青春日記～禁断の恋だとしても、忘れられない日常を綴ります～

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僕は菜摘さんに撫でられるのが好きだ。

何故ならとても暖かい気持ちになれるし、心の底から安心するからだ。


例えば学校で嫌なことがあった時も、菜摘さんに撫でられたら、頭の中からマイナスな感情が全て消えてなくなるような気すらしている。


だけど………



ふと思い出す夏休み中に二人でした会話。


菜摘さんは今、誰かに恋をしている……。


恋とは、とても利己的で苦しくて醜い感情だと言っていた。

だけどそれを分かっていてなお、その感情を抱いているらしい。


しかしその一方で、恋愛とは本能的な欲……

愛されたい、愛したい、触れたい、触れてほしい…

それもまた紛れもない恋愛の持つ一面だと言っていた。


……菜摘さんは、恋愛をしていない異性に対して、触れたりするのだろうか。


触れたいと、思うのだろうか……。


僕に優しく触れてくれるのは、恋愛感情からじゃなくて、他の気持ちを抱いているからなのだろうか……。



1度気になり出したら止まらない疑問。

聞くべきか迷ったけれど、ついに聞いてみてしまった。



「……菜摘さんは、どうしていつも僕を撫でてくれるんですか……？」



自分で聞いたくせに、少しだけ驚いたような顔をしている菜摘さんの口から答えを聞くのが怖いような気もした。


特定の答えを待っているわけでもないのに、特定の答えを怖がっていることは否定できない。


だけど、ここではっきり答えが分かってしまえば、僕の最近感じていた不思議な感情の整理もできるかもしれない……。




「……なんでだろう。分かんないや。……隼くんを見てると、何故だか優しく撫でたくなっちゃうの。」

菜摘さんが出した答えは、僕が待ち受けても怖がってもいなかった、思いもしないものだった。