとうございます。」
「どういたしまして。」
柔らかく微笑む菜摘さんの心遣いに、僕は目眩がしそうなほどの喜びを感じた。
僕が学校で居場所をなくしてから5ヶ月。
菜摘さんは、いつも僕の居場所を作ってくれた。
学校では誰にも祝われなかった誕生日。
むしろ、毎日のように僕の存在や生を否定される日々。
菜摘さんのおかげであまり気にしないでいられたが、時には心がボロボロになる時もあった。
僕は、生まれてくるべきではなかったのかな。
生きてるだけで誰かを不快にさせるのなら、もういっそのこと生きるのを辞めたほうがいいのかもしれない。
こんなに苦しい思いをするなら、もういっそこの世から消えたほうが……
そんなことを真剣に考え、1人で泣いていたこともあった。
だけど、菜摘さんがいたから…
僕を支えてくれたから、僕は今日を迎えられた。
こんな僕を、そこまで見ていてくれてたなんて…
僕を理解し受け入れてくれるなんて……
菜摘さんの優しさに、僕は気がついたら込み上げてきた想いが溢れ出し、涙を流していた……。
菜摘さんの言葉に思わず顔を上げた。
満面の笑みの菜摘さんが、僕の手を優しく取って、白い箱をポンと置いた。
「え……僕に、ですか…?」
「もちろん!他に誰がいるのよ。」
「ありがとうございます……ちょっと信じられなくて…」
「信じられない?」
「はい…。まさか、菜摘さんが僕にプレゼントをくれるなんて思ってもいなかったので……。」
「もちろんあげるわよ~。隼くんには、今年沢山お世話になったからね!」
「ありがとうございます…ありがとうございます!」
「隼くん、よかったら開けてみて?」
いつも以上に暖かくて優しい声。
菜摘さんに促され、僕は頷いて貰った箱をゆっくりと開けた。
「……時計だ!」
「そう。隼くん、いつも腕時計してるでしょ?だけどどれも、結構年季が入ってたから……。是非新しいのも使ってほしいなと思って!」
「ありがとうございます!カッコいいです!」
「よかった。隼くん、白が好きなのかな?つけてる時計が全部白だったから、今回も白にしたの。」
「はい!白が一番好きな色です。ありがとうございます。」
「どういたしまして。」
柔らかく微笑む菜摘さんの心遣いに、僕は目眩がしそうなほどの喜びを感じた。
僕が学校で居場所をなくしてから5ヶ月。
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学校では誰にも祝われなかった誕生日。
むしろ、毎日のように僕の存在や生を否定される日々。
菜摘さんのおかげであまり気にしないでいられたが、時には心がボロボロになる時もあった。
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こんなに苦しい思いをするなら、もういっそこの世から消えたほうが……
そんなことを真剣に考え、1人で泣いていたこともあった。
だけど、菜摘さんがいたから…
僕を支えてくれたから、僕は今日を迎えられた。
こんな僕を、そこまで見ていてくれてたなんて…
僕を理解し受け入れてくれるなんて……
菜摘さんの優しさに、僕は気がついたら込み上げてきた想いが溢れ出し、涙を流していた……。
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