あんなに堅物だった俺を、解してくれたお前の腕が

いちごみるく

文字の大きさ
上 下
53 / 79

レビュー?1

しおりを挟む
「隼……もしよければ、また定期的にこんなことをしてくれないか?」

俺はビデオの画面録画を止め、隼にそう頼んだ。

「………うん……いいよ」


隼は意外にもあっさりと了承してくれた。


それにしても………

びしょ濡れのTシャツに丸出しの下半身。

机の上、椅子、そして椅子の下にある隼の潮吹きによってできた水溜り。

机に倒れたままのディルドと蓋が空いてるローション。


激しいオナニー直後の隼の周囲も、俺にとってはかなりの視覚的興奮材料になった。


こいつはこれから、毎日のようにこんなオナニーをするのだろうか……


理性を失くしてひたすら気持ちよさを追いかけてあんなに乱れて……終わった後は冷静になって部屋を掃除したり片付けたりするのだろうか……

そんなことを妄想しているうちに、俺のモノは再び元気を取り戻した。


「………なあ隼……。あの、」

「………!!やばいっっっ!!!!」

「??」


俺は自分のモノを収めるために最後に一度だけ隼に見てもらうことを頼もうとした。

しかし隼は俺の言葉の途中で、焦るような声を出してバタバタと机の周りを片付けパンツも履かずに急いでズボンを履いた。


……何事だ?

そう思っていた時、


「……きゃっ!ちょっとなにやってんのあんた!!」


画面の端……隼の部屋のドアの方向から心底驚く女性の声が聞こえた。


「いやっ!!違う!これは……あのっ」

「さっきからガタガタ煩いなと思ってたら!こんなに部屋を汚して!何よその水溜り!」

「ちがうっ……だからこれは……」

「服もびしょびしょじゃない!!髪まで濡れてるし………あんた一体どんな方法で…」

「いやほんとに何にもしてないから!あの…たまたまペットボトルの水を被ってて……」

「あんたが持ってるそれどう見ても水じゃないでしょ!」

「え?……あっ!!ちがっいやほんとに!」

「もういい変態っっ!しばらく近づかないで!」


バタン!と大きな音を立ててドアが閉まる音がした。


「……大丈夫か?」

明らかに大丈夫じゃなさそうだが、気まずくなる前に一応聞く。

「……はぁもう最悪………」

隼は頭を抱えてため息を付く。

「今のは母親か?姉貴か?」

「……姉さんだったよ………あー!もう最悪だ!めっちゃ恥ずかしい」

「……クククッ……」

「ちょっと優!何笑ってんの!」

「いやすまない……フッ……まあ実家暮らしならそういうこともあるだろうっ…てかお前っ……堂々とローション掲げて『ペットボトルだよ』って……フッ…瑠千亜から貰ったときと同じ間違いしてるじゃないか……」

「どんだけ笑いこらえてんの!あーもうどうしよう………」


思わず笑ってしまう俺を横目に、隼は心底焦ったように部屋を片付けている。


「まあ隼、お前も年頃の男だ。きっと姉貴も分かってくれるさ。」

「………………」

「そんなに落ち込むなって……フッ…おっと失礼。……いや、今のは直後だったし多分心の準備もできてなかったから余計に驚いたのであって……」

「……………けど俺、家族の前でこういう話したことないし……多分みんなまだ俺がこういうの何も知らないと思ってるから…」

「ブブッ!!……いやごめん隼……そりゃ幻想だよ。中3の男子がオナニーもしないわけなかろう」

「………そうだけどさ……ってか優ほんとに笑いすぎ!他人事だと思って……!」

「……フッ!……ごめんごめん」



隼の今の心境を考えると申し訳ないが、俺は笑いをつい堪えられなかった。


年頃の男がいる家庭ではよくあることなのだろうか……

それにしても、普通は部屋の残り香とか洗濯物についた体液とかゴミ箱の異常なティッシュ率などで家族が何となく察するというパターンだろうに………

隼のようにダイレクトに…しかもオーソドックスじゃない自慰行為を見られる奴など、なかなかいないかもしれないと思うと思わず笑ってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

推し変なんて絶対しない!

toki
BL
ごくごく平凡な男子高校生、相沢時雨には“推し”がいる。 それは、超人気男性アイドルユニット『CiEL(シエル)』の「太陽くん」である。 太陽くん単推しガチ恋勢の時雨に、しつこく「俺を推せ!」と言ってつきまとい続けるのは、幼馴染で太陽くんの相方でもある美月(みづき)だった。 ➤➤➤ 読み切り短編、アイドルものです! 地味に高校生BLを初めて書きました。 推しへの愛情と恋愛感情の境界線がまだちょっとあやふやな発展途上の17歳。そんな感じのお話。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/97035517)

泣き虫な俺と泣かせたいお前

ことわ子
BL
大学生の八次直生(やつぎすなお)と伊場凛乃介(いばりんのすけ)は幼馴染で腐れ縁。 アパートも隣同士で同じ大学に通っている。 直生にはある秘密があり、嫌々ながらも凛乃介を頼る日々を送っていた。 そんなある日、直生は凛乃介のある現場に遭遇する。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

「恋みたい」

悠里
BL
親友の二人が、相手の事が好きすぎるまま、父の転勤で離れて。 離れても親友のまま、連絡をとりあって、一年。 恋みたい、と気付くのは……? 桜の雰囲気とともにお楽しみ頂けたら🌸

いとしの生徒会長さま

もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……! しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

【完結】はじめてできた友だちは、好きな人でした

月音真琴
BL
完結しました。ピュアな高校の同級生同士。友達以上恋人未満な関係。 人付き合いが苦手な仲谷皇祐(なかたにこうすけ)は、誰かといるよりも一人でいる方が楽だった。 高校に入学後もそれは同じだったが、購買部の限定パンを巡ってクラスメートの一人小此木敦貴(おこのぎあつき)に懐かれてしまう。 一人でいたいのに、強引に誘われて敦貴と共に過ごすようになっていく。 はじめての友だちと過ごす日々は楽しいもので、だけどつまらない自分が敦貴を独占していることに申し訳なくて。それでも敦貴は友だちとして一緒にいてくれることを選んでくれた。 次第に皇祐は嬉しい気持ちとは別に違う感情が生まれていき…。 ――僕は、敦貴が好きなんだ。 自分の気持ちに気づいた皇祐が選んだ道とは。 エブリスタ様にも掲載しています(完結済) エブリスタ様にてトレンドランキング BLジャンル・日間90位 ◆「第12回BL小説大賞」に参加しています。 応援していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。 ピュアな二人が大人になってからのお話も連載はじめました。よかったらこちらもどうぞ。 『迷いと絆~友情か恋愛か、親友との揺れる恋物語~』 https://www.alphapolis.co.jp/novel/416124410/923802748

処理中です...