青春日記~禁断の恋だとしても、忘れられない日常を綴ります~

いちごみるく

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「隼くんは、本当に可愛いからね。とてもいい子で優しくて、ついつい撫で撫でしちゃうの。私だって無意識のうちに手が出てるのよ。」

「無意識…なんですね……。」

「うん、無意識ね~。どうしていきなりそんなことを聞いてきたの?」

「……それは……その…」


次の言葉を待つ菜摘さんの目線が少し痛い。

そう感じてしまうほど、僕は継ぐべき言葉に困っていた。


無意識に触れたくなること……

これは、恋愛感情とはまた異なる心理から来ているのだろうか。

柔らかくて甘い香りのする赤ちゃんが、自分に笑いかけてくれた時にあまりに可愛くて思わず頬に触れてしまうような…。

人懐こい動物が自分に甘えてきて、スリスリと体を擦りつけてきた時の愛しさにおもわずフワフワした頭を撫でてしまうような……。


菜摘さんの答えからは、どこかそんなニュアンスが感じ取れたのである。

そして、僕が何故こんなことを聞いたのか。

それを正直に話すことは、つまり僕が菜摘さんに最も聞きたいことを暗に含むような意味を持つ。



「……菜摘さんが、前に言ってたじゃないですか。『恋とは触れたい、触れてほしいと思ってしまうようなものだ。』って。そして、菜摘さんは今、誰かに恋愛しているって言ってたので……僕に沢山触れてくれるのは、なんでだろうって…気になったんです。」

「……それってつまり……私が隼くんをよく撫でるのは、私が隼くんに恋してるからだと思ったってこと?」

「えっ!?いや…っそれは違います…けど……」

また言葉に詰まってしまった。

菜摘さんの言う通り、僕は菜摘さんの恋愛感情と僕に頻繁に触れてくることを、心のどこかで期待していたのだから……。


「ふふっ。そうよね、冗談よ。…そうねぇ、私が恋してる話、かぁ……。うーん……それについては、もう少し後になったら話そうかな。ちゃんと隼くんにもお話しなきゃいけないからさ。」

「もう少し後にですか?」

「うん…!必ず話すから、待っててくれる?」

「……はい……!」

菜摘さんが僕に触れる理由と、菜摘さんが恋していること。

僕の都合の良い予想とは異なり、それは何ら関係のないことのような気がしてきた。


そんな事実を少し残念に思いながらも、僕はなぜそれが残念なのか、薄々勘付いてはいた。

だけど、何故かこの場面では、それをきちんと頭の中でまとめようとは思えなかったのである。
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