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「そろそろ秋が来るね~。」

夏休みが明けた月曜日。

再び始まる学校といじめの日々に僕はとても憂鬱な気分になりかけたが、辛うじて放課後に待っているこの時間に救われている。


8月も終わったというのに、木々の隙間を埋めるように落ちている小さな蝉の抜け殻が、まるで夏が過ぎるのを惜しむかのよう。

秋の気配はまだどこにも感じられなかった。


「もう少し涼しくなればいいんですけど……。」

「そうね。まだ残暑が酷いわー。」

「……菜摘さん、あの……これからもしもっと寒くなって、冬とかになったら…もうここでは遊べませんか?」

「えっ?どうして?」

「だって……日も短くなっちゃうし、気温だってすごく低くなるし…菜摘さんがまた風邪を引いたらいけないから。」

「……そうねぇ……。じゃあ冬になったら、私のお家で遊んじゃう?」

「え、いいんですか?」

「もちろん!」

「けど……今菜摘さんと遊んでる他の子たちは…」

「冬になったらみんなあまり遊んでないじゃない?大丈夫よ。」

「……そう…ですかね。」

「それに、隼くんだってテニスの練習や家庭教師で忙しい日は遊べないでしょ?そのときは他の子と遊ぶわ。」

「なるほど…」

「だから、冬になっても遊べるから大丈夫!安心して?」



不安になっていた僕の心を解すように、菜摘さんはいつもの様に優しく僕の頭を撫でた。
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