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『20XX年 9月14日


今日は、隼くんの11歳の誕生日。


初めて会った5月のあの日から、あっという間に4ヶ月が経った。


あの日から、私は隼くんについて色々知った。


学校でイジメを受けていること。

それは隼くんに問題があるのではなくて、イジメられていた子を助けたことが原因だということ。

そして、隼くんはイジメられてても、他の子には一切やり返したりしないということ。


中には、こっそりと私に隼くんが本当は優しい子であるということを伝えてくれた女の子たちもいた。


偏差値の高い中学に入るために勉強を頑張っていること。

テニスの練習を頑張っていて、全国大会にも出場していること。




そんな隼くんを、私は気づいたら好きになっていた。



自分でも不思議。


まさか、今日11歳になるような子を好きになっちゃうなんて…


だけど今まで生きてきて25年間、こんなに心を惹かれることは無かった。

離れていても、気づいたら頭の中で考えてしまう。

隣にいると、ドキドキして普段の私じゃいられなくなる。

だけど隼くんは、どんな話をしても必ず受け入れてくれた…そんな優しさと安心感がある子だった。


私はずっと自分の気持ちを自覚してから、隼くんに悟られまいとしていた。

押し付けて、表には出さないようにしていた。

そうでもしないと、隼くんを……

まだ10代になりたてで、これからいくらでも未来のある隼くんの人生を…

壊すことになりそうだったから。

でも、もう我慢できなかった。

私も隼くんも、これ以上我慢していたら、お互いが壊れてしまいそうだったから……。





私は今日、隼くんにプレゼントをあげた。


私とお揃いの、白の腕時計。


隼くんはよく腕時計をしていた。

私の知る限り3種類持っていたけど、全て年季が入っていた。

だから、新しい腕時計をあげた。


隼くんはとても喜んでくれた。


いつも見せてくれるような暖かい笑顔と、真っ白で純粋な喜びの表情。


それらは私がとうの昔に失ったものだった。



そんなことを考えていると、隼くんが急に泣き出した。


驚く私に謝りながら、隼くんは話してくれた。



私とおんなじ、その気持ちを……』
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